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44 ビッグメタルスライム戦②

「そんな――――」


 ヴィオの渾身の攻撃によって消し飛んだはずのビッグメタルスライム。しかし、そこには体の一部を半球状に失ったが、なお健在のビッグメタルスライムの姿があった。


 しかも、撒き散らされた銀色の液体が、まるで意志を持っているかのようにビッグメタルスライムへと集まっていく。


 これでは意味がない。


 しかし、どうしてヴィオは綺麗な半球状にビッグメタルスライムの体を斬り飛ばしたんだ?


 そこにヴィオの意志が存在せず、自然とそうなったのなら、それはなぜか。


「あ――――ッ」


 そこで私は気が付いた。


 半球の中心が、私の射出したミスリルブレードだと。


 もしかして、ビッグメタルスライムの体が大き過ぎて、雷の魔法の効果が限定的になってるのか……?


「そういうことか……」


 ありえるな。それだと初撃の時、私が反撃を喰らった理由も納得できる。


「問題は……」


 そう。問題は雷の魔法で弱体化し、メイン火力であるヴィオの攻撃力をもってしてもビッグメタルスライムの防御力を突破できない点だ。


 しかも、その理由が私の雷の魔法の効果範囲が狭いこと。


 どうにかしてビッグメタルスライムの核までヴィオの攻撃を届かせたい。


 ヴィオの攻撃力は一級品だ。ヴィオの攻撃ならば、ビッグメタルスライムの核を破壊できるだろう。


 そのためには、もっと広範囲の雷の魔法が必要だ。


 しかし、私にはまだエンチャント・サンダーしか使えない。そして、この魔法はつぎ込む魔力を増やしても効果時間が増えるだけで威力は上がらない。


「どうする……」


 思考が八方塞がりになりつつある。まるで光を求めて暗闇の中を彷徨っているかのようだ。


 俯いてしまい、自然と視界が下がる。


 その時、私は希望を見つけた。


「そうか、これならば……!」


 私はビッグメタルスライムに向けて走り出す。


「ヴィオ、いくぞ!」

「でも、わたくしの攻撃は……」

「今度こそいける! 私はヴィオを信じている!」

「クロ……。ええ! やってみるわ!」


 今度こそ、ヴィオの攻撃を届かせてやる!


「エンチャント・サンダー!」


 私は、左腕の義手にエンチャント・サンダーをかけ、雷を纏わせる。


 そして、左手首のボタンを押し、手首パーツを下げた。


 すると、飛び出すように現れたの黒光りする砲身だ。


「発射!」


 私は極小の雷を砲身の内部に走らせる。


 ドカーンッという耳を覆いたくなるような大きな爆発音が響いたのはその直後だった。


 ズシンッと肩に走る激痛。


 煙が晴れ、痛みに耐えながら前方を見れば、そこには小さな穴が空いたビッグメタルスライムがいた。


「ヴィオ、頼んだ!」

「ええ!」


 その瞬間、先ほどの砲撃の音にも負けないくらい大きな激突音が響き渡る。


 ヴィオだ。ヴィオがビッグメタルスライムに突撃したのだ。


 ヴィオの斬撃によって、ビッグメタルスライムに大きな球状の穴が穿たれる。


 その穴の向こう。赤い宝石のようなビッグメタルスライムの核が見えた。


「見えた! ヴィオ!」

「ええ! 双牙!」


 ヴィオの二刀がまるでハサミのように上下からビッグメタルスライムの核を両断した。


 双剣スキル『双牙』。二番目に覚える双剣スキルの基本の技だが、ヴィオが使うと超音速の剣で断てない物はない必殺のスキルになる。


 両断された赤色に輝いていたビッグメタルスライムの核は、その輝きを失った。


 ビッグメタルスライムの体もメタルな輝きを失い、まるで急激に錆びたように茶色い水溜まりとなった。


「はぁー……」


 なんとか倒せた……。


「クロー!」

「おっとっと」


 走ってきたヴィオを受け止め、勢いそのままに一回転半する。


 そのまま受け止めると倒れちゃうからね。それはかっこ悪い。


 だいぶ私の受け止めスキルも上がってきたなぁ。


「やった! あんな大きなスライムにも勝てちゃった!」

「そうだね。ヴィオはすごいよ」

「クロのおかげよ。ものすごい音がしたけど、クロは何をしたの?」

「それはね……」


 私は左腕の義手をヴィオに見せた。


「これって……?」


 義手はいつもと違う形をしているのに気が付いたのだろう。ヴィオがしげしげと私の義手を見ていた。


「実はこの義手にはカラクリがあってね。この手首のパーツを下げると、砲身が飛び出るようになってるんだ」

「砲身ってこの丸い物よね? これをどう使うの?」


 この世界にはまだ大砲も銃もないから説明がしにくいな。


「えーっと……。この砲身の中で爆発を起こして、砲弾って物を勢いよく飛ばすんだ。今回は、その砲弾にエンチャントをしてみたんだよ」

「へー」


 なんだかよくわかってなさそうなヴィオが砲身を不思議そうに見ていた。


 撃ち出した砲弾にはエンチャントをかけていた。エンチャント・サンダーの効果で、砲弾はビッグメタルスライムの硬さを無効化し、ずぶずぶとビッグメタルスライムの体の中へ。そして、ビッグメタルスライムの体の内側から雷の魔法を発していた。


 エンチャント・サンダーの効果半径はおよそ一メートルほど。今までのようにビッグメタルスライムの表面で発動していては一メートルしか抉れない。


 そこで、私は砲弾にエンチャントして発射し、エンチャント・サンダーの効果範囲の起点をビッグメタルスライムの体の中に埋め込んだ。これならば、単純計算で二メートルは抉れるはずである。


 そして、私の作戦は功を奏し、ヴィオの突撃によってビッグメタルスライムの核を露出させることに成功した。


 こうなれば、後は露出した核を破壊するだけである。


 一か八かの作戦だったし、成功して本当によかったな。義手の砲撃のテストにもなって万々歳だ。

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