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恋をした  作者: 沙羅双樹
7/10

恋の結末⑥


男が恋に浮かれ、婚約者を放置していた二年以上の月日を

婚約者はただひたすら謂れのない悪意に一人耐えていた


婚約者を絶望させたのは男だけでなく

こんなことになっても

婚約を解消してくれない王家

男を諫め切れない男の家族

婚約者を守るために動かない婚約者の両親、すべてだった


それでも、必死に矜持をかき集め一人立っていたが

あり得ない暴力に晒され

プツリと糸が切れたように婚約者は生への執着を捨ててしまった



その証拠に、治療師が必死に治癒魔法をかけても

それはまるでヒビ割れた花瓶に水を貯めるかのように

漏れ出て効く様子がなかったという


最後の望みを託すように

隣国の療養所に婚約者を送ることを決めたのは王家だが

恥を晒す覚悟で必死に嘆願したのは

婚約者と男の両親だ


彼らは婚約者の有様を知り、己たちの罪をようやく理解した



それから3年隣国での療養が過ぎても、二人の婚約は続いた


婚約者の血を残すのに、この国で最適なのが男しかいない

それだけのために、結局

婚約者の心身も絶望も何もかもやっぱり踏みにじられた


だから、彼女は最後に抗った

結婚に際し

婚約者は男と家族、そして、王家にさえ誓約させたのだ


閨は結婚後、10年間

子どもは最大4人まで、それ以上望まないこと

生まれた子どもたちが己の血(隣国を表す白金)を継がずとも

差別なく、何一つ分け隔てなく、慈しみ育てること

子どもたちの婚約は彼ら自身の望みを第一に

決して、政略、王命を出さないこと


もし、この条件が飲めないのならば

このまま神の家に入る


そういって、婚約者は己のすべてをかけてこれを認めさせた。


長くなるので、本文に入れなかった設定をば

気になる方はよろしければ。


設定の補足1)

神の家には一度入ると、死んでも出られない場所

神に身も魂さえも捧げ、生きることを誓う者が入る

教会とは別もの


設定の補足2)

白金は隣国の王家に連なる色で

白金は魔を遠ざける尊き神に愛されし色とされる


その謂れはこの国では半信半疑だが

隣国では魔獣の活動が異様に少ないのは確かで

多くの国が隣国の白金を求めている


この国もまた、隣国と近いため、魔獣被害が他よりずっと少ない

そのせいで、白金の色を持つ者に対する敬意も感謝も育っていない


王家としては魔獣どうのこうのより

白金の色を持つ者がいるかどうかで周辺国のこの国への扱いが変わる

(あわよくば、白金の者を自国に連れていきたい)ため

白金を絶やさないようにしたいと考えていた


女の曾祖母は王家に嫁いだ隣国の王女

女の祖母は色を持たず、女の実家に嫁ぐ

現在、白金を持つのは女だけ


男の祖父が先王兄で白金を継いでいたが

体が弱く、白金を継いでない先王が王家を継いだ

男の父も男も辛うじて隣国の色と言われる銀髪を持っている

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