四話「近親○姦と幼馴染」
女の子の住所という収穫を得た。うん、変態にしか聞こえない言い方だ。もっと紳士的に言えば、木崎と苅野の家が俺と近い事が解った。……いや、これも何か下心あるような気がするな。つまり俺こと里堆経汰は変態と言う名の紳士か。
……い、いやまて。良く考えるとソレはまずい。何か発展に発展を重ねて脱線した結果が変態と言う名の紳士とかもう救いようがないだろ……。と、思いつめた所で「過去は消せない」という言葉が脳内を過ぎったので死にたくなってしまう。いつからこうなったんだ俺は。……いや、実際普通の男子の反応じゃないか?高校一年の春だ、そんな事もあるさ――って、俺はさっきから何に思考回してんだよ!
「はぁ」
下らない事に時間を費やしたぜ☆とまぁ勝手に話を纏める。
思考を今の景色に回せば、土曜日の休日ばりにのほほんとした家族たちの姿が伺えた。四月になったと言うのに炬燵の中で体を温めている姉やケータイぴこぴこ弄る弟。ソファーで寛ぐ妹も居た。実は俺、五人家族です(テコ入れじゃないっすよ全然)。(あ、勿論皆リミッター使えます)。(カッコって便利だね)。
まぁ休日とは言っても最近買った三階建一軒家のローンとかトヨタ社新型サーフのローンとか色々あるから両親は今頃仕事場で必死だ。
それに大して俺なんか絨毯に座って漫画を読んでるわけだ。今の高校がバイト禁止でよかった。……さて、ココで家族紹介でもしようか――、
「お兄ぃー、冷蔵庫のプリンとってー」
さて、早速来ました。妹の命令。コイツの名前は結愛。子猫みたいなくりくりの目とクセのあるミディアムの髪が特徴……ぴょんぴょんはねて大変らしい。ちなみに中学二年生。
「はいはーい」
立ち上がって過ぐ近くの冷蔵庫に手を伸ばし、スプーン付きぷっちんプリンを取り出した後、ソファーに座って雑誌を眺めている妹にほいっと渡す。
「ありがとねーお兄ちゃん」
実はこの妹、俺や身近に居る男子以外にはかなり冷たいと言う……。全く女って解らない。
にこにこしている妹から視線を変えると、部屋の隅っこに居る弟の待虎が物欲しそうに妹のプリンを見ていた。同じく中二で童顔男子のコイツ、男子版ツンデレのような人物。
「待虎、お前もプリンほしいのか?」
「はっ!?い、いや俺いらねーし!別に小腹が減ったとか思ってねーよッ!――くそ!何だよ兄ちゃん!何だよその目は!?」
とっても面白いヤツだ。とか思いながら、俺はポケットにあるカロリーメイトを待虎に投げて渡した。
「まー、今はプリンねぇからそれで我慢してくれ」
「……お、おう!しょうがねーな、も、貰っとくよ……。あ、ありがとうな」
結構可愛い弟だったりする。
何時もの平和な光景だと思いながら絨毯に座り、漫画を読もうとすると、
「おにーちゃーんー、あーたーしーにも何かしてぇ~」
炬燵のある方からおっとりした姉の声が聞こえてきた。
「まず俺はお前の兄貴じゃなくて弟だ。それと言ってる意味が解らない」 とり合えずツッコミ。
「きゃー!冷たい経汰も素敵ぃ~」 ……我が家で一番問題児の姉だ。
「姉ちゃんが姉だなんて今でも信じれない」
ちなみにこの子は冷たくすればするほどよって来る習性がある。かといって優しくすると調子に乗るのでドライで接している俺だった。ちなみに名前は葵。高校三年。
「うわぁーん。お姉ちゃんお胸おっきいから肩こり酷いんだよー」
豚に真珠……いや、天性の宝物?この女、容姿だけズバ抜けているが中身がコレだから駄目だ。
「だから揉めと?」
「うん。あ、お胸じゃないよ?肩だよ?」
「誰が好き好んで姉の胸なんか揉むか!んなこと解ってるよ!」
「えぇー、経汰になら揉まれても――」 「言うな、もう言うな!」
無視しよう。そう思って漫画を手に取ると、姉はぶーぶーッ!とか唇を尖らせてからこう言った。
「経汰は私にだけ冷たいんだよぉー!結愛には優しいクセにーッ!このロリコン!」
「……なんだその微妙なキレ具合と最後の一言は。俺はロリコンじゃないし姉ちゃんは頼み事の度が過ぎるから冷たく接しているだけだよ!」
「うわー!必死になっちゃってー、やっぱりロリコンなんだぁ~」
「ロリコンじゃねぇよ!お前殺すぞ!」
「ギャー!経汰の本性出現ーッ!襲われるぅー犯されるぅー!」
「――ってめ!……はぁ。まぁいいや。俺ちょっとその辺散歩してくるから」
「デート?」 「デートだ!」 「え?デート良くのお兄ちゃん」
弟、姉、妹が同時にそう言った。もう本当に無視して家を出ようと悟った。
***
凄い出会いをした。
家を出て散歩がてら歩いていた時、昔の知り合い(というか幼馴染)である人に合ったのだ。
久しぶりの出会いだったので現在はファミレスでその幼馴染と駄弁っているのだが、向かい側にいるその幼馴染の名前は河内愛月。そして俺の隣にいるヤツが河内弾歩。二卵性の双子で、見ての通り愛月は女、弾歩は男だ。
こいつ等とは小学校時代、毎日のように遊んでいた仲で、中学で引っ越しして違う場所になって以来は一度も会うことがなかったのだ。
「いやぁーホントに久しぶりだね、経汰くん。小学校以来だもんねー」
笑顔でそう言う愛月に、だよなーと言って返事をし、暫く三人で他愛もない会話やアドレス交換をしていると、何か強い視線を感じた。
「ご注文は何でしょうか、お客様」
ファミレス女店員の態度悪い声が聞こえたので、不快にそちらを見ると――、
「――何してんだ木崎」
「見て解らないのバカヤロウ」
とっとと出てけ女垂らし。見たいな目線を送ってくる知り合い店員が居た。
俺の休日はつくづく不幸だと思いつつ、その後一時間程度で河内家族と解散した。
ご愛読有難う御座います。
今回も日常です。ウルトラ日常でした。
一応家族紹介と幼馴染出しましたが、今後の出番は有るのか無いのか……。
うーむ。やっぱり謎です。
それでは、有難う御座いました!