面接
「黒須ハルさんに憧れて魔法少女を志望しました!」
「あ〜、彼女はうちのトップだから、頑張ってね」
その会社は古いビルの一角にある、事務室みたいな所だった。古い建物の独特な香りがする。
「じゃあ、薬は何を飲んでるの?」
「えっ…?」
それまで和やかに進んでいた面接会場に一瞬嫌な沈黙が落ちる。
質問をしてきたスーツの面接官はその反応に、渋い表情をする。
質問の意図が分からず聞き返そうとしたが、求人広告に載っていたある一文を思い出し、慌てて言葉を続けた。
「あ、えっと、私の家は母子家庭なので、お給料で薬を買いたいんです!」
「ああそうなんだ。大変だね」
尚も渋い顔のまま、面接官は手元の履歴書に目を落としている。
これはやってしまったかもしれない。そう思ったが
「まあ君顔可愛いし、採用って事で」
あっけなく採用が決まった。面接の場で合否が決まるのってブラック企業なんじゃなかったっけ?
顔で評価されるのは嫌だった。だけど憧れの人と同じ仕事ができるのは嬉しい。
どちらにせよどうしてもこの会社に潜入しなければならなかったから、
「ありがとうございます!」
と笑顔でお辞儀した。
【未経験OK】魔法少女募集
魔法少女になるチャンス☆
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◆給与
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◆最寄り駅
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◆業務内容
悪夢の回収
◆勤務時間
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13〜18歳くらいまでの方
精神疾患のある方
合同会社ドリメア