新たな造語?
「えっ……」
名前を呼ばれて振り返る。
そこにいたのは、ゆらゆらと力なくたっているチョーローことアルフレッドだった。
「ひぃっ!!!」
アルフレッドを見たことにより、走っていた理由を思い出した私は、スミィの手を取り、全速力で駆け抜けようとして——アルフレッドにまわり込まれた。
うふふ、アルフレッド様ったら、サッカーとかバスケとかやったら得意そうですわね(はぁと)って、そんなこと言っている場合じゃない!
私は殺されてしまうのだろうか。
そうなると、スミィも目撃者として巻き添えになるか?
それは困る。無関係な彼女をこれ以上巻き込むのはよくない。
「……ユメコ」
また私の名前を呼びながら、揺れているアルフレッドは私を見つめた。
スミィのことは、どうやら眼中にないらしい。
私はぱっ、とスミィから手を離すと、全力で叫んだ。
「スミィ様、女子寮まであと少し!!! 駆け抜けてくださいませ!!!!!」
「……え、でも」
「私のことはいいから! はやく!!!」
切羽詰まった顔で叫んだの良かったのか、スミィは女子寮へとかけていく。
……良かった。
「ユメコは……」
アルフレッドは、何か言いたげな顔をしている。
しかし、スミィというある意味ではハンデを無くした私は無敵である。
アルフレッドに捨て身でタックルをぶちかました。
私だって、まだまだ殺されるわけにはいかないのだ。
そして、女子寮の中に逃げ込んでしまえれば、さすがに奴も手は出せまい。
人がいる場所で私を殺してしまえば、ヒロインと一緒の薔薇色⭐︎生活が送れないからね!
……けれど。
私のタックルは、あっさりとアルフレッドにいなされてしまった。
「!?!?!?!?」
なんだってー!?!?
アルフレッドひょろいのに意外と筋肉がおありだった。
まあ腐っても攻略対象者、というところだろうか。
って、冷静に分析している場合ではない。
アルフレッドは、私の捨て身のタックルをいなすと、そのまま両腕でがっちりと、私を拘束した。
じたばたと暴れてみるが、ぴくりともその腕は動かない。
「!?!? ……?」
しかし、その体は震えていた。
寒いのだろうか。
なにかここで温かいものを魔法か何かでだせば、驚いて、拘束が緩むかな。
火魔法と水魔法の混合で、お湯を、アルフレッドの背中辺りに、落とすのはどうだろうか。
アルフレッドはどうやら絞殺する気はなさそうだし。
そう考えた私が、お湯を生成しようとしたとき。
「……初めて、ユメコが抱きついてくれた」
「!?」
DAKITUKU?
新たな殺しの方法の造語か何かか?
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