表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/134

第七十一話 「コイビトって何?」

少し長めです。



―――言ってしまった。

前の自分だったらそんな状況になったとしても、絶対に打ち明ける事なんて絶対出来なかった。

今こうやってレオナを前に好きだと告白出来たのはいくらか自分が変わったからだろうか……?


「ふふっ」


目の前の彼女は口元に手をあてては可愛らしく笑って見せる。


「ど、どうしたの?」


「んーん。好きって伝えて嫌われたりどうしようかって怖かったけど、ユウも同じで……嬉しいなって!」


「そ、そっか……うわっぷ!?」


レオナによる唐突の全力ハグで返事は遮られ、ボクはベッドで仰向けに倒れる。

衝撃で弾むマットに意識を揺さぶられながら目を開けば、薄い布越しにゼロ距離の彼女の胸。

遮る物が一切無いので、言うまでも無く……さくら色の突起がすぐ近くに。



「レ、レオナ! む、胸! 見え……見え!」


「―――あっ。ごめんなさい。でも……好き同士なら、ユウなら問題ないでしょ?」


「!? ……え、あの……その」


熟れたリンゴ色に頬を染めつつ、はにかみ笑顔をボクに向けながら首を傾げてくる。

同人やゲームやネットでエッチなシチュやそう言う画像は何度か目にしてた。

なのでいくらか耐性があると勝手に思っていたケド……うん、ボクのエロ耐性はゼロでした。



「それに今更じゃない。旅の時、いっぱい見たでしょ?」


「ふぉぁあああああああああああああああああああああっ」


その一言の前に顔を覆って奇声を上げるしかなかった。

……はい、いっぱい見ました。ちゃんとしっかり見てました。ほんとごめんなさい。


「それにホラ、クリーム塗ったりとかで触りもしたし、一緒に寝たり……とか?」


「はい白状します見てました全部見てましたなのでコレ以上の死体蹴りはやめて下さいオバキル勘弁して下さいお願いしますなんでも聞きますからなんでもしますからっ!」



彼女の言葉に堪らず自白を羅列しては、それに対してレオナはボクの上で「ふふっ」と笑みを見せる。



「―――思ったんだけど、いつボクが男って気が付いたの? 気が付いたのって途中からだよね……」


「はっきりと気付いたのはお手紙書いてた日。あの日、ユウ寝てたでしょ?」


「う、うん……」


「あの時、ユウがうなされてスカートがいくらかめくれてたから、整えてたの。そしたらその……」


彼女はそう説明しながらボクの上から下りて女の子座りするといくらか視線を逸らし、指さす。

それを追い、視線を向けた先に映るのは不自然に膨らんだ自分の赤茶のメイドスカート……続いてレオナの一言。



「えと、実はその日もこんな風になってたって言うか……うん」


「NOOOOOOOOOOOOOOOOOッッッ!!」


身を起こしては慌てて股間を隠す。

寝ている最中にそうなっていたのは不可抗力だから仕方ないとして、今こうなってるのは完全にレオナに反応しているせいで、しかもそれを見られてしまった。


「そ、そんなに気にしないで? ローズが言ってたけど、オトコノコはそれが普通だって言ってたし……」


「そう言う問題じゃなくてですね、男としてのアイデンティティーがですね、うん。色々ピンチなので、ハイ」


「あいでんててー? ピンチって何が危ないの……?」


彼女はきょとんとした表情で疑問を見せる。

しかしそう言う事かといくらか納得。

手紙を書いてるレオナを横に寝たあの日、ボクは彼女に対して励ましをしたくてデコチューした。

そして同性同士と言うのに凄く過剰な反応をされた感があった。特殊な趣味や性癖が当たり前の王族貴族だからーの一言で片付けるにはちょっとした違和感もあったし、男と気が付いてたからと考えれば色々辻褄が合う。




「う、うん。気にしないで。ちょっとした独り言だから」


「そっか。でも良かった……こうやって気持ち伝える事出来て。えへへ」


無邪気に笑って見せる彼女を前に自分は、はにかんで返すしか出来なかった。

嬉しいけど、同時にここからどうすれば良いのかわからない。

えと、漫画とかだと告白した後に付き合おうとか言って、恋人同士になったりが普通だったけれど―――



「これから、どうしよっか……その、つ、つき……つきあ……」


「そうだよね。結婚って言ってもまだお母様にお話する以前に色々問題山積みだし」


「つきあ…………結婚!? ちょ、結婚!?」


「え? うん、まだそう言う段階じゃないのはわかってるから、どうお話しようかって」


「いやその、あの、えーっと。付き合ったり、こ、ここぉー……恋人同士ってのは?」


「コイビト……婚約じゃなくて? コイビトって何?」


こんな所でまさかの文化の違い。ってより世界の違いと言いますか……恋人が無いってどんな世界だ。

いや、もしかしたらレオナがそう言う事に疎いだけの可能性が微粒子レベルで存在する可能性が僅かながらにある可能性。





「恋人って言うのは好き同士が付き合うって意味かな? 結婚はまた別って感じで、その前の段階と言うか……」


「それって婚約とはまた違うの? 付き合うって?」


「婚約は結婚するの前提じゃない? 恋人同士はそう言うの無しに好き同士が一緒になるみたいな」


自分で説明しながらその先に詰まってしまう。

彼女の言う通り付き合うって何だ? 好き同士で一緒に色々な物を見たり、一緒に居たり、チューしたり……エッチな事をしたり?

てかそもそも結婚って何だろう? 同じ苗字になって、子供を作って、家族になって……。


色々考えてると明確な違いが曖昧になりだし、レオナとそう言う関係になるのかとか妄想した瞬間、漫画とかゲームとかアニメで見た恋人同士のやり取りがレオナと自分に置き換えられ、脳内を光の速さで駆け巡っては思考停止。



変な妄想から覚めて視線を上げれば、無防備な姿のままクエスチョンマークを頭の上に浮かべた表情の彼女が小首を傾ける。


「ちょ、ちょっとボクには説明出来ないから今度ローズさんに聞いてみよう? うん!」


「そうね。確かにローズに聞くのが一番良いけど……今はなかなか会えないかも」


「ローズさん忙しいの?」


大迫轟の節メリサリンド・ルゥの一件もそうだけど、例の第九召喚の関係で大変みたいで。ホラ、ローズってホワイトプリンセスの教育係でもあるけど、元々は巫女様のとこに居たって話じゃない? だからその関係で色々あるみたい。ルシードも召喚師だから一緒だって聞いてるし、ヴィグフィスも王国騎士に戻った矢先に大迫轟の節メリサリンド・ルゥの騒ぎだから軍備に忙しいみたい」


「そっか。最近みんな見ないなって思ってたけどそう言う状況だったんだね」


最近忙しくて忘れていたけど、クロカさんのとこから転移してお城に来た日からみんなに会っていない。

唯一、その後に会ったのはローズさんだけどそれもボクがメイドに就いた日以来だから、軽く一週間前の話だ。



「なら大迫轟の節メリサリンド・ルゥの問題とか色々早く片付けないとだね」


「うん! ちゃんと好きって言えたってローズに報告しなきゃだし!」


「―――ぶふォうっ!? え、あーっと……そ、そそそうだね!」



迷いない彼女の一言にボクは思わず噴き出してしまった。

その後、2人で他愛無い話をいくらかしては夜も遅いのでと言う事でボクはお暇する事に。

帰り際に白紙だった手紙を調べてほしいと言われ、占いの結果が書かれた手紙を受け取り、ボクは彼女の部屋を後にした。

久し振りに一緒に寝ようだなんて誘われたけれども、ゲージがオーバーフローするのが目に見えていたので丁重にお断りした……。


興奮の余りに寝付けないかと思いきや、自室に戻ると今日一日の疲れが唐突に押し寄せ、いつの間にか気を失うようにベッドに倒れ込んだ。


「……やばひ。まだ、着替えて……ない……の……に」















『あっれ。話しようと思ったのに、ユウのヤツ寝やがったぞ……』


メイド服のままベッドの上でうつ伏せで寝息を立てる悠を前に少年の声は呆れた様子の言葉を漏らす。


『まぁ良いじゃねェかトシ坊。取りあえず今の内にやるだけやって、確認は後で良いだろ』


『アキラさんアキラさん、やっちゃった後に確認じゃそれ事後報告って言うんよ。確認じゃないんよ?』


『細けぇこたァ気にすんなよウメコ』


広い部屋の中で声がいくつも響いたかと思えば、空中をピンポン玉のような物が飛び回っては淡く光る。

それは何度か発光したかと思えば段々と大きくなり、ソフトボール程の大きさになったかと思えばポン! っと音を響かせて中からクセっ毛の小さな少女が現れる。

玉を象っていた物は羽となり、うっすら緑色を帯びては淡く光る。


「おーっし。何とかうまく行ったみたいだなーっと」


見た目は可愛らしい少女の容姿に対し、発する声は気怠さを含んだ少年の声と言う珍妙な光景。

その妖精は童話のフェアリーとかけ離れたガサツな素振りをしながら宙を2、3度翻って見せては、眠っている悠の傍に来ると彼が手にしている手紙を抱え、中身をベッドの上に広げる。

レター用紙に可愛らしい文字で書かれた占いの結果。

所々、猫なのかまんじゅうなのかわからないイラストが混じっている手紙を真剣な表情で見つめ―――



「……やっぱりだ。偶然にしちゃおっかしいな」


少女がするような笑みではない物を浮かべ、そう零す。

そして手紙の一部分を指でなぞりながら片眉を上げて見せては軽く頭を掻く。



「――― 一枚で考えると……枚数を合わせて考えて……まぁ全部のカードを繋げて行くとレオナは悠が好きで……おおきく変えた存在……うちあけるには過去が……あまりにも多い問題を……て、感じの状況と心境を……」


『頭の文字を立て読みすっとォ…… 一 枚 ま お う あ て……。なァんだってこんな事をしたんだァあの女はよォ?』


「さぁー? そんで俺ら宛ての巫女様からのラブレターがコレってとこか? しかしユウも気が付きそうなもんだが、スルーだったな」


ハハっと皮肉を噛みながら広げる白紙のレター用紙の右下に小さく、「ヒント・火でーっす」の文字。




『―――で、燃やすのか?』


「んなワケねーっしょ。炙るんだよ。キサラギさん炙り出しって知らねー? 紙に砂糖水とかミカン汁で文字書いたり絵を描いて、紙を火で炙っとそこんトコだけ焦げて書いたもんが浮かぶんだよ。ガキん頃やんなかった?」


『ほーん……イヤ知らね。そーゆー理科の実験っぽいのは大ァー嫌いだったからな。興味ねェよ』


「あ。そ、そっすか。何かサーセン……」



予想外に薄い反応でショックを受けたのかしょんぼりしながら弱々しく返しては白紙の紙を宙に浮かべ、下にろうそくの火程の火を展開する。

紙が焦げないように、ゆっくりと熱を与えて炙り出しを試みる。

火にあてられ、ゆらゆらと動く紙はオレンジ色を淡く透かし、時折映る影は影絵のように揺らめいて見せる。

くせっ毛の小人はゆっくりゆっくり慎重に紙を揺らしては熱を与えてと繰り返す。

時折、火が近過ぎたりすると慌てて離しては……を繰り返し―――




『おいトシ坊。いつになったら字が出てくんだァ?』


痺れを切らしたガサツな声が苛立ちを含んで一言。


「あっるぇーおっかしいな? 炙り出しだと思ったんだけどなぁ。出てこねーな」


『あっるぇええじゃねェっつってんだよこんクソガキがァアアアア!! お前のそのゆとったドタマを火で炙ってやろうか!? おォん!?』


「ちょ、キサラギさん短気過ぎィ! ちょっと違ったかもしれないだけどキレ過ぎィ! って急に精神体引っ張んないで!痛いから! まじいた……あっぢぃいいいいいいいいいいッッッ!?」


『アキラさんアキラさん、トシきゅんがキーリエの身体に入ってる状態でそれは流石に可哀相なんよ。炭火に乗っけられたエビみたいに跳ねちゃってるんよ』


ウメコの一言にキサラギは鼻息を鳴らし、静かになる。

火に炙られたエビのように暴れ回っていたキーリエの身体はビクビクと軽く痙攣しては顔を上げる。



『―――トシキ殿。もしや、火とは普通の火では無く、別の火では無かろうか?』


「あん? どう言うこったマエダ……」


もぞもぞと芋虫が這う形でベッドの上を動き回る小人にいくらか老けた声が静かに声を向ける。。


『魔王宛てと記されている事を考えて、火と言うのはもしやカオティック・カーマインを指しているのでは?』


「いやいや。流石にまっさかぁー?」


ハハハとどっかのアメリカ人みたいに笑っては、半信半疑にそう答えながら手をかざして、「カオティック・カーマイン」と唱え、小さく火魔術を展開する。

焼かないように、あくまで炙るようにと細心の注意を払いながら……


「うをっとぉおおおおおおお!?」


そんな心遣いも無意味と言わんばかりに発光が視界を覆い、思わず声を上げるトシキ。

網膜を焼くような激しいフラッシュにも似たそれが薄れると、一面白色の場に。

そしてその白色の中に対比色の影が一つ。




「……いやいや、どうなってんのコレ?」



彼がぎこちなく笑みを浮かべる先には、この場に居るはずが無い時詠の巫女―――黒華の姿があった。

ちゅーくらいさせてやりたかったんですけど悠君ヘタレで無理でした。(真顔

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ