8
怨霊の群れを祓った九郎は、
その場に膝をついた。
荒い息。
重たい体。
全身、痛みで軋んでいる。
……終わった、のか……?──
手に握る六文閃は、
まるで満足したかのように、
淡い光をたたえて静かに眠っていた。
九郎の背中に、
軽やかな足音が駆け寄ってくる。
「九郎様! ……ご無事ですか!?」
九郎がうなずくのを見て、千代は安堵した表情を浮かべた。
それからすぐに、
彼女は倒れている三人の少女たちに駆け寄る。
金髪の少女は、疲労と恐怖でふらふらしながらも、
必死に二人を抱きしめ続けていた。
千代はそっと彼女に手を添えた。
「もう大丈夫。……あなたたち、よく頑張りました。」
その声に応えるように──
倒れていた二人の少女たちが、
ゆっくりと、目を開いた。
まず、
さらりとした水色髪の少女が、かすかに唇を動かした。
「……ここは……?」
か細い声で囁いた。
続いて、
紅蓮の髪の少女が、眉をひそめながら起き上がる。
「……あれ、あたし……なにして……?」
金髪の少女は、二人の顔を見て、
涙をにじませながら叫んだ。
「よかったぁっ……!もう……死んじゃうかと思ったんだから……っ!!」
少女たちはまだ、傷だらけで。
まともに動ける状態じゃなかったけれど。
それでも、
命の光は、確かに戻ってきた。
九郎は、
千代と共にその光景を静かに見守った。
評価を頂いた方、ありがとうございました。
励みになりますb