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別の世界に行ったら男の娘をやるハメになったボクの話  作者: くうや
第五章 男の娘メイド・渡竜編
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第九十話 「ぽいんぽいんしてるからね!」


「ねぇねぇリアさんリアさんよー」


「何でしょ何でしょカーレンさんよー」


「あのですねあのですねリアさんよー」


「何でしょ何でしょカーレンさんよー」



夜の11時過ぎ、リアとカーレンは寝間着姿でニマニマと笑顔を浮かべ、自分のベッドで転がりながら先程よりこの様なやり取りをずっとしている。

二段ベッドの上と下で寝転がり、遠足前の子供のように落ち着きない様子で足をバタつかせては「うへへへへへ」などと気持ちの悪い笑い声を上げている。


「いやーまさか急遽連休が頂けるとは思っていませんでしたねー」


大迫轟の節メリサリンド・ルゥの準備の為に王族の方々が外出されるって話だけど急だからビックリでしたねー」


「外出制限が出てましたけど城下町は制限に入ってなかったので良かったですねー」


「ねー」



うひょーう! などと奇声を上げながら二人はまたはしゃぐ。

彼女たちは大迫轟の節メリサリンド・ルゥの作戦に於いて王族たちが居城を離れると言う事で休暇を与えられた。しかし実際は渡竜が予定より早まった為、その事実と混乱を周囲に知らさせないようにする物であったが彼女たちがそれを知る術も無かった。


そして予定外の休暇を貰った彼女たちは就寝時間だと言うのにハイテンションマックス。

基本的に城内で働く者は連休と言う物がほとんどない。

場合によっては半日で仕事が終わる時期があったりなどする為、時間的にはゆとりが与えられているので暇な時期は休みが2週間に1日だったりする事も多い。

最近は多忙なので週一ペースで一日休みとなっているが、週休二日が多い悠の世界ではブラックと言われても仕方がないシフトである。



「いやーこれは明日城下町行くっきゃないですよリアさん。パリアさんに聞いたんだけど、城下町の方はお店やってるらしいから色々回れまっせ!」


「うおお……まじっすかぁセンパイ」


「朝の10時くらいから城下町に出てー、ちょっとお洋服とか見て回ったら丁度お昼じゃん? そしたらノーウェンがオススメしてたパスタ屋でご飯食べてさ、その後に髪留めとかルージュとか見に行ってまたお洋服見てーとかどうよ!」


「お、おおお、おおおお……! 何と言う本格的な買い物か。自分だったら適当に服買ってご飯食べて、流行りの劇いっぱい見てオワリだったよ……」 


「仕事のうっぷん晴らすだけだったらそれで良いんだけどねー。しかしリアにはユーちゃんを射止めると言う大事な目的があるのだ! その為に今までの色気のない休日の過ごし方は忘れなさい!」


「は、はいわかりました先生!」


ベッドの上段で寝転がっていたカーレンは下段に降りると横になっているリアへ指を突き付けるとずずいと顔を近付けてどこかの教師のようにそう説いて聞かせる。

相変わらず髪の手入れが雑なせいでパーマのような荒れ具合の髪をしたリアは思わず上擦りながら元気よく返事。


「リアの今までのユーちゃんへのアプローチは悪くは無いんだけどさー、やっぱ身嗜みって大事だと思う訳ですよ。ユーちゃんの仕草とか作法見る感じ、どっかのイイトコのお子さんっぽいからキチンとしてないと振り向いてくれないだろうしさー」


「ア、アプローチって最初のはほんとからかってただけなんだけどね。ユーちゃんがイイトコのお子さんっぽいってそんなに作法とかちゃんとしてたっけ?」


「スプーンの動かし方とかフォークの運び方とか。順番はバラバラだったりするけど、あの子ご飯の時絶対音立てないっしょ。あの歳でそんな事知ってる子なんてナカナカ居ないってば。

あとはアレ、手が凄く綺麗で傷跡一つ無い。今までイイトコで大切に育てられた証拠だと思う訳よ」


「あー……確かにそう言われればそうだね」


カーレンはそう自論を述べながら自分の両手を見やる。リアもそれに釣られると自身の手を眺め、指先にいくつか残る傷跡や、硬くなって白ばんでいる指先の皮やささくれに視線が行く。

それは仕事で怪我をした痕であったり、仕事をする中で止むを得ずそうなってしまった物で仕方がない事なのだが異性を意識しながら目を向けた時、それらを嫌悪してしまう考えは胸を締め付ける。


「手をケアしたりする魔法グッズ売ってるお店とか知ってるからさー、一緒に見よう、ぜっ!」


「お、おう! 見よう、ぜっ!」


険しい顔をしているリアの手へそっと触れ、カーレンは言葉を向けるとにまっと笑って見せる。



「ほーんとリアってばあれだよねぇー、意識し出すと途端ダーメダメっすよな。こーんな武器持ってるくせにうりゃ!」


「そんな事言ったって仕方な……ちょ、ちょっと急に何っ!? あひゃ! あひゃひゃひゃ! ね、寝る前で外してんだからちょ、やめ……ひゃあああっ!」


「なにこれなにこれ! あーんたこんなのユーちゃんに押し付けて誘惑しておいて今更怖気づくとかなにっ! むしろ何食べたらこんなに育つのよ……おんなじ女なのにここまで違うと何とゆーか敗北感。段々腹立ってきたぞちきしょー!」


「カーレン待ってま……いひゃあー! 服めくらないで直接はやめてって変な声出ちゃ―――ひゃう!?」


覆い被さる形でリアの胸を鷲掴みにするとカーレンは涙目で好き放題に揉みしだく。

手の中に納まりきれない肌色の二つの頂きはふよんふよんと大きく揺れ、頂きの主はほんのりと頬を赤くしながらじたばたと暴れては抵抗する。

気が付けば興奮した二人はベッドの上でどったんばったんとベッドが大きく軋むくらい激しく揉み合いながらキャーキャーと騒ぎ合い、それは子猫のじゃれ合いにも似ている。

そしてそんな騒がしい一室にキィ……と小さな音が響き。


「お前らなぁあぁぁ―――」


「「あ……ノーウェン…………」」


開いたドアの先にはうな垂れた短髪の彼女がゆらりと怒気を漂わせながら佇む。


「お前らは連休貰って大はしゃぎかもしらんが私は朝から仕事なんだよ何なら明日出勤にしてやって足腰立たなくなるまでこき使ってやろうかぁああああああああああ!?」


「「す、すいませんでしたおやすみなさーい!!」」


















「さてと。とりあえず器は完成……と言っていいのかわかんねーけどコレが限界かねぇ」


「トシキ殿またやっていたのでござるか。キサラギ殿は?」


「まだルシードと喋ってるよ。ウメコは思念体……じゃねぇや夜花ヤファと向こうでダベってる」


「左様か。所でその器、大分出来たようでござるがどのくらい進んだのでござるか?」


「全体で言うと5割だな。あと必要なのは肉体の情報」


仄暗い空間の中でバスケットボール程の泡のような物がぼんやり宙で光る。

それを男二人は見やりながら会話を交わし、ブレザー姿の彼は残業を終えたリーマンのように脱力しながら吐息を零す。


「しかし肉体の情報はどこから引っ張るのでござるか。リタきゅん辺りに頼んで使うにしてもこれは内緒に進めているのでござろう?」


「まーな。だけどそれ以前の問題があんだよ。この器に入れる場合の肉体と魂は同じもんじゃねーと多分拒絶反応起こす。俺が散々失敗してたのはそれが理由だったってのがここまで出来上がってはっきりしたしよ……」


「―――そうなると現状我々がこれを使って表に出るのは」


「200年前に死んだ身で肉体なんてどこにもねーから現状じゃ無理だわなぁ。せーっかくここまで持ってこれたのにそれが無理って言う証明になるなんてマジくそだわ」


また深く溜息を吐いてトシキは頭を深く垂れる。

彼は悠の作ったキーリエや召喚などを元に自分たちが肉体を持って外に出れないかと言う方法を模索していた。魔力……もといAlpを使用し、強制的に肉体を造り上げて復活する事も考えたのだが物質に生前の情報を与え、Alp、魔力、魂を定着させ尚且つ内包できるだけの肉体を作ろうとした場合、現状の自分たちのAlpだけでは足りないと言う結論に。

その際に着目したのが一度死に、魔王体へ取り込まれた悠が自力で蘇生に至った事だった。

彼は自身のイメージによりAlpを内包出来る身体へつくり変え、抜け出た魂を定着させる為の器を再構築した。


そしてトシキは同じ事を出来ないかとの試みで今に至るのだが……


「DNAまでは流石にな」


「あー……そう言う問題でござるか」


「まーったくマジ面倒だわ。魔法大国アズが残ってりゃまだ望みはあったんだがよ。っつっても国吹っ飛ばしたの俺らみてーなもんだから自業自得だけど」


「これはどうにかして復活出来るほどのエネルギーを調達するしかないのでござろうか……」


「そうなっとバラ撒いた霧やら集めねーと無理なレベルだぞ」


「…………それこそ無理ゲーでござるな。ううむ」



Alpの消費を抑えて復活するには肉体情報であるDNAが必要となるが今の彼らの肉体は200年前の召喚事故により消滅。

ならばAlpを使って無理矢理それを再現しようにも消費が多すぎて現状の自分たちの物では足りず―――と歯痒い状況にトシキは癇癪のように頭を掻き毟っては「うがあああ」などと騒ぎ出す。


「全く死んだヤツがこっちに流れて来た時にゃポンポン肉体再生するくせにどうなってんだよマジ訳わかん―――」


「確かにそうでござるなぁ。クラックで生じたエネルギーが作用しているとかそう言う……どうしたでござるかトシキ殿?」


騒いでいた彼が突然静かになり、中年の彼は首を傾げては問いかける。

しかしトシキはそんな声も届いていないのか何かを思考する表情のまま、答えず。

そして小さく、作用とか言うレベルじゃねぇ……と。



「あっれーまーたトシきゅんってば騒いでるん? また復活のまおうプロジェクトしっぱいしちゃったん?」


「い、いやまぁとりあえずは行くとこまでは行ったんだけどよ」


「あひゃー! まったトシきゅんきゅんってーば失敗しちゃったのん? だっさー!」


「そのきゅんきゅん呼びやめーや思念……じゃねぇ。夜花ヤファ



ポンポンと肩を叩いてきたウメコの後ろに立つ黒髪の魔女と瓜二つの少女を一睨み。

話に割ってきた女性二人は草むらに座り込むように腰を降ろすと目の前に浮く白い球を見やる。


「わーおナニコレナニコレ! シャボン玉? ねぇコレシャボン玉すごーいキレーおいしそー!」


「最後の一文に突っ込むべきか迷うがとりあえず食いもんじゃねーぞ。てか食い意地は時詠と同じかよ」


「白い! 丸い! やわそう! ふわふわしてる! ほら、おいしそう!」


「おめーその理論だと白い風船も食うのか……?」


「風船は可愛いだよ! ぽいんぽいんしてるからね!」


「―――駄目だ。コイツの基準わっかんね……てか誰だよ自律がねぇとか言ってたやつ。普通に自律してんじゃねーかどうしてこうなったんだよマジ」


「ウチもどうしてこうなったかはサッパリなんよ……」




気が付けば喧しく騒ぐ夜花ヤファの雰囲気に皆翻弄され、数分後にはトシキの中に生まれた疑念は霧散していた。

今までR-18の絵なんていっぱい描いたのに、文章でちょっとエロい描写を書くとスゲー恥ずかしくなるのは何故でしょうかね……。

絵より恥ずかしい。

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