盆休み-15
やっと終わった、盆休み編。
「暑いなー。夏だなー」
俺は縁側で寝ころびながら、独りでに言う。
「そうだな。西瓜は美味いな」
縁側で胡坐を掻きながら、シキが独りでに言う。
コイツは人の言葉に耳を傾ける気は無いのかもしれない。
・・・・・・あの後。
つまりは瓦礫の雨を強制的に浴びせられた後、俺達は生き残った。
シキが城内の全員を蒼い炎で包むことに成功したからだ。まったく凄い奴だよ、シキは。
でも、俺が予想していた結果とは違かった。
誰にも一つも瓦礫はぶつからなかった。俺には掠ったが。
それでも、誰も瓦礫に当たらなかった。
これもシキの生命力の力なのだろうか?
そういえば、シキと出逢った時、トラックが不自然に止まった事もあったな。
あれと同じ事をしたのかもしれない。
まあ、助かったんだから、どうでもいいが。
「なぁ、シキ。俺にも一つスイカくれないか?」
「嫌だ」
・・・・・・・・・・・・・。
あー、えーと・・・・・・・・・・。
その後、一応捜索はしたが、怪物は見つからなかった。
逃げ果せたわけだ。空間を歪める力を利用して。
ああいう主人公みたいな力を悪役が所持してるなんておかしいと今でも思う。
俺もそんな能力が欲しかったわけじゃないが、せめて敵のランクをもう少し下げて欲しかった。
いくらなんでも、戦力差有り過ぎだろ。
この世界は大分歪んでいるように思えてきた。
「なぁ、シキ」
「何だ?」
「暇だから、水着姿になってくれ」
「ブチ殺されたいか?」
「冗談だ」
縁側で冷や汗を掻きながら、涼む俺。
その俺は、少しばかり、変な事を考えていた。・・・・一応言っておくが妄想とかではない。
全壊した城の事だ。
あの城はここらの表の人間にすら気付かれてなかった物だ。
それが大規模な全壊となると・・・・さすがに隠し通す事は出来ない。
なんせ破壊音が外に大きく響いたであろうし、残骸がどうしても残ってしまう。
どうやったって、隠し通せるわけがない。
一体、どう説明するんだろうか?
「なあ、シキ。あの城が壊れた事で、裏の世界に勘付いた人は、一体どうなるんだ?」
「どうもならない」
シキから返ってきた答えは、簡潔で簡単なものだった。
「勘付いただけで終わりだ。それ以上先には行けない。お前と違ってな」
シキは視線なんかスイカにしか向けず、そのまま頬張りながら話し続ける。
「お前は特例だ。偶々、中に魔神がいたから裏に深くかかわる事になった。魔神すらいなかったら、化物や怪物相手に命を懸ける必要もなかっただろうな」
「それは・・・物凄く面倒だな。お前に金だけもぎ取られていく」
俺はそう言いながら、目を瞑る。
なんかこのままだと色々考えそうだ。仕方が無い、寝よう。
「・・・・・・・・・ふぉぁあ」
何時間寝たかは知らないが、取り敢えず、欠伸をする
辺りは夕日によって橙に染められ、縁側にも俺独りしかいない。
まあ、近くでシキが寝てる、なんて事態が起こったら、俺は地球最後の日だと思うだろう。
良かった、今日が地球最後の日じゃなくて。
俺は寝る前までシキがいた場所に目を向け、
スイカが一個だけ乗せられた皿を見て、笑ってしまった。
明日帰るというのに、残念ながら、明日は雨らしい。
まあ仕方が無い。どこの誰がこんな所に置いてくれたかは・・・・一応、知らないふりでもしておくか。
俺は皿の下にある紙に書かれた事を見ながらそう思う。
『小月、一つ余ったからやる』
一応、この簡素な文章が書かれた紙に送り主は書いていない。
まあ、俺の事を小月なんて呼び捨てで呼ぶ人間は実はこの世で今の所一人しかいないのだが。
多分この送り主は親切をすれば自分に恩恵が返ってくるとでも学んだんだろう。
だが、最悪な事に、今の俺の残高じゃデザートなんて買ってやれない。
まったく、最悪なこった。
終わりましたよ。
この後は、まあ、前の回の後書きで書いた通りなんで、感想欄に書き込まれない限り、更新できません。
まあ、自分で思いついたら・・・・やらないでしょうね。
ここまで読み切った勇者の皆様にご褒美ですよ。
シキがデレデレするやつであろうが、小月を無駄に格好良く書けであろうが、感想欄に書き込まれた、希望に沿って書いてやりますよ。
要望は、感想欄に書いてください。出来れば日時の指定とかサブタイを決めて書いてくれると助かります。
サブタイは簡素なやつで。出会い、夏休み、盆休み、みたいに。