同居
「それと、魔法少女になるなら、今日からリタの家にお世話になります」
ポシェットを肩にかけながらあめるは言った。
「どういうこと?」
「獏のいない所で魔法を使うのは絶対ダメなんだよね。だから魔法少女と獏は24時間一緒にいないといけなくて」
「うちに住むの?ブラックだね」
あめるはちょっと困った顔をした。
撮影も聖別も終わって、15時過ぎにタイムカードを切った。
魔法少女にもタイムカードがあるのかと悲しい気分になったけど、悪夢回収の時は成功報酬だからそういうのはないみたい。
早くタイムカード切る系魔法少女を卒業しなきゃ。
ってまだ魔法少女ですらないんだけど。
事務所のあるビルを出る時にふと気付いて、
「リュック入る?」
と肩あたりでふわふわ浮いているあめるに聞いてみた。
「狭いからいい」
確かに中の荷物でゴツゴツして乗り心地(?)は良くないかもしれないけど。
「他の人に姿見られて大丈夫?」
「大丈夫、魔法少女関係者にしかみえないから」
「あ、そうなんだ。良かった、うちのマンションペット禁止だったんだよね」
「リタは独り言言ってる人の図になっちゃうけどね」
「早く言って」
慌てて声を小さくした。
「魔法少女ってさあ、少女じゃなくなったらどうなるの?魔女になったりするの?」
「大抵の子は入院とか進学で辞めてくね」
進学より先に入院がくるの闇が深いな。
「最高で何歳?」
「22」
「ここでも若さ、かぁ」
若さがなくなったら、あたしはもう何もできない。