狐狩り-2
海っていうサブタイを変更して狐狩りにしました。
狐狩りについては本文で出てきます。
「よぉ、小月」
男同士でサイダー片手に無駄な事を語り合っている最中、後ろから、そんな声が聞こえてきた。
俺を小月と名前の呼ぶ人間は二人。古瀬とシキ。
ちなみに古瀬はサイダーを飲んでいる。
・・・・・・・・・・・・・・。
俺に取れる選択肢は二つ。
現実から逃避するか。
現実で逃避するか。
勿論俺が選ぶ選択肢は後者。
取り敢えず海にダイブするほうだ!
「すまん、古瀬! 俺は急用がハッ!?」
「借りるぞ」
「どうぞどうぞ。道端にでも捨てておいてください」
くそッ! シキの奴、襟首どころか首根っこ掴んできやがった!
つーか、古瀬は後で絶対にぶっ飛ばす。
シキは古瀬の了解を得ると、俺の首を掴んだまま歩き出した。
シキ、せめて頸動脈から指をどけてくれ。このままだと窒息死する。
「何でここにいるんだ? シキ」
「組織の仕事で、だ」
古瀬といた砂浜から大分離れた、人気が無い場所で、シキが静かに言う。
裏の機密は表の人間には口外しないやらなんやら。
「組織? あそこってまともに稼働してたのか?」
「ああ、園塚をトップとして残念ながら稼働している」
「それは大層残念だ。今の俺の所持金位に残念だ」
俺はそう言い、気になる事を訊く。
「ところで、組織の仕事って何なんだ?」
「殺しだよ」
・・・・・そりゃまた、裏らしい仕事だな。
「まあ、どちらかというと捕縛に近い」
「捕縛?」
「デッド・オブ・アライブ。生死を問わず、ってやつだ」
「それ、殺しじゃないだろ・・・・」
普通に指名手配のやつを捕まえるだけじゃねぇーか。
「結局は、対象は死ぬ。アタシ達の手か否かの違いだ」
「へぇー、そうか。ところで、何でそんなんが組織の仕事なんだ?」
警察じゃあるまいし。公共企業というよりは私企業だろ、あの組織。
「裏の世界のルールだよ」
「ルール?」
「裏を知る人間が、世界総人口の9割以上になってはならない。そういう暗黙の規則が何故かあるんだよ」
「おかしなルールだな。・・・・それ以上になると、どうなるんだ?」
「確か・・・世界崩壊だったかな?」
首を傾げながら、シキは言う。
うん。それヤバいじゃん!
「この前、お前の田舎で城が崩壊しただろ」
「あー、そうだな」
「それが原因で、こんかい組織に狐狩りが言い渡されたんだ」
「狐狩り?」
なんか次から次へと情報が飛び交ってやがる。
混乱してきたぞ。
「組織の仕事、デッド・オブ・アライブのやつの名称だよ」
「狐狩り・・・・」
「今回、組織が担当するのは100名。そのうち、アタシ達が担当するのは10名だ」
「その10名が、この海に?」
「この近辺に、だがな」
シキはそこまで言うと、遠くの方を見て、指を指す。
「アイツをここまで連れて来い」
「何で?」
「まずは一人片付ける、という事だ」
・・・・・・・・・マジかよ。
俺はシキが指した先に視線を向ける。
そこに居たのは、10歳くらいの女の子。あの子が裏の指名手配者。
「本当に、あの子なのか?」
俺がそう尋ねると、シキは自分の頭を指し、
「狩る奴のリストは頭の中に叩き入れた。間違えるわけが無い。それに・・・・」
シキは一旦間をおいて、
「とにかくここまで連れて来い。捕縛を第一目的としてな」
自分の本心を言わずに、俺の背中を押してくる。
何だか、もやもやした気持ちが俺の中に生まれていた。
・・・なんか若干の鬱が含まれている気が・・・・・・・・・・。
まあ、この回は、小月を徹底的に苦しめる回ですからね。
小月視点だと、どうしても鬱っぽくなってしまうというか・・・・。
うん。この回は早めに終わらせよう。