プロローグ
~プロローグ~
「あー大変だ大変だー!」
「落ち着けよ。」
バタバタと帽子を被った人形が走っている。何かを探しているようにも見えるあわてぶり。
俺の名前はディ。茶色いクマのぬいぐるみなんだが、これまた話せるんだよなー。その気になれば戦えるし。必殺技もあるし。つまりは動く人形。
で、さっきからあわてているのは帽子を目深にかぶり、杖を持っている人形のルイ。こいつも話せるし、魔法も使える。オレと同じ動く人形。
「つーか、何が大変なんだ?」
オレは、いつまでもバタバタ走り回られたら鬱陶しいからなんで走ってるか聞いた。
「あのね、ボクが大事に大事にしていた宝石がないのー。グスン」
ルイは手を目元にやり泣きはじめた。それぐらいで泣くなよ…。まったく。
ん?まてよ…。あいつが大事にしている宝石ってまさか!
「おい!まさか、封印と増幅の石じゃねぇだろうな?」
「うん。それ」
何事もなかった様に返事をする。涙も何もない。さっき泣いたのは何だったのだぁぁぁ!!
「バ,…バカやろう…。アレが悪いやつの手に渡ったら、大変なことになるぞ?というか、お前は石を体の中に入れなかったのかい!よく動けたな!」
俺達動く人形は石によって動いている。大半の人形は体の中に入れている。
「そうだねぇ…。」
なんだよその態度は!あの石だぞ?ルイは何てことない顔しやがって…。
取り戻さないと大変な事になる。あの石は、ルイと繋がっている。あの石からルイが離れると、力が暴走してしまうし動かなくなる。まだ動いているからまだ近くにあるのか……。
「ねぇ、ディ。一緒に探しにいこうよ。ボク一人じゃ心配だもん…」
……。確かにそうだが、俺は関係ないからなぁ。行きたくねぇな……。でもアイツ一人じゃ心配だし……。でも行きたくないし……。
「行くよね?絶対行くよね?じゃあ、行こうか。」
「あ…。ああ。」
俺の腕を引っ張って、あるき出した。俺に拒否権なしかい!
そういうわけで俺達は冒険の旅に出た……。
実は、この小説は猪口零斗が書いたものではありません。
妹であるクローバーがある日、私のアドレスへと送ってきたものです。
せっかくなので発破かけて最後まで書かせて曝すことにしました←
もちろん、本人には許可を取ってあります。
それでは、クローバーが描いた人形達の不思議な旅路にどうぞお付き合いくださいませ。