表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/49

29 魔眼

「ふーむ……」


 次の日。バルバストル屋敷の自室。私は六つの宝石を前に悩んでいた。


 そんな私の膝の上では、シャルが丸くなってくつろいでいる。右手でモフモフしながら、私は唸る。


 私の唸り声とシャルのゴロゴロと喉を鳴らす音が部屋の中に響いていた。


 ちなみに、ヴィオは自分の部屋で剣術の練習をしているらしい。メイドから聞いた。


 私がなにをこんなに悩んでいるのかというと、自分が着ける魔眼をどれにしようか悩んでいるのだ。


 机の上に転がっている六つの球状の宝石。これらはすべて魔眼なのだ。


 知っての通り、私の左目は失われた。ゲームにも片目の男キャラが登場し、そいつが着けていたのが魔眼だ。


 魔眼というと、遠視の魔眼や透視の魔眼など見ることに対する能力だと思われがちだが、この世界での魔眼は、魔眼に対応した魔法を一属性だけ使えるようになるという物だ。


 例えば、火炎の魔眼を着ければ火属性の魔法が使えるようになり、氷晶の魔眼を着ければ氷属性の魔法が使えるようになる。


 ならば、状況によって着ける魔眼を交換すればいいと思ったのだが、どうやら前世のゲーム知識によれば、この魔眼は使えば使うほど成長し、より強力な魔法が使えるようになるという特性があるらしい。


 魔眼を成長させる条件、それは魔眼を通して魔法を使うこと。マナリングのおかげで総量が増えたとはいえ、MPの大部分をヴィオやシャルの反魂の維持に使用している以上、私の自由に使えるMPはさほど多くない。


 だから、ゲームキャラのようにいくつも魔眼を成長させ、状況によって使い分けるというのは不可能だ。


 実戦で使用できるレベルにまで成長させることができるのは、おそらく一つ。よくて二つ程度だろう。


 つまり、この六つの中から育てる魔眼を慎重に一つだけ決めなくてはいけないのだ。


「うぅーむ……。オーソドックスに火にするか? 火傷によって継続ダメージを与えられるし……。しかし、物理的な強さを求めるなら土一択なんだよなぁ……。だが、風属性も捨てがたい。攻撃が見えないというのは恐怖だ。くー悩む……」


 新調した義手の指で魔眼を転がして悩む。成長させるなら早いうちから取り組んだ方がいい。いい加減今日には結論を出したいんだが……。


「やっぱり紫電の魔眼にするか。雷属性の魔法は命中率がいいし、麻痺の状態異常も狙える。それに、紫の瞳はヴィオとお揃いだし」


 私は紫電の魔眼を右手で摘まむと、失った左の眼窩に嵌め込んだ。


「目が見えるようになるんじゃないのか……」


 魔眼というくらいだから視力も回復するかと思ったんだけど、そんなことはなかった。ちょっと残念だ。


「これで雷の魔法が使えるはずだな。……どうやって使うんだろう?」


 紫電の魔眼をはじめ、アーティファクトと呼ばれる物には説明書が付属しているわけではない。使い方は自分で見つけるしかないのだが、なんとも不親切なことだね。


「魔眼の力で魔法を使うんだから……。まずは魔眼に魔力を注いでみるか」


 体内の魔力を左目に集中させる。だが、他のアーティファクトを使った時のように魔眼に魔力が吸い込まれるような感覚がない。


「あれ……?」


 違う。確かに魔眼に魔力が吸い込まれている。しかし、同時に魔眼から魔力が供給されてる……?


 そして、魔眼から返ってきた魔力はなんだか自分の魔力とは違う性質を持っているような気がした。例えるなら、無色透明な自分の魔力が色が付いて返ってきたような感覚。


「もしかして……」


 私は右手の人差し指を顔の前に持ってくると、色の付いた魔力を人差し指から放出してみせる。


 すると、パチパチッと弾けるような音が響いて、指先から小さな稲妻が走った。


「なるほど……。そういうことか……!」


 私は魔眼の使い方がわかったような気がした。


 つまり、魔眼とは魔力に属性を与えるアーティファクトなのだろう。そして、魔眼で属性を与えた魔力を放出すると魔眼と同じ属性の魔法になる。


「素早く魔法を使うためには、ある程度の魔力に属性を付与しておいた方がよさそうだ」


 パチパチッと音を立てる人差し指を見ながら呟くと、膝の上からシャルが飛び降りて行ってしまった。シャルはあまり雷の魔法をお気に召さなかったらしい。


「しかし……」


 私はもう一度パチパチッと小さな稲妻が発生している自分の人差し指を見た。


「これでどうやって戦えって言うんだ?」


 なんていうか、静電気くらいの威力しかなさそうだ。相手をビックリさせることはできるかもしれないが、とても実戦では使えないだろう。


「まぁ、しばらくは意識的に使って、魔眼を成長させるしかないか……」

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ