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第十九話 「完全にチートですよコレ」

スキルがややこしいですがご了承ください。

この異世界においての魔法、魔術、召喚とボクの使うネトゲの魔法、魔術、召喚は根底が違う。


この世界の魔法は詠唱を行わずに自然を中心とした事象を引き起こす力。

魔術は詠唱、術式を用いて仮象までも事象として引き起こす力。

召喚とは多くの詠唱と術式を使い、自然の力と仮象を具現化させ、そこへ意志を与えて使役する力。


対してボクのネトゲのスキルは、

魔法は単体魔法スキル。

魔術は範囲魔法スキル。

召喚は魔力で形成された自律性を持つ殲滅スキル。

あと特殊な物で、召喚魔術は召喚獣が持つ力のみを行使する、殲滅特化型魔法スキルと言う物がある。



この2つで大きな差は、ルシードさん達が使う物が詠唱や術式が必要なのに対し、ボクのネトゲスキルは、一切詠唱も術式も必要なかった点。

でも実際、ゲーム内でスキルを使う場合は、詠唱時間や再使用時間クールタイムと言う物が存在する。

しかし、それらはキャラのベースレベルやジョブレベル、またはスキルレベルを上げると軽減されると言うシステム。

そしてもう一つ、ボクが使っていたマジシャン系の最上位職のトリックスターと呼ばれる職は、消費MPが2倍になる代わりに無詠唱になると言うパッシブスキルを持つ。

もしこれらがこの世界でも働いているとするならば――――



「なんだ……これは……」



彼は大きく目を見開き、驚愕の声を上げていた。


空には整列した氷柱の群れ。

それらは陽の光を浴び、シャンデリアのクリスタルパーツのように美しく輝く。

ゆっくり回転する掌ほどの氷たちから漏れる冷気は、純白のカーテンを作る。



「やっぱり……同系統の初級、中級魔法の内、一つを多重発動可能な旋律の一モノフォニーが機能してる。

って事は―――」


空に浮かべた氷系魔法をキャンセルして、今度は炎系の魔法と魔術スキルの名を口にする。


松明の火ケナズ

 軍馬の鬣ウルケナズ

 炎帝の剣ティールケナズ

 エリヤの赤ムスペル

 巨人の残り火スルツェイ

 灰燼へ誘いし焔レーヴァテイン……!」


伸ばす腕から一気に血が抜かれるような感覚が走り、一瞬ズキリと頭痛が走る。

頭を振って痛みを振り払い、顔を上げると上空にはいびつな火の塊。

それはマグマを空に集めたかのような光景で、空気を灼熱はジリジリとボクらの肌も焼く。


「よし、あとは……」


いつも練習場にしている拓けた場所の枯れ木に目を向ける。

―――ここから大体、20mくらい距離があるだろうか。

そこへ集中し、「倒せ」と念じる。

その言葉に応じて、空で待機していた炎の群れは嘶きの如く音を響かせると一直線に木へ飛んでいく。

次の瞬間、映画とかでよく見るような大爆発が起き、周りを赤く染める。

遅れて熱風が埃を巻き上げ、炭となった木屑がこちらまでポトポトと降る。

木の在った辺りの土や岩は熱で溶け、グズグズと音を立てながら粘土の高いマグマと化す。


よし、同属性の初級から中級魔法を一気に使える綴旋律ポリフォニースキルも機能してる。


習得してる魔法魔術の内からいくらでも多重発動可能な福音の旋律ヘテロフォニーも確認したかったけど、綴旋律ポリフォニーが発動してるのを考えたら恐らく大丈夫だろう。

てか使うとこの辺りの地形が変わるどころか……殆ど消し飛んでしまう。



「―――ユウよ、お前は今何をした? 魔術並みの物も無詠唱でしかも複数発動したようだが」


今までにない程、蒼白した表情でルシードさんはこちらへ顔を向けた。


「今使ったのは代償型オーバプライスと呼ばれる、常にボクへ働いてるスキル……術を使いました。同系統の魔法がいくつも使えたり、同属性の魔法、魔術を際限なく使用可能になります。

無詠唱に関しても同じ物を。どちらも代償として術に必要な魔力が大幅に増えるって言う欠点があって、そこがネックですね」


「過剰な魔力を代償か……。私たちで言う血肉を使う、サクリファイスや暴走召喚と同じ物と考えて良さそうだな。しかし魔力が大幅にとはどのくらいなのだ? 今の様子では相当使っただろう」


「最低2倍、最大6倍近く消費します。強力な術ほど消費量が上がる感じですね。さっき少し頭痛がしたのはその影響かもしれないです」


先程、一瞬だけ走った頭痛を思い出す。

すぐに痛みは治まったので大して気にはしていないが、今までになかった症状だ。

MP切れと言う訳では無いと思うけど、数値が見えない現状では、こういう変化はいくらか気にするべきだろう。


「あまり無理はするなよ? ……見た様子ではお前の魔力は一気に1割近く減っている。まぁ、逆にあれだけの術を一度に放って、その程度で済んでいる方が私は恐ろしいがな」


「1割……? ルシードさん、魔力の量とかわかるんですか……てか1割?」


あれだけ使って、たった1割ってのはおかしい。

ゲーム内でもあんなに使えば3割、軽くMP3000以上は使うハズだ。

トリックスターはスキルの性質上、全てのMP消費が激しいから基本的に回復剤とかドレインスキルでカバーしながら狩りをする職なのだ。


「ん? ある程度の残量ならわかるぞ。残り2割近くになるとそこから先はわからんがな」


「あの、もし良かったらあとで紙とか貰えませんか!?」


彼の言葉にボクは思わず興奮して、本日の練習を早くも切り上げてテントに戻る事になった。






「えーっと……凶雹の粒ハガルLv10の時の消費MPって確か40近くだったからコンダとモノスキルの効果くわえて消費4倍の……160で―――ふえっくしゅ! ……ああっ。折角貰った紙が汚れちゃった」



ムズムズする鼻をこすり、気を取り直して計算を進める。

今日、自分が使った魔法や魔術の消費MPを書いてパッシブスキルのMP増加などをくわえて数字を出していく。


数字を出せば自分の最大MPが割り出せる、と思って書き進めて行くが計算すればする程、自分でその数字に青褪める事となった。

予想以上に消費してた…と言うより、


「―――おかしい。ソードソウルでどんなに頑張っても最大MPって9000が限界なハズ……でもこの計算じゃ、ボクの最大MP40000は行く計算になるんだけど……?」


凶雹の粒ハガルを使った分を抜いても、使ったMPは軽く3500を超える。そしてルシードさんはあの時「1割」と答えた。

どうなってるんだコレ……。


ネトゲを基準として今の自分はスキルを使えてると思ったけれど、全部が全部そうじゃなかったようだ。


「完全にチートですよコレ。MP回復剤は無いけど、MPドレイン系乗せてスキル使ったらかなり持つよね……」

ネトゲで使ってたメインキャラの習得スキルを全部書きだそうかなと思ったけれど色々と面倒になったのでやめる。


しかしこれだけのMPがあればこれからの戦いで役に立つだろうし、ルシードさんの反応からして魔王とかどうにかなるかもしれない。



「あれ、ユウ今日は戻ってくるの早いのね。……何かお勉強してたの?」


「い、いや! ちょっと気になった事があったんだケド、もう終わった! レオねぇは治療終わったの?」


「みんなほとんど傷治ったからね。もう大丈夫よ。それよりローズが呼んでるから行きましょう」


「うんわか……ひえっくしゅ!」


「ユウ大丈夫?……風邪引いちゃった?」


「うーん、鼻風邪かなぁ……? うん、大丈夫大丈夫」




ボクはムズ付く鼻を軽くこすると問題無いと笑いながら答えた。



軍馬の鬣ウルケナズ

 ルーン文字における野生の牛、馬、猪突猛進を意味するウルと

 火や知恵を意味するケナズの複合。

 

 属性  :火

 タイプ :魔法

 詠唱時間:基本詠唱3秒 

      ジョブLv、ベースLvによって詠唱時間、硬直時間短縮 

  消費MP:基本消費MP18 ジョブLv1毎に消費MP+3 ジョブLv10時、消費MP40

 効果範囲:単体

 攻撃倍率:MAXLv10 魔法攻撃力95% 

      スキルLv2毎に攻撃回数3増加 最大攻撃回数16回

 攻撃対象:モンスター

      クールタイムあり

      習得可能職業・ハイウィザード




炎帝の剣ティールケナズ

 ルーン文字における勇気、勝利、前進などを意味するティールと

 火や知恵を意味するケナズの複合。

 

 属性  :火

 タイプ :魔法

 詠唱時間:基本詠唱4秒 

      ジョブLv、ベースLvによって詠唱時間、硬直時間短縮 

  消費MP:基本消費MP30 ジョブLv1毎に消費MP+5 ジョブLv10時、消費MP85

 効果範囲:単体

 攻撃倍率:MAXLv10 魔法攻撃力530% スキルLv1毎に30%増加

      スキルLv5毎に攻撃回数1増加 最大攻撃回数3回

 攻撃対象:モンスター

      クールタイムあり

      習得可能職業・ハイウィザード




エリヤの赤ムスペル

 旧約聖書における預言者エリヤ。彼の血が地上へ滴った事により、世界は炎に

 包まったとされる。ムスペルは火炎が立ち上る土地、またはその国を

 守る巨人を指す。

 

 属性  :火

 タイプ :魔術

 詠唱時間:基本詠唱30秒 

      ジョブLv、ベースLvによって詠唱時間、硬直時間短縮 

  消費MP:基本消費MP80 ジョブLv1毎に消費MP+10 ジョブLv5時、消費MP115

 効果範囲:範囲(10*10)

 攻撃倍率:MAXLv5 魔法攻撃力1500% 

      スキルLv2毎に攻撃回数1増加 最大攻撃回数3回

 攻撃対象:モンスター、ギルドメンバー、パーティーメンバー 

      クールタイム70秒

      習得可能職業・ハイウィザード




巨人の残り火スルツェイ

 北欧神話における巨人スルト。黒、または黒い者を意味する。

 

 属性  :火

 タイプ :魔術

 詠唱時間:基本詠唱120秒 

      ジョブLv、ベースLvによって詠唱時間、硬直時間短縮 

  消費MP:基本消費MP300 ジョブLv1毎に消費MP+15 ジョブLv5時、消費MP350

 効果範囲:範囲(25*25)

 攻撃倍率:MAXLv5 魔法攻撃力200% スキルLv1毎に30%増加

      0.5秒毎に範囲ダメージ 

      効果時間3秒 スキルLv1毎に1秒増加

 攻撃対象:モンスター、ギルドメンバー、パーティーメンバー 

      クールタイム35秒

      習得可能職業・ハイウィザード




旋律の一モノフォニー

 音楽において単一の旋律だけが続いている物、そのような部分や

 全体のことをモノフォニーと呼ぶ。

 

 属性  :無

 タイプ :パッシブスキル

 詠唱時間:なし

 消費MP :なし

 効果対象:自プレイヤー

 効果  :習得している同系統の初級または中級魔法の一つを多重発動可能になる

      スキル。

      このスキルを習得した場合、2つ以上の魔法を同時発動時の

      消費MPが2倍となる。

      旋律者コンダクタースキルと併用した場合、消費MP相乗。

      装備及びスキルによるMP軽減不可。

      習得可能職業・トリックスタージョブLvMAX




綴旋律ポリフォニー

 複数の独立した声部パートからなる音楽のこと。

 ただ一つの声部しかないモノフォニーの対義語として、

 多声音楽をポリフォニーと呼ぶ。

 

 属性  :無

 タイプ :パッシブスキル

 詠唱時間:なし

 消費MP :なし

 効果対象:自プレイヤー

 効果  :習得している同属性の初級から中級魔法までを複数発動可能

      になるスキル。

      このスキルを習得した場合、2つ以上の魔法を同時発動時の

      消費MPが2.5倍となる。

      旋律者コンダクタースキルと併用した場合、消費MP相乗。

      装備及びスキルによるMP軽減不可。

      習得可能職業・トリックスタージョブLvMAX




福音の旋律ヘテロフォニー

 モノフォニーの複雑化したもの。同一の旋律を奏でる様々な奏者や歌手が

 任意で別々に動き、リズムやテンポを微妙にずらし、異なった装飾や

 音型が生じ偶発的に瞬間的なポリフォニーを生ずるようになったもの指す。

 

 属性  :無

 タイプ :パッシブスキル

 詠唱時間:なし

 消費MP :なし

 効果対象:自プレイヤー

 効果  :習得している全ての魔法、魔術を複数発動可能になるスキル。

      このスキルを習得した場合、2つ以上の魔法または魔術を

      同時発動時の消費MPが3倍となる。

      スキルによる断続MP消費にはMP増加は機能しない。

      旋律者コンダクタースキルと併用した場合、消費MP相乗。

      装備及びスキルによるMP軽減不可。

      習得可能職業・トリックスタージョブLvMAX




旋律のしらべコンダクター

 合奏や合唱を演奏する者を指す。指揮者。

 

 属性  :無

 タイプ :パッシブスキル

 詠唱時間:なし

 消費MP :なし

 効果対象:自プレイヤー

 効果  :習得している全ての魔法、魔術、召喚の詠唱を無くすスキル。

      このスキルを習得した場合、全ての魔法、魔術、召喚スキル

      発動時の消費MPが2倍となる。

      スキルによる断続MP消費にはMP増加は機能しない。

      装備及びスキルによる軽減不可。

      旋律の一モノフォニー綴旋律ポリフォニー

      福音の旋律ヘテロフォニースキルと併用した場合、

      消費MP相乗。

      習得可能職業・トリックスター

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