裏切り
~第五章~裏切り
僕等4人はルイの勘を頼りに欠片を探している。今いるパーティーは、魔法使いのルイ。こいつは僕等が旅をするきっかけを作った張本人だ。
で、ディ。ルイといっつも一緒にいるがなんだか掴めないバカで、アホな奴。
キザな奴がナイト。ルイ達曰く、かなり怪しい奴らしいが、僕はよくわからない。
最後にボク。この4人で旅をしているんだけど、僕らに敵う奴がなかなか出てこない。久々に骨のあるやつが出てきたと思ったら、ものの1分で倒しちゃうんだもん。最高で20人位かかってきたけど僕等があっという間に倒してしまった。だから最近敵が来ない。それにディがイライラしているから僕はつまんないの。
「ねえ、ボクの石が近いよ。」
ルイが僕達に言った。間髪入れずにディが、
「どこだ。」
怒りの篭った声で言う。最近パーティが崩れ気味だ。
「もー。怖いなぁ。そんなプンプンしないの!めっ!」
いや、『めっ』って、小さい子に言い聞かせるんじゃないんだから……。
「そうですよ。そんなギスギスしていたら幸福が逃げますよ。」
「うるさい。で、欠片はどこだ。」
うわぁ、殺気がすごい。
「あっち。洞窟の奥らへん。」
洞窟の入り口を指しながら言った。
「行きますか。」
「あぁ。」
「うん。」
「イエッサー。」
僕等は洞窟に入った。入ったと同時に変な感触がした。いきなり世界が変わったような……。
それから10分ほど歩いているんだけど、なんか同じところを歩いているような気がしてならない。
無限回廊ってやつかな?そんなことを思っていたらルイが、
「ねぇ、これ無限回廊だよ?このまま歩いても仕方がないよ。」
僕の勘は当たった。ルイは魔法を使うからそういうのに敏感って言ってた。
「そうですね。入ったときに変な感じがしたのはそのせいでしょうか。」
「そうかもしれないな。ルイ、ちょっと調べてくれ。」
「えー?イヤだよーぅ。」
あ、ディがルイに殴りかかった。ディのギスギスした気配がなくなった。ルイはこれを考えていたのかな?……。ありえないか。
「調べないとこのままだよ?僕も手伝うから調べよ♪」
「もー。デルが言うから調べるけど、今度はディも手伝ってよ!ナイトも。」
「あぁ、それは失礼しました。」
「今度な。」
ナイトはぺこりとお辞儀をしながら、ディは腕を組みながら答えた。
それから僕等は色々調べた。すると一箇所だけ魔力が強いところがあった。
「ここを破壊すれば多分出れると思う。だけど、かなり硬いと思う。一発で壊さなきゃもっと硬くなって破壊できなくなるよ。」
ルイが言うにはこういう魔法がかかった道は一箇所だけ魔力が強く、そこを壊すと魔力が解除されるらしい。
「あ、じゃあ僕が行くよ。」
「大丈夫ですか?私が行きましょうか?」
「いや、ナイトはルイに良いとこ見せたいだけだろう。ここは武道家の俺がいく。」
僕らは言い合いになり、結局僕がやることになった。
「じゃあやるよ?【鉄の雨】」
羽を鉄にして、一箇所に打ち込む。攻撃力はかなりある。
「お、壊れた。」
壁が壊れると、無限回廊はなくなり、普通の道になった。
「じゃあ、行きましょうか。」
珍しくナイトが先頭になった。いつもは後ろにいるのになぁ……。この洞窟に着てから早く先に進みたいって感じ。なんかあるのかな?
先に進むと広い部屋にたどり着いた。前の扉は閉まっている。と、僕らが入ってきた扉が閉まった。
「しまった……!罠ですか!」
敵が来る。そう皆は思って戦闘体制に入ったが、何も起こらない。
「何も起こらない……。」
ディが構えを解いたとき、ナイトが、切りかかってきた。
「「「なっ!」」」
ナイトの剣はディの体に突き刺さった。綿がいっぱい出てくる。(血はないからね?)ディは目を開きこう言った。
「やっぱお前は裏切り者か。ナイト……!」
片目をつぶり、ナイトの剣を握った。
「「ディ!」」
僕はとっさに身構えた。ルイを守るため。前に、ディから自分に何かあった場合はルイを守れと言われたから。ルイはその場にへなへなと座り込んだ。
「クク。貴方たちはほんっと無防備ですね。誰もいない部屋で何も出ないなら疑われている私が怪しいでしょう?」
ナイトは剣を抜こうとした。が、剣はディにつかまれているせいで抜けない。
「ディ、ディ……。」
ルイは顔を抑え、泣きながらディの名前を読んでいる。ディはにやりと笑っているが、ナイトの剣はディの石に刺さっている筈だ。人形は中にある石が壊れたら動かなくなる。人間で言う、心臓や脳の働きをしている。
「ナイト!お前、もともと僕らを裏切るきたっだか!」
「ええ。でもお嬢様は壊したくないですから、洗脳でもかけて私の傍に居てもらいましょうか。」
余裕を見せているが、ナイトの剣はディに突き刺さったままだ。
「ルイ…、デル…。コイツ…を、たお……せ…。お…れは…も…うだめか…もしれ…な…い。だったら、さ…いごま…で…あが…いて…い…きて…や…る…。」
途切れ途切れに言葉を発しながら話した言葉。僕が、ディの傍に行こうとしたら後ろからすごい殺気が感じられた。ルイの殺気が。
「ナイト!ボクの友達を!お前は許さない!」
杖を構えとても長い詠唱を始めた。ルイの魔法は長い詠唱は必要ないはず……?ルイの足元に魔方陣が浮き出てきた力の暴走が始まったらしい。ディ曰く、ルイは暴走すると、魔法陣を出すらしい。
怒りで暴走状態になったらしい。たった一つの欠片じゃあ、押さえられないな。
「ナイト!僕はお前を殺す!」
「ええ。お嬢様……。いや。ルイ!」
ディの体が倒れたと同時に、ナイトの剣が抜かれた。僕はディの体を持ちながら、少し離れたところにいった。