盆休み-6
文章が書けないんだ。最悪だ。
城の中に入った俺達を、アリサさんがわざわざ出迎えてくれた。
シキの話だとお嬢様らしいのだが、友人のシキを出迎えるのはともかく、凡人の俺まで出迎えるなんて、良い人なのかもしれない。昨日は変な事を言ってたけど。
アリサさんの先導で、俺達はやたらと広い応接室みたいな場所に連れられた。
適当に座った俺達の体面にアリサさんは座り、御丁寧に挨拶をする。
「シキと小月さん。今回は私なんかのためにお時間を割いて頂いて、ありがとうございます」
「あ、俺は別に」
「アタシも暇だし、実を言うと今は小月の家から離れたいんだ」
シキの中でのジジィとババァの人気は右肩下がりだ。
一体、どんな事をしたらそうなるのやら・・・。
「それで、警護って何やるんですか?」
俺は単刀直入に訊く。一般人の俺には警護と言われてもSPとかボディーガードのイメージしかない。
シキに言われるまま来たが、本当に俺は何をすればいいんだ?
「まあ、会場を見張ったり見回ったりすればいいだけなんですよ」
「会場?」
「ん、そういえば、お前にはまだ言ってなかったな。小月」
シキはそう言うと、アリサさんが笑いながら説明してくれる。
「実は今日、ここでちょっとした催し物があるんです。でも警護が足りなくて」
「それで、アタシに昨日偶然会って、頼んできたわけだ」
最後の部分をシキが言い、一応俺は納得する。
明日に迫った催し物の警護が足りない時、別名【蒼い死神】ことシキに偶然であれ会ったんだ。
普通は警護を頼むであろう。そっちの方が安心する。
「ところで、催し物って何のですか?」
「継承だ」
アリサさんに訊いたのに、シキが答えてきた。
つーか、継承って何だ? マフィアのボスにでもなるのか?
「アリサの家が金持ち、て話はしたよな?」
「ああ」
「それで今日、多くの権利をアリサは親から引き継ぐんだよ」
「でも、権利を引き継ぐだけでパーティなんて・・・・そんな派手な事をしなくても」
「アリサが引き継ぐ権利は、それほど重要なんだよ。世界経済なんて簡単に引っくり返せるほどに」
シキがそう言うと、アリサさんが苦笑いをする。
「形式だけで、実質はお父様に権利が残るんです。しかもそんなに大層なものじゃないですよ」
父親の事を『お父様』と呼ぶ人の大層なものが逆に知りたい。
絶対に失敗したらヤバいな。関わった人は軽く牢にでも入れられるんだろう。
「だが、想像以上にアタシ達は緩い警護をするんだな」
「まあ、急遽入れてもらった人員だからね。下手に役割を与えてミスられると困るとでも思ってるのかもね」
いやまあ、それは俺にとっては助かる事だ。
役割なんて与えられても遂行できる自信が無い。
「じゃあ、俺はその会場やらでブラブラと歩いてますよ」
「そうだな。そっちの方がお前向きだろう」
「そういえば、小月さんの能力って何なんですか? 私、シキからは警護に適した力としか聞かされてなくて」
変にハードルを上げるなよ、シキ。俺のしょぼい能力が言いずらくなるだろ。
「・・・・・・俺の能力は、相手の行動を少しだけ歪める力なんです」
「少しだけ?」
「えーと、つまりは・・・・・・」
俺は言葉に詰まる。少しだけ? って訊かれても、本当に少しなんだから仕方が無い。
「腕を少し上にずらして銃弾の軌道をずらしたり、逃げようとする奴の脚を止めて捕えたり。そういう相手の行動を少し歪める能力だ」
俺の力を便利そうに説明するシキ。
間違ってはいないが、説明不足だ。こういうのを詐欺の手口で見たことがあるんだが。
「アタシはアリサの傍にいて、警護する」
「そうか。なら俺はさっさと会場に行くとしますか。アリサさん、会場ってどっちですか?」
そう俺が訊くと、
「いまから私も行くので、皆一緒に行きましょう」
そう言って立ち上がり、アリサさんはまた俺達を先導してくれた。
明日は卒業式ですねぇ(坂津狂鬼の)。
・・・・・はい。それが文章の書けない理由にはならないと知っています、はい。
まあ、でも、読者も順調に減ってきてるんで、良いじゃないですか。
・・・はい。まだ読者がいる事は分かってます。すいませんでした。
もう、全て崩壊させようかな?