狐狩り-4
なんでしょうね?
スランプなんでしょうかね?
適当に書いてるのに。
シキが行きたかった場所。シキの知り合いの家。
それはこの海の近くの住宅街にあった。
「ここだ」
短く言ったシキの背中は、何かを覚悟しているかのようだった。
「なぁ、シ――――」
「アタシ達の属してる組織の一員なんだ」
自分でも暗い雰囲気を纏っていると感じているのだろうか。
シキは俺が問いかける前に答えた。
でもシキ。確か俺達の組織って・・・・・・・。
「潰されたさ。お前と出会ってる頃に」
シキはそう言うと、俺の方を向き、微笑みながら言う。
「前に、本を読ませる奴がいる、て言っただろ?」
「ああ」
「それがこの家の主なんだ。生きていれば、だが」
「それって・・・・・・」
「園塚は全滅と言ったが、詳細は分かってないんだ。もしかしたら・・・・生きてるかもしれない」
・・・・よくよく思ったんだが、死んでてもシキの力で蘇らせればいいんじゃないか?
なんて思った奴がいたら、俺は遠慮無く、ぶん殴っているだろう。
シキにそんな事をやらせる奴は園塚一人で充分だ。
そして、その園塚でさえやらせない事をシキが自ら進んでやるわけが無い。
シキはそんな事が無情で出来る程、人形じみてはいない。
「アイツは勝手に組織の建物から出て行って、本を買いに行く奴だからな」
シキの声はほんの少し揺らいでいた。
相当、大切な人だったんだろう。
こういう時に、なんて言ったらいいのか、実を言うと分からない。
現実的に考えるか、希望的観測に頼るか。
俺には、どっちがいいか、分からない。
だから、俺は俺の答えを言うまで。
「取り敢えず、台所借りて、飯が食いてぇな」
「・・・・・・ああ。そうだな」
俺の答えを聞いて、シキが温かく笑う。
俺には人に気を遣うスキルは無いのかもしれないな。
「中に入ろう」
「ああ、そうだな」
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結果、シキの知り合いは生きていた。
割と元気に。
「いやぁー、シキ、久しぶりだねぇー! 久しぶりだから、君に読ませたい本が大量に溜まってるんだよぉー! ん? 誰だい、その男の子は? あっ! もしかしてボーイフレンドかい、シキ! いやぁー、君にそういう人が出来るなんてねぇ・・・あぁー、シキ、成長したね。僕は感慨深いよぉ。ところで、その男の子とはキスは――――」
「黙れッ!!」
蒼い炎で燃やされ続けてもこのテンションで喋り続ける程、元気だった。
もしかして、シキの能力って意外と弱い?
いいや、実際喰らったから分かるが、アレは半端ない。
つまりは、この人は精神力だけで今、動いているというのか!?
何が一体、彼をそこまで動かすんだ?
「あぁー、してないのね。分かった分かった。ならっ! この服を着て見なよ! きっとそこの彼も驚くよ!!」
「その服は・・・・・ッ!!」
声を出したのは、俺だった。
いや、だって、あの服は、あの服はっ!
「鑑・・・何故、神道に一切関わりを持たないお前が巫女装束なんて物を持っているんだ?」
「シキの為に特殊ルートで引き寄せたに決まってるじゃないかぁー。さぁっ、着て来て!」
・・・・・ヤバい。
この人結構ヤバい人だ。
絶対に、シキにラノベを読ませただけじゃないと思うんだ。この人がやってきた事は!
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シキの知り合い。鑑優斗。
彼はシキに30回燃やされても、シキに巫女装束を着せたがった。
そして無茶苦茶な方法でシキに巫女装束を着せる事に成功した。
さらには、巫女装束のシキを写真に何枚も収めてる。
彼は勇者だ。
「はぁい。いいねぇ、いいよぉ! 僕が求めてるのは巫女装束で笑ってる写真より、若干恥ずかしがって頬を赤らめて、ほんの少し俯いている写真だからぁ」
「すいません。師匠って呼んでいいですか?」
シキの冷たい目線が俺に突き刺さるが、何故だか分からない。
俺、変な事言ったか?
いや、言ってないはずだ。うん、言ってない。
「ん、いいよぉー。君、名前は?」
「張空小月です! 師匠!」
「僕は鑑優斗。今から君の師匠だ。僕を師匠にした限りには、厳しい道しか待っていない。覚悟は・・・・出来てるかい?」
「はい! 頑張ります!」
「なら突き進めぇ! 自らの萌え道にぃ、真っ直ぐと!」
この後、鑑さんと一緒に蒼い炎で燃やされた事は・・・・・一応、記述はしない事とする。
すいません。暴走気味ですね。
俺、なんか最近おかしくなってきてるんですよ。
頭が。それとも精神が?
まあ、取り敢えず、最悪だ。