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18 初めてのお茶会

「昨日、畏れ多くも陛下より辺境伯の位を賜りました、クロヴィス・バルバストルです。本日、私の開いたお茶会に参加してくださった皆様に感謝します。楽しい一時にしましょう」


 私の開始の挨拶に盛大な拍手が返ってくる。


 長い長い参加者との挨拶も終わり、ようやくお茶会はスタートだ。正直、この時点でかなり疲れている。だが、主催者がつまらなそうな顔をしていたら台無しだ。意識して表情を引き締める。


「お久しぶりです、コンスタンス様」

「お久しぶりです、コランティーヌ様。またお会いできて光栄です」


 そんな私の隣では、コランティーヌ夫人がコンスタンス夫人と会話の花を咲かせていた。


「クロヴィス様、ヴィオレットさん、こちらはコンスタンス様です。コンスタンス様のマメール子爵家の領地は、バルバストル辺境伯領の東隣にありますの。これからもなにかと協力することもあるでしょう」

「コンスタンス夫人、私は見ての通りまだ若輩者。ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


 私に釣られるようにヴィオがコンスタンス夫人にペコリと頭を下げた。


 その様子を見て、コンスタンス夫人が「ほう」と熱い溜息を吐く。


「なんて初々しい。こちらこそ、よろしくお願いしますわ」


 コンスタンス夫人は面倒見がよいと事前に聞いている。おそらくコランティーヌ夫人は、事前にコンスタンス夫人にも私とヴィオのお世話をお願いしているのだろう。


「亡きアルフレッド辺境伯様には大変よくしていただきましたもの。今度はマメール子爵家がバルバストル辺境伯家をお支えする時ですわ」

「ありがとうございます、コンスタンス夫人」


 今日のお茶会の趣旨は、故人に思いを馳せ、新しい時代にみんなで協力しようというものらしい。


「なんと、父上がそのような」

「そうなのです。アルフレッド様は王都でも有名なプレイボーイで――――」

「でも、リュクレース様と結ばれてからはすっかり落ち着かれましたね」

「皆がリュクレース様の手腕を称えたものですわ」


 そのおかげで、私は私の知らなかった父上や母上のことをたくさん知ることができた。


 父上や母上のことを想うと、やはり悲しい。でも、それ以上に父上や母上のことを知りたくて、私はたくさんの人に両親のことを聞いて回った。


「本日はありがとうございました。お土産までいただいてしまって……」

「いえいえ。またお会いできる日を楽しみに待っています」


 こうして、初めてのお茶会は二時間ほどで幕を閉じた。


 私はくたくたになってしまったが、二時間というのはお茶会としては短い部類らしい。お茶会は主に女性の社交というイメージがあるけど、体力を使うんだなぁ。


 ちなみに、私の隣でヴィオは疲れなんて知らないとばかりにご機嫌な顔を浮かべていた。よほどみんなに「かわいい」とか「お似合い」とか言われたのが嬉しかったようだ。


 まぁ、私も嬉しかったけどね。



 ◇



「ふっ!」


 お茶会も終わり、ようやく自由になった午後。私とヴィオは部屋で剣の練習をしていた。


 まぁ、剣の練習と言っても、いつもやっている木の板の間に棒を通す訓練だ。エンゾが言うには、これはすべての基本になるので続けた方がいいらしい。


 私とヴィオは、暇さえあればこの訓練をしていた。


「えいっ、えいえいっ!」


 私はようやく木の板にぶつけることなく棒を通すことができるようになってきたが、隣のヴィオはもう棒ではなく実際に剣を使って訓練している。私も早く追いつきたいところだ。


 そんな自由時間が終われば、コランティーヌ夫人に教えてもらいながら、お茶会の復習である。


 まだ参加者の名前と顔が結びついているうちに思い出して、記憶に焼き付けようという作戦である。


 貴族として生きる以上、人の顔と名前を覚えるのは重要だ。


 バルバストル辺境伯家は北方貴族派閥の長である。派閥の長が顔と名前を覚えてくれたというのは、それだけで喜ばれる。逆にいつまでも覚えられなければ、不満に思われても仕方がない。


 派閥というのはたくさんの貴族の集まりだ。だが、派閥の貴族だけ覚えればいいというものでもない。派閥以外の貴族の顔と名前も覚えなければならないのだ。


 今日のお茶会にも派閥以外の貴族も招かれていた。


 派閥の外の貴族でも仲のいい貴族、仲の悪い貴族もあり、家同士の親疎も覚えなければならないためこちらの方が難しいかもしれない。


 理想は王国のすべての貴族の顔と名前を一致させ、その貴族が誰と仲がいいか、誰と仲が悪いか、どんな仕事をしているのか、どのような功績を立てたかまで覚えることだが、そんなことは不可能に近い。


 だから普通は、仲の良い貴族の中でも爵位の高い者たちから覚えていくらしい。


 困ったらその貴族に尋ねろと言うことだろう。


「問題です。わたくしの右隣に座っていたのは誰だったかしら? クロヴィスさん」

「コンスタンス夫人です」

「正解です。ではコンスタンス夫人とはどこの貴族家でしたか? ヴィオ」

「えーと……。マメール、男爵家……?」

「違います」

「えー……」

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