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人形の探し物  作者: 猪口零斗withクローバー ~ハイテンション姉妹~
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敵?仲間?

~第四章~敵?仲間?

「おーい?どこに行くのぉー?」

相変わらずだらしねぇ声をしてやがる。

今ナイトが焚き火から離れようとしている。ナイトが飛ばされてから一週間がたった。最近、アイツの様子がおかしい。毎日のように夜、俺達の所から離れるし、町に行くにしてもとても離れている。

「ちょっとした野暮用ですよ。明日の朝には帰ります。」

「ふーん。……。ねぇ、毎日どこに行くの?町にしてはとても遠いし、誰かに会いに行ってるの?」

鋭い。アイツは勘だけは良いが、とぼけているからな。俺が釘を刺しとくか。

「ナイト。ルイの答えに答えなくていい。だが俺の質問に答えろ。」

「いいですよ。なんですか?」

ルイは嫌そうな顔をしていたがすぐに止めた。俺の気配を察知できたのか真剣な顔つきになった。

「お前は……。いったい毎夜何してる?もしかして裏切りのために敵に情報を流してるとか?」

それを聞いた奴は吃驚した。もちろんルイも。

俺は今までに何度この言葉を言おうとしたか。

アイツは昔からそうだった。ほかの仲間からの敵に情報を流していると言う噂を聞いた。

「何を言ってるの!ナイトは多分裏切らないよ!」

「お嬢様、多分は余計です。そしてディ、この私が貴方たちを裏切るとでも?」

俺は間髪入れずに、

「ああ。」

「根拠はどこに?」

ナイトが真剣な声をして、そして怒りのこもった声で俺に聞いた。

「……。勘だ。あと昔のお前の不自然な行動から。」

「昔は昔、今は今ですよ。貴方達が私を疑うなら、私はもう貴方達から離れません。」

さすがにイラついてきたのか早口だった。

「わかった。俺等から離れるな。怪しい言動をするな。いいな?」

「ええ。」

ギスギスした空気のまま俺達は寝た。この会話が誰かに聞かれていると知らずに。


『ボス。私はしばらく動けません。しかし、あの少女が石を持っていることは確かです。』

『そうか。ご苦労だった。あまり派手な動きはするな。あと石が盗れる様だったら欠片全てを持って来い。』

『御意』


あれから一週間。ナイトは俺たちから離れなくなった。だがまだ少し怪しい。ルイの欠片について色々聞いてくる。敵と内通しているとか…?

「ねぇ、ナイトはディの知り合いならさぁ、ボクも友達を仲間にしていい?」

この空気をなくすかのようにルイが明るい声で言った。

「お嬢様のお友達…!それはそれはご覧になりたいですね。」

ナイトもいつも真剣だった顔がゆるくなった。

「別に俺はかまわないが、戦えるのか?」

「うん!」

うれしそうにうなずきながら答えた。仲間が増えるのはいいが、その分俺が守ってやらないと。もう誰も失いたくない。

ルイの案内でホコラについた。あれ?ここって、悪魔のデルと戦ったところ?いや、違うよな……。

ルイの友達がアイツ?悪い予感がする。当たらないでくれ。が、俺の願いもむなしく、

「あのね、ボクの友達はデルだよ♪ディは知ってるでしょ?」

「あのなー!アイツはもともと敵だぞ?」

「そだよ?何が悪いの?」

首をかしげながら聞いてくる。てめぇなあ…。

『やっほー。ルイじゃん♪。そっちの新しいのは誰なの?』

聞き覚えのある声。俺の思った通り、悪魔のデル。だった筈が……!?

「こいつはナイト。で、この悪魔の人形はデルって言うんだ♪」

「よろしく!」

「ええ。こちらこそ。」

何ふつーに握手してんだぁぁぁぁ!え?何?アイツ人形だったの?マリオネット形人形だったの!?

「おい、ルイ。ちょっとこっち来い。」

「えー?」

俺は腕を引っ張って、2人から離れた。

「おい、なぜアイツは人形になってる?そしてなぜお前らは仲良しなんだ?そもそもアイツとはもともと敵同士だったじゃねぇか!」

「えー?デルはねぇ、もともと人形だったんだけど、欠片のせいで本物の悪魔になったの。でね、ボクはデルを倒した夜に会いに行ったの。話しを聞くと本当は良い子なの。だから♪」

ねっ♪とか良いながら人差し指を立てている。むかつく。

俺たちが戻るとあいつ等は寝床の準備をしていた。しかも楽しそうに。いや。嫉妬とかじゃねぇからな!?つーか、誰に言ってるんだ!?俺……。

「お帰りー。今日はゆっくり話をして明日出発しようよー♪僕も準備があるし。」

「あぁ、かまわねぇがお前、あの石なしで戦えるのか?」

「戦えるもん。プン。」

腕を組み、そっぽを向いた。ムカつくなぁ、このパーティ。

「まぁまぁ、ゆっくりお話でもしながら休みましょう。ディも精神を休めないと倒れますよ?」

ぽんぽんと自分の横を叩きながら言った。あいつの言った通りだ。少しは羽を伸ばすか。

色々な事を話しながら夜は更けていく。俺は羽を伸ばしすぎてナイトが小さく舌打ちをしたことに気が付かなかった。ルイとデルは能天気に、ナイトは隠し事を持ちながらポーカーフェイスを保ち、俺は思いを抱えて、欠片を探す旅にまた出た。


『台本に沿って私の壮絶なストーリーが進んでいく。さぁ悲劇の主役はお前たちです。ルイ、ディ。悲しみに心が満たされるが良い。』



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