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NOISE  作者: 坂津狂鬼
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狐狩り-5

更新ペースが遅くてすいません。少ない読者の皆様。

「師匠。どうしたら、シキの蒼い炎に耐えられるんですか?」

「萌えへの探究心と自分の意思を貫く覚悟。そして美少女を愛する心があれば、あんなものはヘッチャラさぁー」

なるほど。それらが揃う時、人は死の境地すら超える事が出来るのか。

さすが師匠。言葉の重みが違う。


俺と師匠はシキが巫女装束から普通の衣装に着替えるのを待っていた。

撮影会は終了らしい。『美少女の頬を赤らめていい時間は一日30分間だけ』という師匠独自の法則があるらしい。

だから、シキが巫女装束から普通の衣装に着替えにいって、その間、つまり今待っているのだ。

俺は今一度師匠を見る。

俺と同じ黒髪で、瞳は赤みのかかった黒。

顔立ち的にも名前的にも日本人であろう。

確かシキが組織の一員だっていってたけど・・・・・・どうやって生き残ったんだ?

「師匠。組織って襲撃を受けて、ほぼ全滅状態だったじゃないですか。どうやって師匠は生き残ったんですか?」

「あぁー、あれねぇー。僕も驚いたよ。帰ってきたら、もう建物が半壊してたんだから」

「帰ってきたら?」

つまり、師匠はどこかへ出張にでも行っていたのか?

「いやぁー、仕事を全て終わらせて、ライトノベルの新刊を買いに行って帰ったら、もう全滅してたんだもの。驚いた驚いた」

・・・・・・・あぁー、シキの言ってた通りだった。

襲撃された日はいつだか知らないけど、大体、どの文庫かは予想がつくな。

「やっぱり・・・そういう理由だったか」

俺が師匠の偉大さに感銘を受けていると、シキの声が後ろかしてきた。

着替え終わったのか、アイツ。

振り返って確認したシキの姿は、簡素な白のワンピースにツインテールだった。

「師匠。早くも自らの萌え道が突き崩されました」

「焦る事はない。道は長いんだから、ゆっくりと進めばいいさ。というか僕も若干道が揺らいでしまったよ」

「・・・? 何を言ってるんだ、お前達」

シキが首を傾げながら俺と師匠を見る。自覚が無いというのは怖いものだ。

だが、俺は自覚している。自分が鈍感だと。

「それより、鑑。お前の工房を見せろ」

「ん? もしかして、それが本来の目的なのかな?」

師匠はシキの言葉を受け、俺達を手招きする。

「ついておいで」



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



師匠に招かれ、地下の秘密部屋へ・・・・・・・なんて展開は起こらず、普通にある部屋のドアの前に招かれた。

「ここは?」

「僕の工房だよ。特殊品製造研究部の所属だからね。時々趣味で物を作るんだよ」

「つまり、園塚と同じ科学者だ」

狂った(マッド)な?」

「違う違う」

師匠は軽く笑いながらドアを開ける。

「僕が作るのは、園塚のクソ野郎と違って、人を傷付けない物だから」

ドアの先は、工房というより書斎だった。

部屋のサイドには豪華な本棚と積まれた段ボール。奥にはデスクが有って、その上は、パソコンやらスタンドやら書類やらで埋もれていた。

部屋の中に入った俺達はそれぞれ勝手に進む。

師匠はデスクに、シキは積まれた段ボールに、俺は豪華な本棚に。

・・・・・・・・・・・・やべぇ。全部ラノベだ。

文庫別、あ行から順に、巻数の通り並べられてる。さすが師匠だ。

「さてぇー、シキ。何が欲しいのかな?」

「小月の武器だ」

「え? 俺の?」

シキの回答に俺は思わず声を出す。

「シキ。僕は人を傷付ける武器は作らない主義なんだよぉー」

「分かってる。だから人を傷付けずに昏倒させられる、一撃必殺のような武器が欲しいんだ」

いや、そんな武器が有ったら、誰もが欲しがるだろ。

「あぁー、だったら有るよ」

「有るの!?」

俺は思わず声を張り上げる。

そんな滅茶苦茶な武器が有ってもいいのか?

「でもぉー、至近距離で当てないと一切の効果の出ないガラクタで、リーチも短い。挙句の果てには単発式だから、一回しか使えない。それでもいいぃー?」

・・・・・・なんだか、俺の能力みたいに条件が多いな。

「別に小月が使うんだ。どんなにしょぼくたって一撃必殺なら構わない」

・・・・それほどにどうでもいい存在なのか、俺って?

「それに、小月ならその程度、使いこなせるさ」

・・・・・もしかして俺って、信頼されてる?

「頼られてるねぇー、小月君。それじゃ、ちょっと待ってて」

そう言うと師匠は、積まれた段ボールへ行き、一つの中身を漁る。

「僕の最新傑作! その名を黑鴉クロカラス。まぁー、まだプロトタイプだけど」

そして、右手に握った黒い小型拳銃を高らかに上げる。

そしてそのまま師匠は黑鴉の説明を始めた。

「この拳銃の使い方は簡単。スライドやら面倒な機関を無視して、銃口を直接何かに突きつけ、そして引き金を引く」

「・・・・つまりは零距離で引き金を引けばいいんですか?」

「その通ぉーり。そうすれば、勝手に銃が相手の力を全て吸収します」

「全て・・・だから単発式なのか」

「そうだよぉー、シキ。でも単発式だからと言って、対策を取れないわけじゃない。カセットを換えればいいんだよぉー」

・・・・・・・カセット? カセットって何だ?

「すいません。カセッ――――」

「ココの事だよ。普通の銃なら弾丸を詰めるところ、弾倉とか言われるところだよ」

・・・・・うん。説明されても分からん。

後でシキにでも訊くか。

「一応、黑鴉本体と弾倉カセットを一つ付けておくよ。これで上手く使えば二人までは倒せるからねぇー」

「ありがとうございます」

俺は師匠から小型拳銃となんか長方形で厚い何かを渡され、礼を言う。

ついでに、頼み事をしていいだろうか?

「あの、すいません師匠」

まあ不躾な頼みでも言ってみなければ、結果は分からない。

「何だい?」

「今日、泊めてもらっても、良いですか?」

どんな状況であれ、俺の金は1銭たりとも無駄に出来ない。

説明不足? 違う! 頭の中で考え付いていないだけ!

全ては坂津狂鬼が悪いんだ!!


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