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47 会議室にて

「なるほど……」


 私は会議室で書類に目を通していた。


 部屋の中には筆頭補佐官であるダニエルをはじめ補佐官たちも同席しており、ここからバルバストル領が進むべき道が決定されることもある。気は抜けない場だ。


「ここにマスケット銃を用いた戦術が書かれているが……」

「はい。私から説明させていただきます」


 筆頭補佐官のダニエルが立ち上がる。


「クロヴィス様の命で開発されたマスケット銃ですが、射程では魔法に勝りますが、有効射程では弓に劣り、威力は弓に勝りますが、魔法には及びません。軍師たちの間でもなかなかマスケット銃を用いた戦術が決まりません」

「なるほど……」


 日本という国の戦国時代でも、火縄銃の性能に気が付いたものは少ない。魔法があるこの世界ではなおさらか。


「弓のように曲射ができず、それに命中率も悪いです。兵たちの間では、マスケット銃の必要性を疑問視する声もあります」

「そうか……」


 マスケット銃は私が強引に開発を進めたものだ。それを否定するようなことも言えるダニエルは家臣の鏡だな。


 私は貴族の当主として足りていない。そう自覚している。


 故に、私におもねるのではなく、きちんと意見を述べてくれる家臣は重要だ。


「マスケット銃はたしかに中途半端な武器かもしれない。しかし、マスケット銃にしかない長所もあるんだ」

「それは何でしょうか?」


 私は試験に答える気持ちで口を開く。


「それは扱いやすさだ。魔法は確かに強力だが、扱える者は少ない。弓の習得には長い訓練と筋力が必要だ。だが、マスケット銃ならば、短時間の練習で子どもから年寄りまで扱うことができる。そこらを歩いている何の訓練も受けていない子どもが、短時間の訓練で状況によっては歴戦の戦士を屠ることができるのだぞ?」

「……クロヴィス様は戦争に子どもも使うおつもりですか?」

「積極的に使おうとは思わん。だが、我が辺境領は魔族領と接している。いざ開戦となれば、子どもでも年寄りでも使わねばならん。魔族は捕虜など取らんだろうしな」

「それはそうですが……」


 ダニエルが苦い顔をして頷く。


「それに、たしかにマスケット銃は魔法の火力には及ばない。しかし、それは単発で比べた場合だ。数を揃えてやればいい。一斉射だ。数を揃えれば、その火力は魔法にも勝るだろう。魔法使いは数が少ないからな。それに、命中率が悪いのも一斉射で克服できる。点ではなく面で攻撃するんだ」

「しかし、その場合はどういった布陣を敷けばいいのでしょうか? 前衛が戦っている最中に撃てば、同士討ちは免れませんが……」

「どうやってか……」


 私は前世の記憶を探る。


 この世界ではまだ銃を使った戦術が確立していない。前世の知識を使って、試行錯誤の時間を短縮してみよう。


 思い当たったのは、長篠の戦だった。


「まず布陣だが、銃兵、歩兵、弓兵の順に置く。騎兵は両サイドに置こう」

「銃を持った兵を先頭に置くのですか?」

「そうだ。さらに銃兵は三組に分ける。銃の弱点は、その装填時間の長さだ。これを三組に分けることで、克服する。先頭の一人目が射撃したら、二人目が前に出て、一人目は三人目の後ろに回って装填する。これを繰り返せば、装填時間の問題はクリアできるはずだ」

「なるほど……」


 ダニエルがメモを取り始めた。


「銃兵の前に馬での突撃を防ぐ柵などを作ってやれば、急な襲撃にも対応できるだろう。白兵戦は、銃兵が敵を叩いた後だ」


 おぼろげな記憶だが、ウォーワゴンというものが見つかった。これは特区に作らせよう。


「故に、私はさらなる銃の増産と訓練の拡充を望む」

「ですがクロヴィス様、将兵たちは銃に対して懐疑的です。この状態を放っておくのはよろしくありません」

「一度効果を体感できればいいんだがな……」


 我が国は戦争しているわけではないし、魔族との戦争もまだ先だ。モンスターを相手に訓練しようとしても、モンスターがいるのは森やダンジョンで銃の性能を十分に発揮しづらい。


 どこかで銃の性能を見せる機会があればいいんだが……。

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