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ハーヴェイ・サテライツ  作者: 毛糸
一章・Ⅱ【大会と種目】
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四話「可愛いとフラグ」

 一歩一歩を踏みしめて走った。足の裏が痛くなるくらい力強く足を動かして、階段を上ったり廊下から様子を伺ってみたりするが、誰も見つからない。そのくせ、


――人の気配はある。

 背筋が凍るほど感じているのに、何処にも誰も居ない。上でも下でもない……縦横無尽に人は居ない。それでも何かがあるような気がして、体が負の感情に苛まれながら、それを防ぐ為にひた走る。まるで麻薬の幻覚とフラッシュバックを同時に感じてるのではないかと思うくらいの不安さ……いや比喩表現であって体感した事は無いのですようん。

 二人居るような感覚で、一人の足音だけが素早く音をたてている。四階までみても誰も居ないし、アナウンスが流れないので誰も脱落してない。となると隠れているか、屋上に居るか、すれ違っているか、になる。前者二つは特にありえそうだ。

「ん……な、何だあれ!?」 思わず声に出してしまう。

 五階にある屋上へ連なる階段を上ろうとした時、階段にピンと張られている一本の荒縄が視界に入った。左右の手すりと手すりに繋げられていて、進入禁止をしているかのようだ。とても触れたくないぜ。

「……なんだ、これ」

 これが罠だとしよう。じゃあ何故こんなに太くする?こけさせるならこんなに見えるような太さじゃなくて、ワイヤーみたいにするはずだ。しかもこの紐の位置……なんで一般男子学生の腰の位置にあるんだ?絶対に転ばないだろ……。

「見なかったことにし――」

「よぉ、男子生徒一」

「オイコラ誰だ俺を脇役のポジションで呼んでくるヤツは」 何処からか聞こえる声に、思わすツッコミを入れた。これでも俺は主人以下略。

「主人公は我だけで充分じゃ」

「そのお馬鹿口調で主人公の座を狙おうとするなよおい」

「馬鹿はそなたなりっ!」 「馬鹿だ、この声の主正真正銘の馬鹿だ」

 頭を抱えながら、それでも話を続ける。こんなヤツクラスに居たかなーとか思ったけど、七組の連中が二組に来たのを考えると普通だと思った。……いや普通じゃねぇ。

「我はそなたの行く末を傍視しておった。可哀相ながらそなたは弱い」 「余計なお世話だ」 「我はそこを突いてそなたを罠にハメようと思ったのじゃ!さぁ、引っ掛るがよい!」

 ふふふ、と笑う声の主は女だった。

 それだけしか言う事が無い。さっきまでの監視されている感が消えて、何かもう対処が面倒臭くなってきっと罠は目の前にある丸解りロープだろうと思たが無視した。

「…………………………、」

「なんじゃ?はよう掛からぬか!何処に罠があるかなどは内密じゃが――」

「えっと、とり合えずこの荒縄退かしていいか。お前倒さないと次行けないんだよ」

「な、なんの事かな、あ!なんの事じゃー?」 「なぜお馬鹿語に言い直した!つーか素が出てる」

「わ、我は荒縄で罠を作ってそなたを引っ掛けようなどとは思っておらん!」

「あっそ。どっちにしろお前を倒さなきゃ駄目なんだからよ。早く出て来い」

「ふん。言われんでも居るわッ!!」 「は?」

 右見て、左見て、また右を見た。後ろにも前の階段にも首を動かしたが誰もいない。誰も……ん?

「ここじゃッ!!」

――瞬間。

 屋上に行くために踏もうとしていた階段の一段目がパカリと開き、そこから一人の女子生徒が勢い良く飛び出してきた。

「隙ありじゃ!」 「ぬわぁ!?」 自慢の裏声である。

 飛び出して空中に浮遊している女子生徒との感覚は二メートル。

「死ねぃ!!」

 その間髪を入れる前に、女子生徒は俺との距離を詰めて勢い良く殴りかかる。

「おぉぉおおおお!?」

 何故かボールを投げずに襲ってきた、驚きながらもバックステップでその一撃を避ける。

「く……鼠か、そなたは!」 「お前こそ!邂逅もなしに襲われそうになったのは初めてだぞ俺!」

 女子生徒は空振りした軌道をそのままに突っ込んできて、俺の腹に頭突きをしようと試みる。

「しーねぃ!」 「喰らうかってのッ!!」

 横に転がり頭突きをかわす。「の、のわぁぁあ」女子生徒はそのまま床に倒れ、その隙をねらって背中に玉を当てようと思ったのだが――、


「…………………………、」


 いや、コレは不可抗力だ。決してこの状況を狙う為に避けたのではなくかといって俺の目の前に広がる短いスカートからはみ出ているアレはそのなんと言うかきっと――うん、神様ありがとうッ!!

 俺の目の前には女子高生がぱたりと倒れており、そのスカートはいい感じにめくれて少しだけ中身が露になっている光景があった。何故か体が重たい。すっごく玉当てやり辛い。何コイツ、誘っ――狙ってるのか、こうなる事 ?(あぶないあぶない本音が出そうに以下略)。

「うぅぅ……くっそー、痛いよー……あっ、痛いのじゃー」 「何故言い直す」

「わたし――わ、我はこの言葉が一番落ち着くのです、じゃ!」 といいながら起き上がる女子生徒。思いっきりボロが出ているが指摘したら怒らせるだけなので話題変更。

「あーっと、あのさ、何で貴女は俺に玉を当ててこないんだ?」 「――ギクッ!」 「あーわっかりやすい反応だなー」 「ギククッ!」 「いや二回目は使わなくていいだろ」

 起き上がった女子生徒は、廊下の壁にペタリと背中を預けながら「そ……それは」といいながら口篭る。紅潮していく頬がまた良いアクセントですね、と褒める俺。

「何?そんな態度とられると結構気になるんだけど……」 ここは意地悪に。

「い、言わん、言わんじょ!」

「おぉ可愛い噛み方ですね」

「――かッ!?か、かかかかかかか、かわ……可愛……かかかかかーいー!?」

 もうドショッパツから既に日本語じゃないが、挙動不審になるその女子をじっと見る。答えを聞くように、頬にどんぐり詰めたリスを見るように。

「か……かわいいなりけることぞのうちは、それはそれは大きなお褒め言葉でごじゃるが我はそんな言葉なりけるものぞでドキマギなどぜんのでおじゃるのことぞじゃ!?!?!?」

「すみません日本語でお願いします、可愛い可愛いお嬢さん」

「かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか、かわいとか言うなぁあああああああああああああああああああああッ!!!!」

 あ、頭から出てた湯気が爆発した。皮肉交じりに言ったのにプラスに受け止めているのかこの天然……いや、勘違い娘さん。え、じゃあ俺マズくないか?無駄にフラグ立ててないか?……いや気のせい――、

「わ、我がそなたに攻撃しないのは!!」

 突然そう言った後、

「そ、そなたと一緒に……優勝……し、したい……から、じゃ?」

 はいフラグ立ててましたホントごめんなさい。

 そういえば優勝者は二人だったようなー……。え、如何しよう俺。


如何しようッ!?

 

愛読有難う御座います。


新キャラ出してなんか色々凄くしてみましたっ!

残り四人。「木崎」「変な日本語の少女」「主人公」「???」

さて……どうやって出していくかが楽しみです。

今日23時から新しい作品も載せるので、今後も我が毛糸を宜しくお願いします。


それでは、有難う御座いました。

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