最初の敵
~第一章~最初の敵
ザッザッザッザ……。ボク達が歩く音が聞こえる。
「あー、つーかーれーたー」
「うるせぇ。」
「なんだよぅ『うるせぇ』はないでしょ。『うるせぇ』は。」
「うるせぇ。」
ものすごく怒った顔と声で答える。あ、ボクはルイ。石を探してディと旅をしているんだけど……、
「暑い!!」
「うっせぇっつってるだろ!」
そう、ここは砂漠のど真ん中。もちろんボク等は人形だから水とかは要らないけど、でも暑い。
「おい。」
ボクの方に顔を向けた。眉間にしわがある。
「なーにー?ただでさえ暑いのに、暑苦しい顔向けるんじゃねぇよ。」
「俺はそんな顔してねぇ!つーか、お前は女なんだからもう少しおしとやかにできねぇのか!」
……。おしとやか?ボクは首をかしげながらディに聞いた。
「おしとやか?なにそれ、美味しいの?」
「……。バカ」
答えてくれないーーー!
と、まぁこんな風に歩いているんだけどさぁ、ほんっと暑苦しい顔を向けないでよね。余計暑くなるんだから…。こんな暑いときにさぁ、敵が出で来ると、ボッコボコにしてるんだよね。ま、ボクは魔法で?涼しくしてるから快適なんだけど。
いきなりディがボクに話しかけてきた。
「おい、おまえ魔法で自分だけ涼んではないだろな?」
ギクッ。ボクは一瞬動きが止まった。
「図星か…。ま、死んどけ。」
ボカッ、バキッ、ドゴォ。ディはボクを殴った。
「イッッッタァァァァァァ」
「さ、いくぞ。」
ボクのことは気にも留めないで歩き出した。バカッバカッバカッ。
「心の中でどーせバカとか考えてるだろ。」
いきなりボクの方を向いてボクの思っていることを当てた。
「え?何でわかるの?デリカシー?」
「テレパシーな。お前がわかりやすいだけだ。」
すっごーい!でも、乙女の心の中は覗かないで♪キャ♪
それから小一時間ほど歩くと変なホコラに着いたの。
「ねぇ、今更なんだけど、言いたいことがあるの…」
ボクが小声で言うとディは呆れた様に、
「ん?言ってみろ。どーせくだらないことだと思うが。」
「怒らないでね。あのね、あの石壊れてバラバラになってるの。その欠片が此処の中にあるの。」
ボクは身構えた。この後ボクを殴りに来るだろうと思ったからだ。
「……。そうか。」
アレ?殴らない。変なの。ま、いいか。
ボク達はホコラの中に入った。すると邪気がすごいの。きっと、力がボクみたいに封印じゃなくて、増幅だと思う。
「戦闘態勢に入っとけ。たぶん強い。」
「うん。わかった。」
ボクは杖を握り締めた。かなり緊張している。念の為にバリアーをはっといた。
大きな扉の前。ここが邪気が一番強い。多分奥に敵がいると思う。ボクは気を引き締めた。ボクだって、やるときはやる。
「行こう。敵を倒そう。」
「あ、ああ。(なんだこいつ、いつもと違う…。殺気がすげぇ。)」
ギギィ……。
扉が開くと、人がいた。いや、人じゃない。悪魔?尻尾と、黒い羽が生えている。これが邪気の正体か。
「よく来たね。僕の名前は、デル。君たちの名は……、まぁいいや。僕の遊び相手になってよ。言っとくけど、僕、強いよ?だって、これが僕の力を増幅してくれるの。」
と、石の欠片を手にしている。やっぱりそうだったか。横を見ると、ディが構えている。
「ルイ、準備はいいな?行くぞ?」
「うん。」
ボク等は、デルに襲いかかった。
「【炎竜】さぁ、こいつに焼かれな!」
杖から炎の竜が出てきて、デルを襲った。
「へっへーん。そんなの効かないよーだ!」
敵は、炎竜をよけた。
そう、これがボクの魔法。自然の竜を呼び出し、敵にぶつける。まぁ、他にも在るけど。
「僕の攻撃を受けな!【落雷】!」
敵は、手を上から下に下ろした。すると、ボク達に雷が落ちた。
「地面よ我等を守りたまえ。【鉄壁】」
ボコ!ボコボコ!
僕達の周りを囲むように鉄らしきものが囲む。
「残念。外れ。そして俺の存在を忘れちゃぁ困る。秘技!【雷聖拳】(らいせいけん)」
ドン!バリッバリッ。
雷聖拳は、相手を殴り、雷を発生させる技。けっこー痛い。
「っつー」
「手ごたえあり。」
あ、口元緩めた。キモイ……。ま、止めを刺しますか。
「【三竜】さ、終わりだよ。」
「あぁぁぁあ!」
クリティカルヒット。命中。そして敵は倒れた。
「ヒュー♪さっすがー」
「まーねー。これぐらいできないと。えっへん!」
ボクは胸を張った。
それからボク等は、欠片を拾った。
「あーあ。これじゃぁ、まだまだ多いな。」
「うん。そうだ!一緒に来てよ!来るよね?うん!来い!」
「命令するんじゃねぇ!ま、行くけどよ。」
「やったあ!」
ボクは喜び、ホコラを出た。
暑かった。でも、そんなこと気にしなかった。
また、ボク等は歩く。他の欠片を集めて。
さぁ、次はどんなのが待ち受けてるんだろう。ワクワクしながら、ボク等の旅は進む…。