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アルテナの反逆  作者: 仮の英雄
三章
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バルゼル家とレーナン家

年内にもう1話、できればさらに1話更新する予定です。



「ご苦労だった。一仕事終わったところで申し訳ないが、この手紙をレガン商会に届けてきて欲しい」

「ご苦労。じゃあ、次はこれをブレー侯のところへ届けにいってくれ」

「ご苦労。じゃあ、これを‥‥‥」



連合国盟主のグランは、屋敷の執務室に次から次へと入ってくる使用人達に対して次の指示を出し、合間に書類を作成するなどとても忙しく動き回っていた。

彼がこのような状態になったのはレーナン家に反乱の兆しが見られたからだ。


レーナン家の武官が不満を持っていることは前から分かっていたが、当主のドルフは反乱を考えるようなやつじゃなかった。

それが最近は敵意を隠そうとしなくなり、遂には連合国会議にも参加せずに戦争の準備を始めたのだ。


これには連合国全体が驚いた。

いくらレーナン家が連合国の軍事力の中心とはいえ、連合国全体を相手にできるほどではない。

念のため調査をしたが、反乱に加担しようとしている者は見つからなかった。


だが、何か秘策があるのかもしれないし、いつ戦争が起きてもいいように他国や連合国内の貴族に根回ししたり作戦を伝えたりしなければならなかったため、ここ数日は寝る暇もないくらいに忙しかった。


そもそも、バルゼル家には今男児がいないため、娘とレーナン家の長男との間で婚約を結んで盟主の座を譲るつもりだったのだ。

そのことはレーナン家も分かっていたはずなので、反乱を起こす必要はないはずだった。



「ここで思い止まってくれればいいのだが‥‥」


もし、両家の婚姻が成立していれば、連合国は一つになり、周囲の国に負けない国になっただろう。


幼い頃にドルフとした『約束』を思い出して、グランは再び深いため息をついた。






「私が盟主になるために決まっているだろう」


ところ変わってレーナン家にて。

戦争に反対するレーナン家の文官に、婚姻によって盟主の座は譲られるため反乱を起こす必要はない、と意見された時にドルフはそう答えた。


彼も息子と王女との婚姻によってレーナン家が盟主になるという計画は知っていた。

だが、それではレーナン家が実権を握るのはグランが引退する頃、おそらくまだ数十年は先になるだろう。

それでは遅い。彼はレーナン家が盟主となることではなく、自分が盟主となることを望んでいた。


「もう反乱は決定事項だ。それに、我々が勝つのも確定している。お前達は勝った後どうするかを考えておけ」


そう告げると、文官を退出させる。

そして、机の引き出しを開くと、赤黒い光を放つ宝玉を取り出し、大事そうに撫でる。



数年前までは自分が盟主になりたいなんて考えたこともなかった。

現盟主のグランは優秀で、周りを囲む強大国と外交によって友好関係を築くなど連合国の発展に大いに役立っており、彼より盟主に相応しい人はいないと確信していたくらいだ。

それに、グランとは幼馴染で、自分の力と彼の頭脳で連合国を発展させると誓ったこともあった。


だが、この宝玉を手にしたその瞬間から、そんなことはどうでも良くなった。

クロノス神に選ばれた自分こそが盟主になるべきだと分かったのだ。

たとえ元親友が相手だろうと、その地位を奪うことに躊躇いはない。


「クロノス様、私めに力をお貸しください。必ず連合国を手に入れてみせます」


その言葉に応えるように宝玉が妖しく光り、ドルフの瞳はさらに濁っていった。




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