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第二十三話 「あら可愛い」

2016/5/1

石とボタンの描写の追加。

「あらユウ君。こんな遅くにお風呂だなんて珍しいわね?」


ローズさんは艶めかしいその曲線美を強調して腰に手をあてて悪戯に笑う。

思考停止してレオナとは違う綺麗なその身体を凝視してしまうボク。


「…そんなに見つめられるとお姉さんも流石にすこし恥ずかしいわ」


頬を赤らませなが胸ともう一部分をそっと手で覆い隠す。それはビーナスの誕生みたいなポーズで、二の腕で寄せられた胸は更に強調され、すごくエッチぃ。



「す、すいすすすいません間違えました!もう洗い終わったので上がりますね!失礼しました!」


「こーら!まだ髪しか洗ってないでしょう!きちんと洗わないで寝たら汚いでしょ。ダメよ」


そそくさと退散しようとするボクの腕をわしっ、と掴むとそのまま羽交い絞めのようにホールドしてくる。

そしてボクが手にしていたタオルがはらりとタイルの上に…。同時に柔らかい何か2つが首辺りにダイレクトアタック。


「いひゃあああああ!?ごめんなさい洗います!ちゃんと洗いますからああああああああっ!!」


「あらーそんななっちゃってどうしたのかなーユウくーん?」


「い゛やぁああああああああああッッ!!」


身動き取れないのを良い事に、全部まじまじと見つめられボクは大絶叫した。








「―――もうお婿にいけない…」


枯れた声でボソリと呟きながらボクは作業的に自分の身体をただ擦る。

生理現象だから不可抗力とは言え、恥部をあんなにしたトコを見られるとか…もうやだ。

「あら可愛い」なんて微笑まれてオーバーキルですよ色々と。



「ユウ君ったらお姉さん居たって言う話なのに初心なのねぇ。反応があるのは嬉しい事だけれど、ちょっと意識しすぎじゃないかしら」


「…家族の裸はまた別です!雪ねぇはそんなに色々無かったし…。てかローズさんはスキンシップが過激すぎるんですよ!見せてくるし、くっ付いて来るし」


「じゃあお姉さんと思えばいいじゃない?ほらほら!これで平気でしょー?」


「………隣にいる人は大根、隣にいる人は大根、隣にいる人は大根…」


「ユウ君、聞こえてる。私が悪かったからそんな死んだ魚の目で見つめないで」


そんなやり取りをしながらボクは大人しく湯船の中へ体を預けると一息付く。

そのまま薄目でぼーっとしながら放心しては波立お湯の音を聞いて心を落ち着かせる。


「で、ユウ君。レオナに何しちゃったの?」


ちゃぷりと一つ音を立てて髪をまとめた彼女はゆっくりお湯の中へ。

先程の事を気遣ったのか、いくらか距離を開けている。


「えーと…ちょっと怒らせてしまって…」


「あそこまで怒るのは尋常じゃないわよ。ヴィグフィスでもあんなに怒らせたのは数える程だわ」


怒らせた事があるのかあの人…流石変態海パンの名は伊達じゃないな。


「実はその、励まそうと思っておまじないをしたんですよね。それのせいでちょっと…」


「おまじない?どんな事したの?」


「……お、おでこに、ちょっとちゅーを…しました」


彼女はぶふぅ!と綺麗な顔で唇からジェット噴出する。

目を白黒させながら噴き出した口を押えては暫く黙って紅潮してるボクをじっと見る。

そして小刻みに震えたかと思うと顔を真っ赤にしてアハハと声を上げ、大爆笑。

怒られるか白い目で見られるのを覚悟していたボクはその反応に困惑してしまう。


「ちょっと!ヤダ、ユウ君!それって…サテンフィン王国って言うか、王族間じゃ、求愛の意味よ!しかも性別年齢関係無しにって色々アレな意味合いよ!アハハハハ!」


ローズさんは過呼吸を起こしながら息も絶え絶え言葉を口にするけど、笑い声も混じって口に出来ていない。

そして言った後に我慢出来なくなって笑い声をまた上げる。

その様子にボクは思わず口を尖らせてしまう。



「ごめんなさい、予想してた以上にスゴイしてるものだから…。それでレオナが怒った訳ね。まぁ怒っても仕方ないわ。でもその後はあの子から何もされてないでしょ?」


「何と言うのは…?その後は枕で何度も叩かれましたし、今は頑なに避けられてますよ」


「ああ、そうじゃなくてね。こんな風な形で手を組んでごめんなさいって言われてないでしょう?」


そう説明しながら彼女は胸の上で手を交差させて見せる。


「そう言う仕草は一度も…。と言うかその後、ローズさんが入ってきてしまったんで話自体が出来てない感じで」


「さっきのポーズはね、お断りの時にするの。『あなたの気持ちには答えられません』とか『心には別の大事な方が既に居ます』って意味。そうやって怒ってるだけって事を考えると、あの子はどう応えるべきかわからないのね…。今のあの子にとってはユウ君は同性だから」



ローズさんは瞑目すると顎までお湯に浸かると肩を竦める。

ボクは何と答えて良いのかわからず、真似るようにお湯に身を沈めた。

思い出される赤面したレオナの姿…。

それは湯に浸った熱と混じり、ボクの顔をますます染める。


「………に対してユウ君はレオナの事が好きなのね。異性として」


―――答えられない。

いや、彼女の言う通りボクはレオナの事が好きだ。

しかしそれを口にして良いのか、迷う。

ただの恋愛感情として口にするならば別に良い。

でも彼女の置かれた状況、環境を踏まえて考えた時に自分の心へ手がかかり、引き留められる。

そして、今のボクは歪であったとしても…彼女にとって年下の女の子でなければいけないのだ。

言い訳を包んだそんな言葉は頭の中を走り、行き場を失った息は、湯に浸った口から洩れては泡となって消える。

しかめっ面で泡をボコボコと吐くボクを横目で見るローズさんは、そんな様子を見てクスリと漏らす。


「安心なさいな。お姉さんが何とかしてあげましょう」


ニコっと笑い、人差し指でボクの鼻に触れてくる。

それは子犬をなだめるかのような仕草で。


「な、何とかって…?」


「その辺は内緒かしらー?でもユウ君はオトコノコってまだ言っちゃダメよ?ルシードから怒られちゃうからね。

まぁ細かいところはあの子と直接話してみて考えるわ。お風呂上がった後に話をしてくるから少し時間を頂戴。ね?」


またツンツンと鼻をつついては彼女は首を傾け、また微笑む。

その動きに合わせ、耳元の濡れた後れ毛がお湯の上で小さな輪を作る。

「お願いします」とボクの言葉に答えると彼女は湯船から上がる。


その時、彼女の首筋から背を伝う雫に目が行くと同時に何かが映る。

思わずボクは声を出した。


「ロ、ローズさん…背中のそれ…何ですか?」


背を向けた彼女はきょとんとした顔でボクへ向く。

沈黙の間に水の滴りと流れる2つの音だけが浴場で反響する。

暫くして彼女は「ああ、これね」と困り顔を浮かべて答えに迷う。


「昔に色々あって…。ユウ君にはこれが見えるのね」


そう言われてもう一度見直すと先程見えていた背中にあった物が消えている。

錯覚だったのかと思ったが、彼女の反応を見る限りそうじゃないようだ。


「…一瞬だけ、ですけど。ごめんなさい、変な事言っちゃって」


「良いのよ。ただ恥ずかしいからあまり人に言わないで欲しいかな。お願いね」



ローズさんは唇へ人差し指をあてるとナイショねと伝えてくる。

ボクはそのちょっとエッチな仕草に赤面しながらただ頷くと彼女はその場を後にした。


……一人になると湯に浸かりながら先程見えた物を思い返す。

何だっけあれ…。

どっかで見たような気がするんだ。どっかで。

同じ大きさのいくつもの円、それを繋ぐ直線、あと何かの呪文ぽいものがいっぱい。

必至に思い出そうとするけれどいつの間にかのぼせてしまい、上がる頃にはそんな思い出しをしていたのも忘れていた。



お風呂を上がって暫くするとローズさんに呼ばれ寝所に戻ると、レオナはベッドの上で寝息を立てていた。

気のせいかベッドの上がしわくちゃだけどボクはそのまま眠り、いつも通り目を覚ましてはレオナの身の回りの世話をする。

相変わらず互いに無言だったけれど、昨日のように眉根をひそめた表情でボクを見る事が無くなっていて、ローズさんへ心の中で感謝。






次の日、レオナたちは駐屯地の人たちへ出立の挨拶をして回る。

ボクは荷物と一緒に転移魔法陣に続く入口前。

転移魔法陣施設へ続く地下道が駐屯地の中にあったとつい先程知った。

ルシードさん曰く、機密事項だから関係者でも簡単に教えて貰えないとか。


「準備って言っても…コレの確認くらいしかボクは無いんだよね」


先日、ローズさんに貰った小袋から中身を出してはソレを手のひらの中で転がす。

一つはローズさんがくれた金模様の入った、藍色の石。

もう一個は鈍色を放ちながら黄金色を放つ、学ランの第一ボタン。

それぞれ手の中で輝き、高価な宝石を愉しむかみたいにボクはそれを眺める。


「無くさないように気を付けないと」


満足したボクは小袋に二つを戻すとしっかり口を縛って、ドレスジャケットの胸ポッケに仕舞う。

軽くポンポンと叩いては確認を終えるとまたボクは空を仰いで時間を過ごす。

挨拶って簡単に終わらないだろうし、レオナたちはまだかかるだろうなぁ…。



「やぁ、ユウちゃん。出発だってね」


荷物に囲まれぼーっとしてるボクへ聞き覚えのある声が向けられる。


「あれ、フェディさん…」


名前を口にして顔を向ける。

続く土を踏む足音にぎょっとして、ボクはスカートの裾を押さえ慌てて立ち上がった。

駐屯地の兵士3人と衛生兵1人。

今まで駐屯地でいくらか挨拶を交わしたり、それなりに関わりのあった人たちだ。

この駐屯地を含むほとんどの国が、魔王の封印が解けた件により、レオナを含むサテンフィン王国に関係する人たちに良い印象がないと言うルシードさんの言葉を思い出す。


「いやーレオナ様が出立だって話ってのに嬢ちゃんが見当たらなかったからよ。聞いたらこっちだって言うじゃねぇか」


「す、すいません。ボクはこっちで荷物見てるよう言われたもので…挨拶も出来ずにごめんなさいレーリンズさん」


「ああ良いって事よ。今は国同士でめんどくせぇ事になってるしなー。しゃあねえよ」


レーリンズさんはガリガリと頭を搔いてはバツ悪そうにそう口にする。

後ろに居る3人も似たような表情でこちらを見る。

どうしたのかと軽く首を傾げるとレーリンズさんは無精髭の残る顔を上げては軽く頬を搔く。



「思う所はそれぞれあるけどよぉ、少なくとも俺らは嬢ちゃんにも助けられた。それがそう言う面倒にかまけて、じゃあなってのも気分わりぃしよ」


ぎこちない笑顔を浮かべて彼らはボクを見る。

彼らはあの魔族襲撃の事に関してそう口にしているのだろうけれど、助けられたと。

けど感謝の言葉を向けられてもボクには何と答えて良いのかわからない。

何も言えずに目線を下げてしまうボクの視界に入る足元。

同時に優しく頭を包む感触と、ゆっくりぶれる視界。


「ちっせえのに大変だったろ。…ありがとうよ」


簡単な、何の変哲もない言葉。

しかしその言葉を向けられたボクは視界がふいにぼやける。

何とも不意打ちでこう言うのはやめて欲しい。

3年間、否定され続ける生活を送っていた自分には耐性が無いんだ。


そんなボクを余所に、大人4人は頭をわしゃわしゃと暫く弄っては感謝と別れの言葉を告げて去って行った。







「―――さて、ついにこの日が来た。良いか、これから先の戦いは全て勝利しか許されない。負けはここへ捨てて行け。準備は良いか!覚悟は良いかァアアアアアアア!!」


「貴様が準備出来てないだろうがヴィグフィス」



スパァン!と上履きで引っ叩いたような清々しい快音。

2人のやり取りを乾いた笑い声を出して見守るボクら。

小さな地下道でそのコントは繰り広げられていた。

眼前にはフンドシを決め込んだ赤フンマスター・ヴィグフィスの姿。

てかこの世界にもフンドシとかマニアックな物があんのか…。


「き、貴様、ルシード!このオレの勝負服がわからんのか!見よ!勝利の色に染まったこのクラシックパンツを!!」


「クラシック…?どう見ても股間に旗を付けているキチガイだろう。お前こそ見ろ、女性陣の士気が著しく下がっているのが目に見えてわかる」


「バ、バカな!!レオナ女王陛下!何故ですかッ!何故そのような全てを否定されるような光を失った瞳でこの下僕を…ッ!?」


ドン引きに対して膝を突いて苦悩する赤フンさん。

日本でもそんな格好してたら通報物ですって…。

恐らく過去から来た界客そとびと辺りが伝えた物なんだろうけれど、ちゃんと用途も伝えといて欲しい限り。ってか下着だからそれ。

見せて良いのはお祭りの時ぐらいだからね。



「あの、流石に女性の前でフンドシは…。ボクの国でも流石にナシですねそれは」


「何!?ユウ、お前このクラシックパンツを知っているのか!!」


「いやまぁ、ボクの国で昔から伝わる物ですし、見せるのはお祭りの時に神輿担いだりする時ぐらいですよ。それ以外で見せるのは変態と言うか気持ち悪いと言うか…」


ボクの言葉にカハッ!と吐血でもしそうな声で呻き声を出すと膝立ちのまま放心する。

気のせいか一気に老けたような…。

そんな彼を放置して荷物を背負うとさっさと行くぞ、と声をかけて洞窟を進むルシードさん。


その後をローズさんが苦笑しながら足早に着いて行く。


ボクもその後を着いて行こうとするけどふいに後ろに立つレオナへ視線が行く。

昨日より関係は少しマシになったけれど、結局一言も喋っていない。

いつもみたいに手を引こうかと思ってボクは手を伸ばすのを躊躇う。

でも無視して進む事も出来ず、前に出そうとする足は進まない。

すると小さく、ドレスの袖が引っ張られる。

弱々しい力で。でも視線をそっちへ向けれない。その手が誰かのなんて言うまでもない。


「―――ユウが変な事するから、バカ」


小さな声で囁かれる言葉。

それは僅かに、上擦って。


「でも、私も…沢山叩いたりして悪かったから。ごめんなさい」


謝りながらそれを掴む手の力が籠る。

視界の先では立ち止まってるボクらに気が付いたローズさんがこちらを見ている。

状況を理解したのか彼女は軽く手を振ってまた前へ進み出す。


「返事は、ちゃんとするから。ちゃんと。だから…少し待って欲しい、です」


ドクンっと一気に心臓が血を押し流す。

その言葉と一緒に彼女は熱くなったその手をボクへ絡めてくる。

背筋を走る鳥肌と一緒に熱が暴れる。


ボクはレオナの手をおずおずと握り返して、その言葉へ答える。


「―――うん」


聞こえたかわからないけれどボクは微かにそう口にすると、手を引いてローズさんたちの後を2人、手を繋いで追った。




男の娘×女の子じゃなくて女の子(中身男の子)×女の子??


普通に恋愛系になっているよーな…うーん?

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