盆休み-3
縁側で寝ころびながらセミの声を聞く。
うん。田舎って感じだなー。
今、俺の周りには誰もいない。親父のジジィもババァも、義妹も、シキも。
何故なら皆仲良く遊んでいる(シキと義妹がジジィとババァに可愛がられてるだけ)からで、俺は独り、夏を感じていた。
いやー、なんか怠いんだけど、これが良いわー。
シキのせいで変な事に巻き込まれたから、こういう日常的な、いうなれば、平穏で平凡で平和な時間が凄く良い。
ああー、世界中の皆がこんな風にだらければ、戦争なんてなくなるのに。
人間ってバカだなー。
あー、なんか、眠くなってきた。
まあ、ココで寝ても、風邪なんかひかねぇーだろ。
「ふぉぁあ~」
俺は大きく欠伸をし、そのまま瞼を閉じる。
そしてシキに蹴り飛ばされて、仕方が無く起きる。
野球ボールの次はサッカーボールか?
「ボサッ、と寝てないで行くぞ、小月」
「どこにだよ?」
俺は目を擦りながらシキに問う。
「今日は花火大会が近くであるそうだ」
「へぇー。今年は随分と早いんだな」
去年はもう少し遅い日程だった気がするんだが。
まあ、それはともかく。
「あのな、シキ。花火なんてそんなに楽しいもんじゃないぞ。ただ突っ立って、遠くの空で爆発する火薬を眺めるだけなんだぞ」
自分で言っておいてなんだが、実に酷い言い様だと思う。まあ、事実なんだけど。
「花火なんてものはどうでもいい」
花火技師さんたちに謝れ。
「屋台が出ると聞いた」
・・・・・・・・・・・そういう事か。
コイツは今度こそ甘い物目当てで行く気なのか。
「だったらジジィかババァと行け。バンバン買ってくれるぞ」
俺には一切・・・・・・・・・・いや、俺と兄貴は一切買ってもらった記憶は無いが、シキなら容姿的に欲しい物を買ってもらえるだろう。
「嫌だ。アタシはあの人たちが嫌いだ」
一体、俺の寝ている間に何をされたんだ?
まあ、義妹もジジィとババァに初めて会った日はそんな感じだったし、別におかしくはねぇーけど。
「なら小遣いやるから一人で行け。それが嫌なら秋音を連れてけ」
「無理だ。アタシは料金の支払い方が分からないし、秋音は・・・・行きたくないと言っている」
「何で?」
「浴衣の着せ替えがどうとか、私は人形じゃないとかブツブツ呟きながら部屋に引き籠っている」
・・・・・・・・・・大よそ、ジジィとババァに浴衣を沢山用意され、それを着せ替え人形のようにバンバン着せられていったのが原因で引き籠っているんだろう。
一体、ジジィとババァは俺が寝ている間に二人に何をしたんだ?
凄く気になるが、取り合えず、答えは一つ。
「俺は行く気は無いからな」
「ダメだ。アタシが行きたい」
「何をされようとも、俺は夕飯の呼び出しがかかるまで動く気は無い」
「夕飯ならアタシがお前の分まで食べておいた」
それは凄く酷い。俺に餓死しろと言ってるのか?
「ほら、さっさと行くぞ。小月」
「嫌だ。俺は絶対にいかない」
「何故だ?」
「人混みは好きじゃないんだ」
「そうか。なら行くぞ」
シキは俺の腕を掴み、無理矢理引っ張る。
とてもじゃないが、俺の腕力などでは振り切れない力の入れようだった。
そういえば、花火大会に行くのは久しぶりかもしれない。
縁日などは徒歩で済む場所で開かれたりするので、時々行くが、花火大会などは俺の現住所から結構遠い場所でしか行われないので、全然行かない。
田舎に帰っても、大概は家でのんびり時間を過ごすので、外に出かける事自体をしない。
そういう意味では花火大会に行くのも悪くないのかもしれない。
という風に自分を無理やりにでも楽観的思考に移させなければ死にたくなるようなシキの食いっぷり(甘い物)は、俺の元にある、人の肖像画が書かれた紙切れを確実に消滅させ、硬貨さえも奪い取っていっていた。
財布の残金20円で俺は、次に親が仕送りをしてくる日まで生き残らなければいけなくなった。最悪だ。
神様、これは何かの天罰なのですか?
まあ、残り残高0円になる直前で花火が始まってくれたので、俺はどうにか今生きているわけだ。
遠くで爆発する火薬を眺めるのも悪くは無い。財布の中は最悪な事になってるけど。
交通費は義妹が管理しててよかったー。
「おぉぉー・・・・・」
シキが俺の隣で緑色に爆ぜる花火を見て、感嘆していた。
綺麗だ、美しい、とか思っているんだろう。俺もそう思うからな。
こうやって見ていると、シキは結構普通の人だ。
生物の生命力を自在に操る事が出来る、なんて力を持っている風には一切見えない。
生きてる人を自在に殺し、死んだ人を自在に生き返らせる【蒼い死神】には見えない。
ただの普通の女の子にしか見えない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
世界は、神は、何でコイツにそんなおかしな力を与えたんだ? 意味が分からない。
「ん? 何だ?」
俺が見ている事に気付いたシキが問いかけてくる。
「・・・・・口の周りにチョコが付いてるぞ」
俺は見つめていた本当の理由を言わずに、嘘を言う。
まあ、口の周りにチョコが付いてることは本当だが。
なんか読者が減ったのにお気に入り登録数が増えた、ていうオカシナ現象が起こって微妙な気持ちです。
読者が減ったことは嬉しいんですが、お気に入り登録は・・・正直意外でした。
まあ、お気に入り登録した人もしてない人も、感想欄に適当な事を書き込んでください。ちゃんと返信させていただきますので。
という事で前に一度、後書きに書いたことをココでもう一度。
文句、酷評、ネタバレ予想を募集中です。バシバシ感想に書いてください。
まあ、ここまで話が進んでしまうと、正直言って誤字脱字かネタバレ予想しか書けないと思うんですけどね。
ですから改良して、
誤字脱字、ネタバレ予想、なんか一言、募集中です。感想欄にバシバシ書いてください!




