表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/49

27 親族会議②

 次の日の朝。バルバストル屋敷の食堂。


 朝の柔らかな光が降り注ぐ中、私とヴィオ、そしてシャルは朝食を食べていた。


 私にも予想外だったのだが、シャルは反魂した後の方が元気になった。元々、食も細く動きも緩慢だったシャル。でも、反魂してからはまるで若い頃のようによく食べて元気に走り回っている。嬉しい誤算だ。


 まぁ、そのせいで廊下に飾っていた壺が一つ割れたりもしたが、そんなのはまったく気にならないほどだ。


 今も元気にテーブルの下で茹でた鳥のささ身肉を食い荒らしている。そんなシャルを見ていると、なんだか心が温かくなるよ。


「クロ、今日はどうするの?」


 シャルの姿を見て目を細めていたら、向かいに座ったヴィオが尋ねてきた。


「今日は親族と集まって会議かな? 親族が半分になってしまったから、統治の形を変えないといけなくてね」

「ふーん。その間、わたくしはどうしようかしら? エンゾを借りてもいい?」

「いいよ。練兵場行きの馬車も手配するよ。剣の修行でもするの?」

「ええ。剣術って思っていたよりずっと奥が深いのね。お父様がハマるのもわかるわ」

「そういえば、ユニヴィル伯爵は剣豪貴族で有名だったね」

「そうなのよ。剣なんて振り回して何が楽しいのかと思っていたけど、自分で体験してみるのって大事ね」


 ヴィオの剣術の才能は、ユニヴィル伯爵譲りなのかもしれないな。


 その時、足にふわふわの毛玉が当たる感触がした。下を見れば、やっぱりシャルがいた。


「どうしたの、シャル? おかわりかな?」


 見れば、シャル用に用意されたお皿の上からはささ身が消えていた。


「シャルにおかわりを」

「かしこまりました」


 シャルのおかわりを指示する。あの食が細くてささ身の四分の一も食べられなかったシャルが、今ではささ身を食べきってさらにおかわりだ。なんだかシャルがいっぱい食べてくれるだけで嬉しくなるよ。


 そんな朝食も終わり、ヴィオを見送った後、親族たちが続々と屋敷を訪れていた。


 爺やメイドたちの案内で親族たちを一室に集めた後、私も部屋に向かう。


「集まっているな」


 部屋に入ると、親族たちが一斉に跪いた。


 私の立場は以前の親族会議の時とはまるで違うものになっている。ただの辺境伯家の親族の子どもから辺境伯にランクアップだからね。無冠の貴族と爵位持ちの貴族の間には、超えられない壁があるのだ。


「辺境伯様、ご機嫌麗しく存じます」


 親族を代表して、長老のオーバンが言葉を発した。


 私はそれに頷いて応えると、口を開く。


「皆、楽にしてくれ」


 私が椅子に座ると、親族たちも椅子に座る。


「さて、もう知っていると思うが、私は陛下に謁見し、無事に辺境伯位を賜った。だが、知っての通り私は若輩者だ。皆に迷惑もかけると思うが、どうか私を支えてほしい」

「もちろんでございます。我らはそのためにあるのですから」

「ありがとう。さっそくだが、今日集まってもらった用向きを話そう。皆の記憶にも新しいと思うが、反逆者を処分したためにバルバストル辺境伯家を支える親族が半減してしまった」

「…………」


 みんな真剣な顔をして私の話を聞いてくれている。やはり、私とバルツァーレクの関係を見せつけたのが大きかったのかな? ナメられないのは楽だね。


「直近の課題は、この広大な辺境伯領を治める人材が足りないことだ」


 バルバストル辺境伯家では、親族を領地の代官に任命し、広大な領地を支配してきた。


 しかし、親族が減ったことでその支配に穴ができてしまった。すぐに問題が出ることではないが、対処しないといけない。


「そこで、あなたたちには今ある領地に加え、新しく任せる領地を増やそうと思う」

「「「「「おぉー……」」」」」


 領地が増えることは、すなわち責任も増えるが自分の自由にできる権力が増える。親族たちには歓迎すべきことだろう。


「まず、アルベリク伯父上が代官をしていたバラケだが……」


 親族たちの間に緊張が走った気がした。


 バラケは王国でも屈指の巨大鉱山だ。豊富な埋蔵量、そして掘った鉱石の加工技術。そこの代官になれば旨味は計り知れない。


 代官だからその上に領主である私がいるが、滅多な者には任せられない土地だ。


「バラケはオーバンに任せたい」


 オーバンはそのシワシワの顔に目いっぱい驚愕の表情を浮かべていた。


「ご信任いただきありがとうございます。ですが、この老いぼれで構わないのですか? 力のある者は他にもおりますが……」

「バラケの地は滅多な者には預けられん。オーバンなら安心だ」


 オーバンは前回の親族会議でも一番に私を推してくれた。その恩に報いたい。


「それは……、しかし……」

「頼む、オーバン。私に力を貸してくれ」

「はっ! この老骨でよろしければ、馬車馬のごとく使ってくだされ!」

「ありがとう」


 オーバンがバラケを治めてくれるなら安心だ。私がよほどの間抜けでなければ裏切られることはないだろう。早く領地経営も学んでいかないとな。さて、他の街も割り振ってしまおう。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ