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整形して十頭身にしたいゴブリン達

今回の患者様は女優の顔に整形して十頭身にしたいとおっしゃいました。雑誌のモデルのようにかわいくなりたいというのです。


 美人のゴブリンばかりいる村があるのを知っていますでしょうか? あの村の女性立達は全員私の異世界美容クリニックの患者様です。


「私の体を十頭身にしていただけますか」


 最初のゴブリンの患者様がいらっしゃった時には少し戸惑いました。


「それではゴブリンらしくないのでは?」


「それで構わないのです。私、ゴブリンで初めてのモデルを目指しているので」


 ゴブリンでモデルとか無理だろ。


「モデルですか?」


 モデルともなると十頭身だけでなく顔などのつくりも変えないといけないだろうと思った。


「顔はどうなさりますか?」


「この顔にしたいのですが」


 ゴブリンの女性はファッション雑誌を握りしめていた。雑誌に葉っぱの付箋が貼ってある。一体どこでこの本を手に入れたのだろう。


 付箋のあるページを開くと長沢すずだった。長沢すずは人間の女優の中でも人気上位にランクする。これと同じ顔にするのは簡単だが肌の色は緑のままか気になった。


「顔はこちらの女性にすることは出来ますが、肌の色は今のままにしますか?」


「はい。私は今の生活に不満はありません。ただ、この子の様にかわいくなりたいだけなんです」


 欲がないねえ。だけどゴブリンに美容クリニックの費用を支払うことが出来るのだろうか。貧乏なんじゃないの?


「こちらの方の顔にして、さらに十頭身ともなりますと、500ゴールドになりますがお支払いは可能でしょうか?」


 言い終わって、私は非常に失礼なことを言ってしまったことに気が付きました。それでも患者様は怒ったりすることはありませんでした。


「砂金で支払うのは可能でしょうか?」


 ゴブリンの女性は砂金の入った袋をカバンから出した。


「結構ですよ」

 おいおい、金持ちのゴブリンなんて聞いたことないぞ。


「最近私の村の川では砂金が取れるのよ」


 私が不思議な顔をしたので気を使って説明してくれたようだ。


「大変失礼いたしました。アンジュ様。すぐに施術にとりかかります」


 患者様を施術代の方へ案内する。


「こちらのベッドへ仰向けになってください」


「あのぉ。その目を覆った布は外さなくても見えているのですか?」


 私は目を紫の布で覆っており、鼻と口は出している。紫色は服に合わせている。実際目で見ているわけではなく心で景色を見ているので関係なかった。


「このままでも見えているから大丈夫ですよ。目の色が気になりますか? オパール色ですよ。目の数が気になりますか?」


 目線を隠しているんだっつーの。どこ見てるか隠したいんだって。


「は、はい。すいません。変なことを聞いてしまって」


 私は両手に手に光を宿して患者様の体に当てました。光は演出です。光はなくても形状変更の魔法は出来るのです。ただ怪しく紫に光った方が魔法っぽいでしょう。


「目を閉じてください。顔を変えます」


 患者様は口を真一文字にして震えていました。


「痛くはありませんからリラックスしてください」


「は、はい」


 私は目を閉じた彼女の上で光を点滅させました。これも演出です。


「アンジュ様。顔をご覧になりますか?」


 手鏡を渡すと彼女の顔が明るくなった。


「か、可愛いわ。これが私なの? 夢みたい!」


「ええ、これは間違いなくあなたですよ。体の方を施術していきます。鏡を見たままでも結構ですよ」


 彼女は自分の顔に見とれているでしたのでそのまま手鏡を持たせました。体に光をあてて十頭身に伸ばしていきます。彼女はモデル体型になっていきました。


 ゴブリンは関節が出ているのですこし肉の付き方を人間に寄せました。胸は大きすぎず小さすぎず。人間のファッションモデルのような体型です。


「施術が終わりましたよ。全身鏡でご覧ください」


 我ながら会心の仕上がりだと思いました。ゴブリンがこんなに美しくなるとは自分でも驚きました。


「まあ、本当にこれが私なの!」


 アンジュ様は涙を流して喜ばれました。このお客様は又来るだろうなと私は直感しました。たいていのお客様は美容クリニックをリピートされます。


 一度美を追求されるとやめられなくなるのです。


 想像した通りゴブリンのアンジュ様は、異世界美容クリニックへリピートで来られました。


「あの、髪の毛、金色の髪の毛にしたいの。長い髪がいいわ」


「かしこまりました。ストレートで結構ですか?」


「いいえ、こちらの方のようにウエーブがかかっているのがいいの」


 彼女は人間のファッション雑誌を持って握りしめていました。


「かしこまりました。こちらの髪の毛にいたしますね。施術台の方へどうぞ」


 彼女に施術台に寝ていただくと指先を七色に光らせて頭の周りを囲みました。もちろんこれも演出です。光らせなくても金色の髪にはできました。


 私は患者様の気分を盛り上げるのも大事な仕事だと思っています。今後さらにエンターテイメント性も持たせたいと思っているところです。


「アンジュ様仕上がりましたので、全身鏡の方へどうぞ」


 彼女はすごく満足そうな顔をしました。


「これなら村で、もっと自慢できるわ」


「村での評判が良いのですか?」


「ええ、お友達にどこでそのようにしたのか聞かれるの。お友達に教えてもよいかしら?」


「ぜひ、お友達をご紹介ください。アンジュ様のお名前を出していただければ同じ村の方だと分かりますから、こちらも安心できます」


 砂金で支払いの出来るゴブリンは貴重なお客様でした。おそらくお友達が来るだろうとは思いましたが、こんなに大勢来られるとは思いませんでした。


「アンジュ様の紹介で来たのですが、私達もこの方のようになりますか?」


 患者様が握りしめていた雑誌の顔は新垣遥だ。欲張りな種族だ。


 その後、村の女性たちのほぼすべてが私の美容クリニックにいらっしゃったのにはびっくりしました。


「どのような顔にいたしましょうか?」


 皆さん遠慮なしに女優の顔を指定してきます。


 体は十頭身で顔は彼女達が好きな女優になるのですから、ゴブリンの村はそれはもう大変なことになってしまいました。


 男性は狩りに行こうとせず、妻や恋人のために一緒に川に砂金を取りに行きました。砂金には価値があるので生活には困らなかったでしょう。


「俺の体をこの体にしてくれ」


 そのゴブリンの村の男性が来るようになったのは美しさのためだけではありませんでした。十頭身で筋肉の付いた体躯が必要でした。


 ゴブリンの村では問題が起きていました。ゴブリンは他の種族女性を襲うのが通例でしたが、ゴブリンの女性が他の種族に狙われるという事件が起きたのです。


 その村の男性は他の種族を襲わなくなりましたが、自分の村の女性を守る必要が出てきたのです。


「出来れは一部分をアルマジロの皮膚にして防御力も強化したい」


「アルマジロですか?」


 いいけど、こいつ頭大丈夫か?


「そうだ。オーガやオークやコボルトから女性を守らなければならん。そのうちきっと冒険者が村の女に目をつけるだろう」


 冒険者がゴブリンの女を襲うなど聞いたこともないけれど、私の作った美しい女性達であればその可能性もゼロではないでしょう。


「分かりました。十頭身でマッチョにして体の要所にアルマジロの皮膚を作ります」


「あ、それと顔はこの顔で!」


 ゴブリンの男は人間の雑誌を握りしめていました。葉っぱの付箋の場所を開くとそこにはトムブルースの写真がありました。なんて欲張りな種族なのだろう。


「分かりました。髪の毛は金でよいですか?」


「ああ、金色にしてくれ」


 私は手を光らせながら男性の体を依頼通りにしました。ゴブリンの緑の体がたくましく変化して、肩と腕、胸と背中、脇腹やすねなどを硬い皮膚にしました。


「戦ってもらいながら改良したいので、又来ます」


 これは良いお客様だと思いました。戦闘の仕様に体を変えるノウハウが蓄積できます。今まで女性の美ばかり追求していましたが、これは口コミが広がりそうな予感がします。


 美男美女ばかりいるゴブリンの村の近くの廃墟にはやたら強いゴブリンが出ると噂になりました。


 形状を変更する魔法を使えるものはたくさんいますが、この異世界で口コミでお客様が来るのは美しく仕上がるからです。


 私でなくてはこのようには仕上がりません。


 私の施術だとわかるようにするにはどのようなアイデアがあるでしょうか? 


 私の名前のダンテのDの字、戦闘バージョンの美容整形の時はどこかにDの字を入れていくことにしました。


 異世界美容クリニックD、それが私のお店の名前です。ぜひ又お越しください。




励みになりますので是非応援よろしくお願いいたします。


他の短編や長編連載もありますのでそちらの方もよろしければ読んでみてください。


続きが知りたい、今後どうなるか気になる!

と思ったらどんな評価でも結構ですので

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