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NOISE  作者: 坂津狂鬼
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狐狩り-1

新編スタート。

なのに今回は会話文だけだし、シキが出ない。

・・・・・最悪だ。

俺は今、海にいる。

理由?

今回は義妹が変な事を言ったとか、シキが無謀に俺を振り回しているとかではない。

古瀬がこう誘ってきたのだ。

『俺がバイトしてる海の家な、最近異常にいそがしいんだよ。それで急遽、バイトの一人が休むなんて言ってさ、代わりにお前来てくれねぇーか? つーか、お前は来なくてもいいから義妹いもうとさんとこの前のをココに来させろ。そして水着姿を拝ませろ』

下心丸見えどころか下心しかないこの誘いに俺はこう答えた。

『急用があって二人とも行けないそうだ』

『だったら雑用おまえだけでもいいから来い』

つまり俺は今、古瀬を殴るために海にいる。


二人に急用があるかどうかは確かめないまま、海に来てしまった俺だが。

・・・・正直、凄く居心地が良い。家でくつろぐよりも、ずっと。

騒がしいシキと罵倒を浴びせてくる義妹ぎまいがいないから平穏。

海の家で、忙しいけども、バイトをしている平凡。

そして、俺に一切害の無い、平和。

俺が望んでいた平穏で平凡で平和な時間がここにはある。

ああー、世界って素晴らしい。

「なあ小月」

そういえば、俺を小月と呼ぶ奴がここにもいたな。すっかり忘れてた。

まあ、あのスイカに関わっているとは到底思えないが。

取り敢えず、古瀬には死を味わって欲しい。

「何だ、古瀬」

「何で他の二人は来れなかったんだ?」

「知るか。俺に聞くな」

俺も聞いてないんだから。

「何だよ。お前は同棲してる女には興味が無いのかよ」

「ちょっと待て古瀬。それじゃまるで俺の家に義妹以外にもう一人誰かいるみたいじゃないか」

「違うのか?」

違くはない。ただ、真実を答えるつもりもない。

「・・・・・そういうお前は、何で家にいる美少女連れて来なかったんだ?」

「だから夏祭りの時に言ったけど、そんなお前みたいに面白い事態にはなってねぇーよ。それになってたとしても、俺は独り暮らしじゃない。両親と暮らしてるんだ。どうやって隠すんだよ」

「じゃあ、幽霊系か。それはまた大変だな」

「お前・・・何でそういう風に思考が回る?」

「お前を不幸に陥れたいから。お前だって俺を不幸に陥れたいだろ?」

「確かにそうだな。だったら納得だ」

「つーか、幽霊系なら近くにいるんじゃねぇーの? 見せてくれよ」

「幽霊系なわけあるか」

「じゃあ、何系だよ」

「知るか。自分の目で確かめろ」

「それは、面倒だな。今はこの時を存分に味わいたいんだ」

「多分お前とは違う理由であろうけど、俺も今はこの時を存分に味わいたい」

俺達は海の家のバイトが終わり、今はサイダー片手に砂浜に座って語り合っている。

随分とくだらない事を語り合ってる気がするが、まあ、平穏で平凡で平和な時間なんて、こんなものだろ。

「あぁーあ。水着姿の美少女が俺に話しかけてこないかなー」

「古瀬。お前が言うと現実になる可能性が高いから気を付けろ」

「じゃあ気を付けるわ。まあ、俺は今眼下に広がる楽園だけで満足してるから」

「アホの男子が言う台詞だな」

「お前はそう思わんのか、小月」

「水着って金がかかるだろ? それを俺が買わされて損をする、っていう情景しか思い浮かばないんだ」

「まあ、ここに来る交通費でさえ義妹いもうとさんに借金してるお前なら、仕方が無いな」

「その件で、古瀬。俺にも多少なりとも収入があるんだろうな?」

「オーナーは一応、そう言ってたぞ。明日も来たら渡すって」

「じゃあ、今夜はここらで野宿か」

「・・・・そういや、片道しか交通費を貰ってなかったんだっけ?」

「・・・・・・」

「残念だな、お前」

外はギンギンに照り付ける太陽があるのに、俺の心中は雨雲で隠れきっていた。

はぁー、最悪だ。

大体、俺が義妹に交通費を借りなければいけなくなったのは、シキのせいだ。

アイツに色々買わされて、じわじわと金を毟り取られた。

全ての元凶はシキだ。

「はぁー・・・・・・・・・最悪だ」

心の底から言ったその言葉には絶望という色が付け加えられていた。

小月の処刑場所【海】に着いてしまいましたね。

どうせここまで読んでる数少ない読者さんは分かってると思いますが、この後、シキが海に来ます。

え? それが処刑?

おしいですね。処刑の第一段階ですよ。

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