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43 ビッグメタルスライム戦

「ワシの力が必要かえ?」

「まずは私たちだけでやってみるよ」


 楽しそうに笑うカルラにそう返して、私はミスリルソードを握り直した。


 まさかボスであるビッグラストスライムがメタルスライム化していたのには驚きだが、私たちは今まで散々メタルスライムを倒してきた。今度もきっと大丈夫。私とヴィオならば倒せる。


 私は右手で左義手の摘まみを回し、ガションッとミスリルブレードを展開する。


「いくよ、ヴィオ。エンチャント・サンダー……!」

「ええ!」


 私はエンチャント・サンダーを唱えて両手の武器に雷を纏わせると疾走する。向かう先はもちろんビッグメタルスライムだ。


 ビッグメタルスライムはまだこちらの存在に気が付いていないのか、反応はない。今のうちに広場に入ってしまおう。


「ッ!?」


 広場に入ると、ビッグメタルスライムの全貌が見えた。幅四メートル、高さ三メートルほどの流線型をしたメタルスライム。そのあまりの大きさに一瞬だけ足が止まりそうになる。


 だが、私はやることをやるだけだ。


「せあっ!」


 まるでそびえ立つ鏡のようなビッグメタルスライムに両手の剣を突き立てる。


 その瞬間、ビッグメタルスライムの表面が泡立つようにピクピクを痙攣し始めた。


 効いてる!


 やっぱりどんなに大きくなろうとメタルスライムはメタルスライムなのだろう。相変わらず雷の魔法に弱いようだ。


「これなら……!」

「はあああああああああああっ!」


 後方からヴィオの覇気が聞こえた次の瞬間、まるで砲撃の直撃を受けたような衝撃が走った。


 ヴィオだ。ヴィオが成長した【スピードスター】の能力を存分に発揮して、目にも見えない高速でメタルスライムを斬り付けたのだ。


 これでビッグメタルスライムも片付いただろう。


「ッ!? クロ! 逃げて!」

「え?」


 もう戦闘が終わったと思っていた私は、迫るビッグメタルスライムの大きな槍に反応が遅れてしまった。


「ぐあッ!?」


 なんとか左腕の義手で受けた。だが、あまりの衝撃に吹き飛ばされてしまう。


「がはッ!?」


 背中から壁にぶつかり、ドンッとまるで自分が楽器になったかのような大きな音が響く。一瞬にして肺の空気が叩き出され、背中の痛さよりも先に苦しさを感じた。横隔膜が痙攣し、上手く呼吸ができない。


 実際は一秒、二秒のことだろう。だが、そんな状態が永遠にも思えるほど続き、知らず知らずのうちに涙を流していた。


「ひゅっ」


 ようやく肺に空気を取り込めた時には、今度は背中、そして左腕に痛みが走る。


 だが、痛みに喘いでいる暇はない。


 私がこうしている間にもビッグメタルスライムは動いているのだ。


「クロ! 無事!?」

「なんとか……ね」


 自覚なくギクシャクする体を無理やり動かして立ち上がる。


 その際、左腕の義手を確認したが、無事だった。そのことに安堵すると、今度は視線を前に向ける。


 そこでは、ビッグメタルスライムを翻弄するように動き回るヴィオの姿があった。


 たぶん、ビッグメタルスライムが私に追撃しないように自分に注意を集めてくれたのだろう。


 ヴィオに感謝だ。


 しかし、触手のように動き回るビッグメタルスライムの槍は斬り飛ばすことはできても、ヴィオの攻撃はビッグメタルスライム本体には通用しないみたいだ。


 やはり、ビッグメタルスライムを倒すためには、私の雷の魔法が必要だ。


 だが、それはこれ以上ない形で初撃で決めている。威力が足りなかったのか?


 私が反撃を受けたこともおかしな話だ。メタルスライムは雷の魔法を受けたら動けなくなるはずなのに。


 伏兵がいた?


 しかし、見渡してみても他にスライムの姿はない。


 何かがおかしい。一瞬、カルラに討伐を頼もうかと考えてしまった。


 だが、ここでカルラに頼ったらよくない気がする。今後、何かあったらカルラに頼む癖がついてしまいそうだ。それでは成長できない。いつでもカルラが傍にいてくれるとは限らないのだ。


 ここは私とヴィオで切り抜けるしかない。


「エンチャント・サンダー!」


 私は再び両手の剣に雷を纏わせる。


 まずはビッグメタルスライムの動きを止めたい。


 私は痛む左手を右手で持ち上げ、ビッグメタルスライムへと狙いを定めた。


「これで……! ヴィオ、いくよ!」


 バシュンッという鋭い音を立てて左義手に仕込まれたミスリルブレードが射出される。


 射出されたミスリルブレードは、ビッグメタルスライムに突き刺さると、バチバチと放電を開始した。ビッグメタルスライムの表面が揺らぐ。


 その瞬間、ヴィオの姿が消えた。


 今までビッグメタルスライムが攻撃できるように、わざとスピードを落として攻撃を避けていたのだろう。その落差にヴィオの姿が消えた。


 そして、まるで砲撃音のような激音が響き渡る。


 ビッグメタルスライムの銀色の体がまるで液体のように辺りに飛び散った。


 これで、終わりだ。


 だが――――。


「なッ!?」


 そこには実に体の五分の一を失いながらも、いまだ健在のビッグメタルスライムが蠢いていた。

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