Prolog
いつまで続くかは分かりません
私は美世。
昔から物語を読むことが大好きだった。
高校生になった今でも読書が趣味だが特に異世界に行くような話が大好きだ。
『私も異世界に行けたらなぁ·····。』
私がそう思う理由は異世界転生ものが好きだということだけではない。
それは私の容姿などにもある。
私はいわゆるデ·····いやちょっと周りよりぽっちゃりめなのだ。
BMIも·····考えるだけで泣きそうだ。
そして本を原作とするアニメも多いため見事にオタクでもある。
そんなぽっちゃり根暗メガネオタクの私には友達も少ない。
話すのが苦手で上手く話せない。
「豚女」
それが私へのあだ名だ。
もうこんな世界いや!
だが、異世界転生物は社畜リーマンが魔王になったり、冴えない女の子が姫になるなど見た目的にも中身的にもステータスアップするのだ!!
私の1番のお気に入りのやつも残念な女子高生がイケメン王子に転生して·····って話が逸れてしまった。
とにかく私は異世界転生して順風満帆なチートライフを送りたいのだ!!
だがもちろん問題もある。
·····そう!それは行き方である。
『転生』
とついているだけあって1度何かしらで死ぬ事が前提条件となることが多い。
私の1番のお気に入りのやつも交通事故にあって·····という感じだった。
死ぬとなると相当な勇気と痛みを伴う·····
『痛いのはいやぁぁ!』
なので何とか痛くない方法を日夜探している。
とりあえず今日もぼっちで図書館に来た。
『黒魔術とかの辺りにないかなー?』
色々黒魔術の本を手に取りパラパラとめくる。
『これじゃない。これにもない』
計15冊ほど見てみたがそこに私の求める内容はなかった。
『黒魔術じゃないのかな?』
と思った時本棚の端に黒魔術の本にしては珍しい白色の本があった。
『こんな目立つ本あったっけ?』
不思議に思いながら見ると
『?!あった!』
見つけてしまった。
【世界線移動】
という名前になっていたが内容は異世界転生そのままだ。
私はこれを急いで借り早速家で準備を始めた。
『持ち物は何がいるんだろう·····?お金は多分違うし携帯も通じないだろうし·····ってことは数日分の服とか、暇つぶし用の本、あと大好きなお菓子!』
持ち物を揃えあとは儀式をするだけだ。
床に魔法陣を書くのは微妙だった(カーペットを動かすのがめんどくさい)ので大きな紙(学校で使う用に買ったがあまった)に魔法陣を書いた。
そしてそこの真ん中に荷物を持って立ち呪文を唱える。
「マレヘラヘスティリオールシルケ!!」
しーん。
何も起こらない
何か間違えたのだろうか。
そう思ってしゃがんだ瞬間
シューン
紫色の光に飲み込まれた。
「痛たた·····」
ってここどこ?!
周りを見ると見たことも無い景色。
中世ヨーロッパみたいな感じの世界だ。
「異世界転生成功したんじゃない?!」
喜んで自分の姿を見ると
·····変わってない。
ただのデブ眼鏡がいるだけだ。
嘘だ·····
異世界転生には成功しているが、成功してない!
大ショックだ·····。
『帰ってやり直すか·····』
と思った時に気づいた。
『私·····あの本持ってきてない·····』
そう、これはデブ眼鏡な私が憧れの異世界移動した世界で帰る方法を探す、ありきたりな物語である。