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海葬
死体を列車から海に投げ込む宗教があるのです。
死体は別料金の切符を買わないといけなくて、 は途中で死体になるから追加の440円を払いました。
午前4時14分、列車は時刻通りに出発しました。
夜明け前の海は真っ黒にうねっていて、水面を切り裂き進んでいました。
月も星も見えない、暗い暗い夜でした。
が窓を開けると、冷たい風が吹き込んで、黒いワンピースの襟がバタバタと音を立てました。
磯の香りに顔を顰めていると、身体がふわっと浮く感覚がしました。 が を抱き抱えて、そして窓から突き落としたのです。
ああ、死体になるのは じゃなくて だったんだ。