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31 特区開発日記

 突然だが、バルバストル領内には特区と呼ばれるエリアがある。新しい政策などを試す場所だ。ここで私はある実験をしていた。


 それは、前世ではノーフォーク農法と呼ばれていたものである。


 ノーフォーク農法とは、小麦、かぶ、大麦、クローバーを四年周期で輪作する農法だ。小麦や大麦は食品に、かぶやクローバーは家畜の飼料に使う。


 私も半信半疑だが、これによって穀物の総生産量は増え、飼料も豊富になるため、家畜を冬に間引きする必要もなくなり、その結果、食肉も増えるというものらしい。その結果、家畜の厩肥なども増えて、作物の生産量が増えるという正のスパイラルを生み出すというものだ。


 バルバストル領は王国の北側にあり、作物の育ちがあまりよろしくない。。


 領地が大きいため、比較的安定して作物を手に入れることができるが、それでも凶作というのは起こる。


 作物の育成が難しい北の領地では、少しでも収穫量を上げるために、すでにさまざまな実験がおこなわれている。


 その結果見えてきたのが、どうやら同じ作物を同じ場所で育てるのはリスクがあるというものだった。


 例外の作物はあるが、私の前世の知識も同じことを言っている。


 我が領地では、作物の組み合わせをいろいろと輪作して試している段階らしい。


 そこで私は、前世の知識に会ったノーフォーク農法を試してみることにした。


 だが、一度に領地のすべてで試すのは怖い。そこで特区だ。


 特区内の村で試せば、もし失敗しても被害を一部に限定することができる。


 そんなこんなで突如として特区は、ノーフォーク農法の実験に付き合わされることになった。


 私の執務を補佐する補佐官たちは意外なことに反対はなかった。だが、期待してもいない感じだったな。


 まぁ、言い出した私自身が半信半疑なので仕方がない。


 筆頭補佐官のダニエルも、子どもが突拍子もないことを言い出したので、勉強のために許可したという感じだ。たぶん、失敗しても失敗を糧にするような授業が待っているのだろう。


 それに、収穫量があまりないといっても、バルバストル領全体で見ればかなりある。もし私の主導する特区の実験が失敗したところで痛くはないといったところだろう。


 まぁ、詳しい結果が出るのは四年後なので、それまでは続けさせてもらおう。


 そしてもう一つ、私の発案で特区で試していることがある。


 それが、マスケット銃、大砲の開発だ。


 この世界では火薬はすでに発明されており、爆弾なども存在するが、それが銃という形に昇華されていない。


 そして、この世界での遠距離攻撃といえば弓矢やクロスボウ、魔法になるが、弓矢やクロスボウはともかく、魔法は魔法が使えるギフトを持ってないと使えない。


 弓矢やクロスボウも悪くはないが、やはり銃の破壊力が欲しいところだ。


 大型の攻城兵器となると、バリスタや投石器となるが、そこに大砲も加えたい。


 ゲームではクロヴィスの裏切りによって早々に陥落したが、魔族領と接するバルバストル辺境領は、真っ先に魔族軍とぶつかる激戦地となるはずだ。来る魔族との戦いに備えて、軍備を拡張するのは急務である。


「やっぱ砦の増設でもするかなぁ……。でもそうすると、今度は街を守るための兵士が足りなくなる……。うぅーむ……」


 砦だけあっても守る兵力がなければ意味がないからなぁ。


「かといって、兵士を増やし過ぎると今度は経済が……。難しい……。何かいい方法はないか……?」


 机でうんうん唸りながら、ダメ元で前世の記憶を探ってみると、徴兵制という言葉が見つかった。


「ふむ……。若者に一定期間の兵役を命じるのか……」


 たしかに、まるっきりの素人を戦争中に訓練するよりも、平時に多少は武器の扱いや戦術に慣れた人材を育てる方がいいだろう。


「しかも、一定期間だけならば、経済への影響も抑えられる……」


 戦争の知識のという漠然としたものでも、火縄銃による三段撃ち、包囲殲滅陣のような工夫次第では今からでも使えそうなものや、戦車や戦闘機など今は手が届かないものまでありとあらゆる知識が溢れ出してくる。


 異世界の人間というのは戦争が好きなのか?


「戦車という贅沢は言わない。車、できればトラックのようなものがあれば助かるのだが……」


 トラックがあれば、物資や人員の輸送に革命が起きる。


「ふむ。電気自動車というのもあるのか……」


 しかし、作りからは不明。肝心なところで役に立たない知識だ。


 だが、モーターの作り方やモーターで走るおもちゃの車の作り方なら知っていた。


「これを応用すれば、電気自動車が作れるのではないか? 電池というものがないが、これは雷の魔法が使える魔法使いにすればいいのでは? ……いける! さっそく特区の技術者たちに作らせよう」


 私は机に向かって電気自動車の設計図を書き始める。


 魔族との戦争が始まるまで、あと七年。それまでにできる限りの備えをしなくては!


 生き残るためならば、私は自重などしない!

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