婚約破棄のお陰で幸せになれました
久しぶりの婚約破棄物です。
中身がないペラペラな感じですが・・・ではどうぞ(  ̄ー ̄)ノ
「リア。君との婚約を破棄したい。」
とある日の午後、私、リア・マーガレットは親しい友人達とお茶を楽しんでいると突然表れた我が婚約者に婚約破棄を言い渡された。
私は、お茶を一口飲んでから対応する。
「あら。お久しぶりですわ。ロバート。いつ以来かしら。」
ここ最近は、愛人との逢瀬に忙しかったらしく、ろくに私には会いに来なかった婚約者のロバート・リクンドーンは私の台詞に顔を歪める。
どうしたのかしら?
「そんなことはどうでもいい。それよりも、君とは婚約破棄する。それを伝えにきた。」
「あらあら。」
聞き間違えではなかったらしい。
周りの友人達を一瞥してもみんな困惑した表情だ。
私は落ち着いてお茶を置くと、真っ直ぐにロバートをみる。
「婚約破棄とは、穏やかではありませんね。それで?このことをお父様達にはお伝えしてあるのかしら?」
「父上達には後から話す。が、まずは伝えようと思ってな。」
「つまり、これはロバート様の独断であると?」
「そうだ。」
ため息をつく。
婚約破棄するなら、せめて最初に家に話して欲しかった・・・
面倒ですね・・・
「一応、理由をお聞きしてもいいかしら?」
「もちろん、キャミーユと結婚したいからだ。俺とキャミーユは心から愛し合っている。それを貴様には邪魔させない。何より愛のない結婚などしても意味ないだろ?」
「そうですか・・・」
頭痛がしてくる。
どうやら、愛人のキャミーユ様に本気になってしまったらしく、婚約破棄を言い出したみたいだ。
一応、私との婚約はお互いに利益のある婚約なんだけど・・・
「念のため聞きますが、ロバート様は私との婚約の意味はご存じですか?」
「そんなの、お前からの無理矢理の婚約だろ?お前が俺に惚れたから無理矢理婚約したんだろ。」
「なるほど・・・」
どうやら、この婚約の真の意味は知らないみたいだ。
にしても、この人こんなにアホな人だったかしら?
愛人のキャミーユ様の頭の緩さがうつったのかしら?
まあ、それはともかく。
「念のため、お伺いしますが。本当によろしいのですね?」
「くどいぞ。俺はキャミーユと結婚する。お前とは婚約破棄だ。」
「わかりました。」
こうなってしまっては仕方ない。
私は心配そうな周りの友人達に笑顔で大丈夫と伝えてから、ロバートに言った。
「婚約破棄の件については、私からお父様に話しておきます。また、今回の婚約破棄で当初の契約での違反もありますので、こちやですみやかに処理を進めさせていただきますので、それをロバート様のお父上にもお伝えください。・・・ロバート様。今までありがとうございました。」
「ふん。じゃあな。」
振り返りもせずに真っ直ぐに出ていくロバート。
私は、友人に巻き込んだことを謝罪してから、屋敷へと戻る。
やることがいっぱいだわ・・・
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屋敷へと戻ると、お父様は書斎にいるとのことなので、真っ直ぐに向かう。
部屋につくいて、ノックをするとすぐに入出許可がおりたので入る。
「失礼します。お父様。」
「おや?どうかしたのかい?リア。」
不思議そうな顔をしているお父様。
もう、40も半ばにいくのに今だに若々しいので、ご婦人方には大人気な父に私はさっきの婚約破棄について話した。
お父様は、私の話を聞いてるうちに、だんだんと眉間の皺が深くなり、話が終わると笑顔が真っ黒になった。
「なるほど・・・バトラー。仕度をしろ。戦にいくぞ。俺の愛娘を傷つけた不届き者の首をとる。」
「御意。」
「いえ、お待ちくださいな。」
ブラックなお父様とお父様と同じくらい怒りを全面に出している執事のバトラーは昔から私を可愛がってくれていたので、このままだと本当にロバートの首をとりかねない。
私は別にロバートはどうでもいいけど、このことが知れ渡り、国から目をつけられるのはあまり好ましくない。
「お父様。私はなんとも思ってませんから、大丈夫ですわ。」
「む、しかしだな・・・」
「どのみち、婚約破棄してこれから困るのはあちらですよ。」
私の言葉にそれもそうかと納得したのかお父様はようやく落ち着いてくれたようだ。
愛されてるのはうれしいんですけどね・・・
「それで・・・どうしたいんだ。リアは?」
「とりあえずは、昔リクンドーン家と結んだ契約での違反をしっかりと指摘してほしいです。どうも、ロバート様はご存知なかったようでいくつかの契約違反が目立ちましたので。」
「わかった。こちらで処理しよう。」
「お願いします。お父様。ですがすみません。婚約破棄されてしまったので、また探させるお手間もとらせてしまって・・・」
「気にするな。むしろしばらくは嫁に行かなくてもいいぞ?相手は探すが、なるべくなら今度はお前の意思でちゃんと結婚相手を選んで結婚してほしいからな。」
「ありがとうございます。お父様。」
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それから、1週間ほどで私の婚約破棄は正式に完了して、ロバートは愛人だったキャミーユと正式に婚約したらしい。
らしいというのは、夜会でそういう噂を聞いたから。
実は、私とロバートは意外に有名なので夜会でも婚約破棄は話題になってました。
皆、ロバートの浮気を知っていたらしく、ほとんど脚色なしで噂が広まっていたのには驚きましが・・・。
そんなわけで、夜会では私は悲劇のヒロインのような扱いを受けています。
ロバートとキャミーユは周りから結構避難されているみたいですわ。
まあ、関係ないので黙ってますが。
お父様も無事に、リクンドーン家への対処をしてくれたみたいなので、ひとまずは平穏に過ごしていた。
・・・・あることを除いて。
「ねぇねぇ。リアー。結婚しようよー。」
「ベル様・・・またですか・・・」
私が婚約破棄したと広まってから、鬱陶しいほどに結婚を迫ってくる男・・・彼はこの国の第三王子で名前はベル・ダンベース。
きらきらした金髪とさわやかな微笑みで人気の男が何故か私を口説いてくる。
いえ、実は前から面識はありましたが、いきなり求婚されるほどは親しくはなかったはずなのですが・・・
そもそも、彼は第三王子という立場で王位継承権は低いですが、見た目は王子の中でもトップクラスなので、こんな売れ残りのご令嬢ではなく、もっと若くて可愛い人がたくさんいるでしょうに・・・
「ねぇ、リアー。」
「はぁ・・・ベル様。何故私なんかに求婚しているんですか?私のような婚約破棄された欠陥品よりももっといいご令嬢はたくさんいますよ?」
「そりゃ、リアが大好きだからね。で?ダメなの?」
思わず言葉につまってしまう。
こんなイケメンにそんなことを言われたら流石に照れてしまうし、何より・・・
「・・・・・婚約などは父にお任せしてますので。」
「そうじゃなくて、リアの気持ちだよ。君だって僕のこと少しは思ってくれているんでしょ?」
「そ、それは・・・」
図星だった。
私は、ベル様に実は密かに恋心を抱いていた。
きっかけは、ささいなこと。
幼い頃にお茶会でお見かけしたときに、どこか達観したような視線の彼に興味があって、何度か話して好きになってしまった。
とはいえ、その頃には私は婚約者がいたので、もちろん叶わない恋だと諦めていた。
なのに。
「リア。」
気がつくと真剣にこちらを見つめているベル様。
私はその表情に心臓が高鳴り、思わず頬が赤くなる。
そんな私の様子に満足気な感じベル様は言葉を紡ぐ。
「昔から、君は僕によく似ていたと思う。周りのことを常に考えて、自分の犠牲を他人事のように流せる。昔君は言ったよね?『ベル様のそんな姿を誇らしく、同時に痛ましくおもいます。』って。僕も同じだよ。そんな君を支えたいんだよ。ダメかな?」
「あ、え、あの・・・・」
あまりにも真剣なその姿に心が揺れて、私の言葉を覚えていてくれたことが嬉しくて、訳がわからなくなる。
だから思わず私は
「す、好きになさってください・・・」
負け惜しみでそんなことを言ってしまった。
そんな私の様子を今度は一転してニヤニヤと見ていたベル様は本当にサディストだと思う。
結局、その後すぐに我が家に正式に縁談がきて、ベル様と婚約者になってしまった。
このときばかりはチョロい自分に呆れてしまいましたよ・・・・
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ベル様と婚約者になってからの日々はとても甘いものでした。
だって、ベル様が凄い甘やかしてくるし、私も素直になれないときもあるけど、甘えるときは甘えてしまうので・・・
そんな日々を送っていたある日、今日も今日とて、ベル様の訪問を部屋で心待にしていると、何やら広間が騒がしい。
様子を見に行くと、なにやら私の元婚約者のロバートと現在のロバートの婚約者のはずのキャミーユが来ていました。
侍女長のマリアーナが対応しているみたいですが、いつもな温厚なマリアーナが何やら怒ってるようにみえて思わず声をかける。
「騒がしいけど、どうかしたの?」
一斉に視線がこちらをむく。
そして、ロバートは私と認識すると怒りをあらわにして詰め寄ってきた。
「どういうことだ!」
「何がでしょう?」
「とぼけるな!貴様の差し金だろう!」
聞けば、家からの援助が止まり生活が苦しくなった・・・まあ、つまりお金がなくなったというとのと、他の家との縁も切れたという言い掛りのようなここ最近の出来事を語ってくださるロバート・・・私はそれに冷静に事実を語る。
「それは、元々あなたとの婚約が私達からの資金援助が目的であったからですよ。リクンドーン家は財政難のようなので、古くからの知り合いの私達が婚約することで立て直そうとしたのですが・・・まあ、その結果がこれです」
「やっぱり貴様のせいか!」
「私のせい・・・というか、私は別にどっちでも良かったのです。ただ、あなたのお父様と私のお父様が親しかったので婚約しただけですし。それに・・・あなたから婚約破棄したんじゃありませんか」
「この・・・!」
そこで痺れを切らしたのかロバートは大きく拳を振りかぶって私の方に目掛けて降り下ろそうと・・・
「おっと・・・僕のリアに何をしようとしてるよかな?」
・・・・したところでその拳は止められた。
私はその人物を見て思わず呟く。
「ベル様・・・」
「ごめんね。遅くなって」
そう言って微笑んだベル様は・・・どこまでもかっこ良く私はその笑みに見惚れてしまいました。
「な、なんでベル王子がここに・・・」
「ん?それはもちろん婚約者のリアに会いに来たからだけど?」
「な、なんだと!?」
どうやら私とベル様の婚約を知らなかったのか驚愕の表情を浮かべるロバートから視線をそらしてベル様は私との元へも歩み寄ってきた。
「リア・・・大丈夫?怪我とはしてない?」
「ベル様・・・」
私はそのベル様の笑みに思わず状況を忘れて抱きついてしまいました。
「ベル様・・・わ、私・・・」
「リア・・・大丈夫だよ。僕がいるからね」
そう言って撫でてくれれベル様の温かな温もりに浸っていると、現在のロバートの婚約者のキャミーユ様が叫ぶようにベル様に言った。
「ベル様!そんな性悪に騙されないで!」
「・・・軽々しく名前で呼ばないでくれるかな?それに・・・君達、僕の婚約者に何をしていたの?」
「そ、それは・・・」
「その女の悪事を暴きに来たのよ!」
「悪事?婚約者のいる男を捕った性悪に正義を語る資格はあるのかな?」
ベル様の声は・・・いつもの甘さはなく、ただ目の前の存在に侮蔑を込めて淡々と言っていた。
「婚約の意味も知らずに、愛を語り、簡単に乗り換える頭の緩いお坊ちゃんと尻軽女は黙っててくれるかな?あと二度と僕のリアに近づかないでくれない?じゃないと・・・僕の全力で君たちを消さないとならないからさ」
「な・・・!?」
「わかったらさっさと出ていってよ。衛兵・・・客人が帰るから摘まみ出してくれるかな?今後近寄れば斬っても構わないから」
「「は!」」
そう言ってあっという間に連れ出されるロバートとキャミーユ様。
この後二人がどうなったのかは知らないが・・・ベル様は笑顔で大丈夫と言うだけなので大丈夫なのだと思う。
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それからの日々はベル様との甘い日々で・・・心から私は幸せを感じました。
後に、子供が出来てもベル様と私はラブラブで・・・その・・・恥ずかしくもありつつも本当に幸せでした。
後に子供達に馴れ初めを語る時に私はまずこの話からはじめました。
ーーー婚約破棄のお掛けで幸せになれましたーーー
お読みいただきありがとうございます。
前に書いてたやつを見つけて乗せてみましたが・・・婚約破棄物はやっぱり書いてて楽しくはありますね。
こんな婚約破棄シリーズを見たいとか要望があれば欲しいですが・・・何分他のシリーズと並列して書いていると時間が足りなくて・・・
ではではm(__)m