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豊胸したいダークエルフ

ここは異世界の美容クリニック。口コミでいろんな種族の患者様がいらっしゃいます。



ここは異世界の美容クリニック。口コミでいろんな種族の患者様がいらっしゃいます。

本文編集


「脱色するのは簡単ですが今のままでも美しいですよ」


「おせじは結構なので脱色してください」


 異世界で美容クリニックをしていると色々患者様が来ます。その中でも多いのが肌の色や質感を変えるというものです。


「アリス様、今回のコースですが顔だけが、100ゴールド、全身で300ゴールドになります」


「全身でお願いします」


 この方の場合、灰色の肌を白くしたいというものですが、元の肌がすべすべで十分美しかったので、私はつい肌を変えなくてもと言ってしまいました。


 それは本心からです。


「ダークエルフだと差別されることが多いので白くしたいんです」


「差別ですか? そんな風に感じたことはありませんけどね」


「冒険者ギルドに行くとダークエルフより普通のエルフのほうがパーティーに入れてもらいやすいんですよね」


「そんなことあります?」


「それに、性格も陰キャだと思われてしまうし」


「陽気なエルフなんてそんなに見ないですけどね」


「私はめちゃくちゃ明るいですよ」


 ダークエルフの女がすごく暗い声を出した。


「こちらのベッドに仰向けに寝てください」


 患者様を受付から施術室のほうに患者様を案内すると色素変更の魔法の準備をします。


「先生、目を隠している布はとらないんですか?」


「ああ、これでも見えているんですよ」


「そうなんですか。先生がどんな目をしているのか気になって」


 私の顔は目を紫の布で覆っているため目が見えない。一応コスチュームの紫に合わせてはいるのだ。


 それとちょっとだけ神秘的な感じを出そうかと思っての配慮だ。と言うのは嘘でどこを見ているかを知られたくないからだ。


「目の色が気になりますか? それとも目の数が気になりますか?」


「色も、数も気になります。それからどこを見ているかも気になります」


 ぎ、ぎくぅ、目線ばれたかな。


「教えません」


 患者様の顔の上に手をかざすと私は手を光らせます。光らせなくても出来るのですが、手術している演出なのです。


 色素変更の魔法でダークエルフの顔は白くなっていきます。ダークエルフはエルフと一緒で元の顔が良いので白い肌が映えますね。髪の毛はもともとシルバーだったのであまり変わりません。


 顔の施術が終わった段階で患者様に鏡を持たせて確認してもらいます。


「これが私! ああ 普通のエルフのように白いわ」


 仰向けになりながら患者様が喜んでくれました。患者様の喜んだ顔を見るのがこの仕事の一番楽しいところです。


「それでは全身を脱色していきますね」


 それから私は患者様に光を当てて全身を脱色していきました。施術時間は1時間程度で入院も必要ありません。ダークエルフの肌は真っ白に変わっていきます。


「施術は終了しました。全身鏡をご覧ください」


 全身鏡に体を映しながら患者様が一回転すると、灰色だった肌が白くなったのを見て笑顔になりました。


 患者様が手を口に当てて喜ぶとさらに数回鏡の前で裸の体を回転させて喜びを噛みしめていました。だいぶ気にいった様子ですね。


「ありがとう。想像以上の仕上がりだわ」


「なにかまたご相談があればおいでください」


 しばらくしたある日、アリス様がまた美容クリニックを訪れました。この仕事はリピート率がかなり高いのです。


 というか、それ、狙ってまーす


「どうされました?」


「今回は豊胸しに来ました」


「アリス様の胸はそんなに小さいとは思えませんが」


「パーティーには前よりも加えてもらえるようになったのですけど、Sランクの勇者様のパーティーは体が色っぽいほうが加えてもらいやすいのです」


「ああ、英雄色を好むといいますからね」


 ゲスなんだよ。強いやつはみんなゲス


「私のレベルも大分上がったので、上を目指したいのよね」


「胸だけでよいですか? お尻のほうは少し盛りますか?」


「お尻の方も少しだけ盛ってください」


 ううむ。アリス様の素材だとかなりいい女に仕上がりそうですね。


「分かりました。豊胸が200ゴールド、お尻が200ゴールドになります」


 形状変更の魔法で簡単に豊胸出来るとはいえ、安い金額ではありません。冒険で稼いだお金をすべて美容クリニックにつぎこむ方もいらっしゃいます。


「こちらの施術台に仰向けになってください」


 私は手をピンク色に光らせて胸とお尻を盛る形状変更魔法をかけます。脱色した時と同様ひからせるのは演出ですので、前と色は変えます。


 ほわああ。こりゃすごい。目のやり場に困る。


「いかがですか?」


 施術が終わると前回のように姿見で患者様に確認してもらいます。


「理想通りの大きさよ。ありがとう」


 理想以上でしょうよ。アリス様。美しいですよ。


「またお悩みがありましたらご利用ください」


 一度いじり始めると止められないのが美容クリニックです。エルフの患者様は間違いなく又いらっしゃるでしょう。


 それから三ヵ月ほどしてエルフのアリス様が又いらっしゃいました。


「今回はどこをいじりますか?」


「唇をふっくらさせて欲しいの」


 いじる必要ないと思うけどなあ


「アリス様の顔は今でも十分美しいですよ」


 エルフ族の顔は基本美しく、手を加えるところなどありません。


「パーティーを組んでいる勇者様を狙っているのだけど、唇が厚いほうが好きみたいなのよ。どうしてもあの勇者を私のものにしたいのよ」


「分かりました。アリス様、少しだけふっくらとさせましょう」


「お願いします」


 ではこちらの施術台の方に仰向けになってください。


 うわぁ。すごいボディだなぁ。自分の腕に惚れてしまいますね。


 私は患者様の唇に形状変更の魔法をかけていきます。赤い光を小さく震わせます。震わせたり点滅する必要は無いのですが、これも演出です。


 顔周辺の場合点滅させると雰囲気が出てより患者様は喜ぶようです。


 唇の場合、微妙に変えるテイストがこの仕事の難しいところになります。形状を変える魔法を使えるものはたくさんいます。


 お客様はエルフなのに自分の魔法でできないのかと思ったでしょうけれど、そんなに簡単にできるなら、異世界美容クリニックに来る必要はありません。


 魔法の強さをうまく調節できたとしても美しい色や形状になるとは限らないのです。要するにセンスが必要なんですね。


 私は美のセンスに長けているのです。


「いつもありがとう。あなたの仕事は信頼しているわ」


「またご相談があればいつでもいらっしゃってください。お待ちしております」


 ですがエルフの患者様は特殊な事情を抱えていました。つぎに来られた時は深刻な顔をされていました。患者様のお腹は大きく膨れていたのです。


「先生、彼にばれずに子供の肌の色を変えたいのです。お願いできますか?」


「それは可能でございます。お父様になられる方はこの間お話しになられていたSランクの勇者様ですか?」


「そうなの。彼には私がダークエルフだったことは話していないのよ」


「分かりました。私の施術はおなかの上から出も出来ますので大丈夫ですよ。赤ちゃんを見させていただいてもよろしいですか?」


「はい、先生お願いします」


 私は目で見ているのではなく心でみていますから、実は目を布で隠していても変わりません。おなかに手を当てるのも演技です。


 すでにおなかの中の子供の様子はわかっていたのです。


 この子供はもう一つ秘密を抱えていましたが、アリス様には内緒にしていました。実は旦那様の勇者様の私の患者様だということをです。


 旦那様は容姿端麗な人間のSランクの勇者様として活躍されておりますが、実はキャットピープルのハーフでいらっしゃいます。


 勇者様はアリス様が自分のために唇を盛ったのをご存知でした。アリス様がこちらのクリニックに来るだろうから赤ちゃんの耳を確認して欲しいということでした。


 もしお子様に猫の耳としっぽがあったら人間の耳にしてほしいということでした。赤ちゃんの耳はエルフのようにとがっていました。


 私のほうで猫のしっぽの方はそっとなくしておきました。


 もちろん後で勇者様の方にはご報告して200ゴールドいただきました。


 こうして多くの常連さんとご紹介の患者様を獲得していくのが異世界美容クリニックでございます。今回の患者様のお話しはいかがでしたか?


「またのお越しをお待ちしております」

励みになりますので是非応援よろしくお願いいたします。


他の短編や長編連載もありますのでそちらの方もよろしければ読んでみてください。


続きが知りたい、今後どうなるか気になる!

と思ったらどんな評価でも結構ですので

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