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「小説家になろう」について思うことをいろいろと

作者: 石抒昊士郎

 私が先日、ネットのニュースを見ていると、ある記事が目に入りました。

 端的に言うと「小説家になろう(以下なろう)」の某作品が書籍化、発売されたのだがそれが某通販サイトのレビューにて低評価を受け、そのレビューの内容に作者様が反論という形で苦言を呈したというものでした。

 それ以外にも最近ではなろう発の作品のアニメ化が多くなってきたのですが、それに対してどれも似通っているだとか、こんなんばっかし、なんて意見が多くあったので、その件についても考えてみました。

 

 作者様の言う通りどんな評価をしようと自由ですし、もっと言えば読者様の読解力のなさのせいにするというのもいかがなものかとは思うのですが、しかし、自分があれこれ悩みながら生み出したであろう作品が書籍化までしたというのに真向から否定されたということであれば、そら悲しくなりますし、いろいろ言いたいこともあるでしょうね。

  

 と、大して人気でもない作品の作者が言ってもちっとも響かないでしょうが、いろいろ思うところもありましたのでこうして書くことにしました。


 そもそも、このなろうというのは自分が好き勝手に考えた小説作品を投稿ができ、それを誰でも無料で読むことができるというサイトです。投稿目的は様々でしょう。

 「自分の考えた作品を読んでもらいたい」、「自分の妄想を頭の中だけにとどめておくのは勿体ない」、「ひょっとして私でも小説書けんじゃね?(私はたぶんコレ)」などなどなど……

 中には、「あわよくばどこかの出版社に拾ってもらって作家デビューできるかも?」なんて人もいるかもしれません。

 さて、では小説を投稿している方々は一体この小説を誰のために書いているのでしょう?

 答えは明白、自分の為ですね。

 期待している読者がいるから続きを書く、ということはあるでしょうが、少なくとも本当の一番最初、初めての作品の第一話を投稿したのは自分の為ですね。

 きっと理由はいろいろあるのでしょうが。

 しかし、よく感想ページなどで「続き待ってます!」なんてコメントがあります(私のところにはありません)。

 こうなった瞬間に自分の為に書いて投稿したはずの小説作品がほかの誰かのためにスイッチしていきます。

 そして、書籍化しました、となった瞬間におそらく、その作品は自分の為のものだけではなくなるのではないでしょうか?

 当然のことですが、書籍化したということは作者様はプロの小説家になり、その作品を読者様はお金を払って読むということになります。

 ですから、お金を払って読んだ作品に関して何をどう言おうと一応、読者様の自由ではありますし、作者様にもそれを受けとめる度量は必要です。

 でも、限度はあります。

 そもそも、自分が趣味として好き勝手に考えたものを書籍化したのですから、話が悪いからっていちいち否定のコメントするのも、それに反応して暗に「ちゃんと読めよ」と言うのも度量が狭すぎな気がします。

 お客様は神様かもしれませんが、読者様は人間様だし、作者様だってそうなんですから、その辺は対等になったほうがいいと思いませんか?

 なんだかこの一件、両者ともに上からいってる気がするんですよね。

 気のせいかな?


 現在、なろうの検索ページで小説を探すと、小説は581,734作品(2018/7/19/10:00時点)あり、その中で「異世界」とだけ入れてキーワード検索してみると、101,194作品がヒットします。

 ざっくりとした検索と計算ではありますがだいたい、二割前後は異世界もので占められているわけです。

 さらに、書籍化したものに限ればおそらく異世界もの、ファンタジー系統が占める割合は殊更大きくなることでしょう。(もちろん例外はあります、魔○科高○の劣○生とかね)

 現在ではこういった異世界もの、特に主人公が転生、転移するような作品、主人公がチート、ハーレム状態etc…… 

 こういったものを別サイトの作品もひっくるめて「なろう系」とまとめているところもあります。

 実際問題、こういう作品は書きやすいのだと思います。

 異世界だからほとんどの設定を自分で決められるわけですので。

 その一方、ファンタジー要素なしではあまり作品の人気が上がらないということもあるようです。

 ファンタジーを書く人しかいないからなのか、読者様がそういうものしか読まないのか、それはわかりません。

 私自身、ファンタジー系とそうじゃないものの二つを書きましたが、ブクマ数ではそこそこ開きがありました。(単純に私の文章力のせいかもしれませんが)

 よく、なろう系作品がアニメ化します、なんてニュースを見ると、コメント欄に「またこんな話か」なんてものが見受けられます。

 考えれば当然なのですが、このサイトで上位に行くには文章の上手さ、テクニックとは別にやっぱり特定のジャンルでないと人気が出ないということになります。

 そうなれば当然上位に来るのは、ファンタジー然り、チート、ハーレムなどになってしまいます。

 書籍化するほうもサイトで上位に来るものを書籍化したほうが一定のファン層が確保できるわけなので、ジャンルがレーベルによっても似通ってしまいます。

 さらにコミカライズ、アニメ化となればその中の人気上位の作品を選ぶでしょうから当然、同じジャンルとなるわけです。

 しかし、サイトの読者様はそういうジャンルばっかりなのを知ってて、かつその中からお気に入りの作品を選ぶわけですから、むしろ肯定的な意見が多いでしょう。

 しかし、書籍化すればそんな事情も知らないし、自分の好みじゃない、見飽きたなんて意見も多く出るのだと思いました。

 でもそれは別にここだけに限った話ではないと思います。

 某有名な少年漫画のテーマは「友情、努力、勝利」となっており、作品の多くはバトル、アクション、スポーツが多いと感じます。(近年はそうとも言い切れませんが)

 なろう、から書籍化した作品もたくさん出たことから、ここから作家デビューしたい人というのもなかにはいるでしょう。

 何かの賞レースに応募するよりももしかしたら楽なのかもしれません。(それはなんともいえないですが)

 その人がどんな作品を書きたいのかは千差万別です。

 ファンタジー、恋愛、推理、歴史、きっといろいろあるでしょう。

 しかし、ファンタジー系でなければ上位に食い込めず、書籍化など遠いことであると考えた時に、それ以外のジャンルで書籍化を狙いたいと考えても難しいのではないでしょうか?(無理とは言いません、実例はいろいろあります)

 例えば、漫画を編集部に持ち込んだとして、一回目で原稿が通ることなんてなかなかないと思うんです。

 きっと修正もするでしょう、それがどこまでに及ぶかによって下手したら結構違うんじゃね?とか、場合によっては自分の書きたいことが書けない……なんてとこもあるのではないのでしょうか。

 そうなったときに商業化に向けて、言い方が非常に悪くて恐縮なのですが、読者様に媚びを売るような作品を書いたとしても、それを非難できるものではないですし、むしろその選択は決して間違いではないと思うのです。

 ですから、自分が書きたいものかいてそれが書籍化して売れたならそれでよし、作家になるつもりで書きたくないものを書いて書籍化しちゃったならそれも一つの答えだと思うのです。

 どちらも間違いじゃありません。

 後者は後々しんどいかもしれませんが。


 私が小学生くらいの頃に読んでいた、とあるホビー雑誌の後ろのほうの連載に読者からの質問や意見にこたえるというものがありました。

 二人の真裸のホムンクルスの少年少女が答えるもので、下ネタ交じりのふざけたものなのですが、その最終回は至極まじめなものでした。

 読者の質問というのが「今、世に出ているもので、なんでこれが売れているのがわからない、自分の作ったもののほうがいいんじゃないか(要約)」みたいなことでした。

 実際こんなことってよくあると思います。

 それに対する答えというのが単純で、「みんなに必要だと認められているから(意訳)」だそうです。

 考えれば当然のことで多くの人が良いと思ったから売れるんですよね。

 これを見た瞬間になんだかストンと胸に何かが落ちました。

 何が言いたいかというと確かに面白くないという意見もあるけど、面白いと思っている人もいるよ、ということです。

 自分が面白くないと思ってもそこには確かにみんなが面白いと思っているという理由があります。

 冒頭に戻って件の小説にしても、実際同じ作者様の作品、五作以上が書籍化しているという事実があるわけですし、それらが売れてなかったら今回の作品も書籍化しないんじゃないかな?と思うわけです。

 キャラクターがキモイとか描写が拙いということにしても、同じ作者の書籍は売れているんでしょうし、その前にネット小説の時点で人気があったわけですから、面白い作品ではあるのでしょうね。

 まあ、なろうサイトの意見には若干バイアスがかかってる可能性も否定しませんが。

 くどいようですが、作品が面白くないという意見もあるし、面白いという意見もあります。

 あまりにも支離滅裂なことを書いていたり、ろくに作品を見ないで人の意見に乗っかってするのは論外ですが、そうじゃないならどちらの意見も正解でしょう。

 実際、この件で否定意見を出した人はちゃんと作品を読んだはずなのですから、決して理不尽な話ではないと思います。

 言い方とやり方は少々オブラートにね、と思ってしまいますが。

 否定意見をくみ取って作品の糧にするのも、気にせず今まで通り自分のやりたいようにやるのも作者様の自由です。

 ちゃんと作品を読んでくれている人がいること、そしてその中には確実に自分の作品のファンの人がいるということを忘れず、自信を持てばよいのだと思います。

 

 最後に、たいしてファンもいないであろう未熟者がこのような偉そうなことを長々と書き連ねたこと、それでも最後まで読んでいただいた読者の皆様に感謝し終わりたいと思います。


                                           石抒昊士郎

ちなみに私は人気が出なくてもいいし、書籍化しなくてもいいから書きたいことを書く派。

それでもブクマ登録とか来ればうれしいし、たぶん書籍化の話が来ればたぶん乗ると思います。(たぶん来ないだろうけど)

人間なんて、そのくらい単純な生き物なんですよ。

相手が深く読み取ってくれるとは限らないんです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「みんなに必要だと認められているから(意訳)」 これって、大切な視点ですよね。
[一言]  ……御作品を目にしていて……何故か経験したこともない……子育てについて思考しました ……ふと、自分の子供だからこそ、可愛く思えない時もあり、苦しいと思うこともある……というお母さん方のご…
[一言] 某ア〇ゾンの通販サイト、ここなろうで書籍化された方ののカスタマーレビューを追いかけて読んでいると、誹謗中傷としか思えないような低評価レビューが時々付いていて、それに反論したくなる気持ちも分か…
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