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狐の女の子のしっぽを整形したら診療所を爆破された

ここは異世界の美容クリニック。口コミでいろんな種族の患者様がいらっしゃいます。

狐の獣人のの女の子の患者さんを九尾にしたらとんでもないことになりました。

「わっちの尻尾を九本にちてください」


 狐の獣人の女の子が一人でクリニックにやって来た。尻尾を九本にしたからといって、九尾の狐のように強くなれるわけではないと思った。


「中の施術室へどうぞ」


 施術室にうつぶせになってもらうと尾の部分に光を当てる。オレンジ色の光が部屋に反射し部屋が明るくなった。


 一分ほどで尻尾が9本になる。


「全身鏡で後ろを確認してください」


「おおーー。これでしゅ」


 狐の獣人の女の子が目を細めた。金貨の入った袋を受け取る。


「また何かあったら来てください。お待ちしております」


 異世界美容クリニックへのリピート率は高い。ひとたび体をいじるとたいていの人間や獣人はやめられなくなるのだ。


 この日は患者様はおひとりだったので、仕事は終わりにして銀行へ金貨を預けに行く。


「お客様。これは金貨ではなくてどんぐりですね」


 銀行員に言われて袋の中を覗くと袋の中は金貨はなくなってどんぐりに変わっていた。


「やられた。狐の小娘だ」


 銀行員に謝罪して銀行を後にする。こっちが捕まるところだった。普段から大口のお金を預けているので問題にはならなかった。


 次の日に狐の獣人の娘がやって来た。昨日の女の子と違って大人の女性の姿だ。尻尾は九本あるので、もしかしたら昨日の女の子ではないかと思った。


「わっちの胸を大きくちてください」


 間違いない。昨日の女の子だ。


「200ゴールドになります。お金のほうを先に見せていただけないでしょうか?」


「う、うん。いいよ」


 狐の獣人の娘が袋に入った金貨を見せた。私は一度確認して閉じた後に袋をもう一度開けてみた。中はどんぐりだらけになっていた。


「君、昨日の女の子だね。昨日も中身はどんぐりだったよ」


 狐の獣人の娘はしまったという顔になって走って逃げようとした。手を捕まえると煙をあげて小さな女の子に変身してしまう。


「人をだましちゃいけないな」


「はなせ。はなせぇ」


 女の子が暴れて、だんだんオレンジ色に輝いてくる。何事かと思って手を離すと爆発音を出しながら体から光を放出して診療所が吹き飛んだ。


「九尾の狐になったから、わっちは、強い」


「わっちは強いじゃないよ。診療所を元に戻してもらおうか!」


「わっちは、金はない。でもいろいろでちるようになった」


「いろいろ出来るのなら働いて返してもらおうじゃないか。まず診療所を作りだしてくれ」


「まじか?」


 狐の女の子は木の葉を地面に置くと手をかざして踏ん張る。前の診療所と同じぐらいの広さでややクラシックな建物が建った。


 中に入ると何も置かれてない。


「診察台と受付カウンターもだ」


 狐の女の子は診察台と受付カウンターも作りだした。


「あとから木の葉になったりしないだろうね」


 嘘を見抜いた瞬間に建物も診察台も消えて木の葉にもどった。


「しょうがないなあ。もう」


 私は奥の方から魔法の杖を出してきて建築の詠唱をする。


「キャスタリア!」


 前より少し大きめの建物が建った。控室や宿泊施設や食堂、シャワー室もある。


「いろんな魔法が使えるのか?」


「美容の魔法だけじゃないぞ。ダークエルフだからね」


「それで肌の色が灰色なんだな」


「そうだ。これから予約のお客さんが来るから、助手になって施術の手伝いをしてくれ」


「許ちてくれるのか?」


「ああ、許そう。でも100ゴールドは1回の手伝いでは返せないよ。しばらく働いてもらうからね」


「九尾にちてくれたからしょうがない」


「名前は?」


「チコ」


「チコ。よろしくな。私の名はダンテだ」


 ちょうど人でも足りなかったから助手として頑張ってもらおう。受付をしてもらっていると、リピートのガーゴイルのヴィエナさんが来た。


 施術室でモンスターの体を人間の女性らしい体に変えるとチコがうらやましそう顔で見ている。


「チコのおっぱいもあのぐらいにちてください」


 患者様が帰った後に服の裾を引っ張りながらチコがせがんできた。


「まずはお金を返してからだ。そして働いて貯めてからにしような」


 チコが頷いて平らな自分の体を見る。


「チコ。夕方まで受付をお願いしますね。私は奥の部屋にいます」


 私が奥の部屋で次の患者様のための調べものをしていると何やら受付が騒がしい。


「おい。先生を出せよ」


「ここは美容クリニックだ。お前のような兵士の来るところじゃない」


「Dのマークを見て来たんだ。Dいるんだろ」


「先生はDなんかじゃない」


 体を戦闘用に作り変える仕事もあることを知らないんだな。この子は生真面目なんだろう。私は奥の部屋から出て接客する。


「私がDです。いいんだ。チコ。DはダンテのDで戦闘用の美容整形のブランド名だ。体を戦闘用に整形する仕事もしているんだよ」


「そうか。すみませんでちた」


 チコは素直に頭を下げる。素直ないい子だ。揉めていたリザードマンの兵士が分かってもらえればいいと安心した様子だった。


「今日はどのようなご希望で来られましたか?」


「羽根をつけて欲しいんだ」


 リザードマンには翼竜の羽根のあるものとない者がいる。羽根があるほうが空も飛べるためより高い地位に付くことが出来る。


「翼竜の羽根ですね」


「そうです」


「中の診察台の上でうつぶせになってください」


 施術が終わると姿見の前で羽根を確認してもらった。


「これで、高い役職につけるよ」


「皮膚を硬くしたり、尻尾の先に剣をつけたりいろいろできますから」


「それならさらに強くなれそうだな。又来るよ」


「ええ、活躍祈っております」


 リザードマンが満足そうにして外に出ると新しく出来た羽根で空を飛んで帰っていく。


「ダンテ。おなかちゅいた」


 この様子だと家もお金も食事もないのだろう。


「わかったよ。チコ。今日は予約はもうないから、終わりにして食事を作ろう」


「コーン。コン」


 チコが目を細めて喜びの鳴き声をだした。


 スープとパンを一緒に食べる。ものすごい勢いでチコは食べ始める。よほどおなかがすいていたのだろう。


「なぜ胸を大きくしたいんだい?」


「わっちが子供だからって冒険者パーティーに入れてくれないんだ」


「胸を大きくしたって、子供はパーティーに入れてもらえないぞ」


「九尾になったわっちはすごく強いぞ」


「そうだな。建物を吹き飛ばすくらいだからな」


「冒険者パーティーに入ってどうするんだい?」


「お金を貯めて、冬に困らないように準備するんだ」


「それなら、うちのクリニックで助手をしなよ。一人のお客さんで1ゴールド出そう。食事もつけるし、ここに泊まってもいいよ」


「食事つきか。それならチコは助手になる。魔法もおちえて」


「わかったよ。交渉成立」


 机の上でチコの小さな手とハイタッチした。


「ダンテ。スープおかわり」


「はいよ」



励みになりますので是非応援よろしくお願いいたします。


他の短編や長編連載もありますのでそちらの方もよろしければ読んでみてください。


続きが知りたい、今後どうなるか気になる!

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