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☆第13話  「RPGで言うモンスターの事だよね」

2017/01/07 大幅修正 話の分割化 魔獣と魔人についての追記

「こんな時間にどうした?」


「なんか眠れないらしくて。折角だから連れて来たわ」


あの後、一緒に寝るのが限界だったボクはローズさんのとこへ駆け込んだ。

多少女装馴れしていると言っても、女性に馴れている訳では無い。

しかも生活しながら男と言う事実を隠し、

女の子を演じ切らなければならない……。

女顔でどうにかなってはいるものの、色々ハードル高すぎます。


「そうか」


ルシードさんは夜遅くに尋ねてきたボクを短い言葉で迎える。

この人、感情の起伏が判りにくくて冷たい印象だけど実は優しいんだよね。


「夜は冷える。茶くらいしかないが温まるぞ」


「ありがとうございます」

招かれるままソファに腰かけると目の前のテーブルにお茶が用意される。

確かにこの時間は寒いんだよなぁ。

ローズさんにポンチョみたいな羽織を貸してもらったけど、

下はネグリジェ1枚で肌寒かったから温かいお茶は有難い。


しかしこの部屋と言うかテント内……酷い散らかり様だな。

書類や本などが乱雑に積まれて一言で表すなら紙の海と言った所だろうか。

ソファとデスク周り、テントの入り口辺りが辛うじてひらけてはいる。

しかしそれ以外は全て書類や本だらけで、足の踏み場がほぼ無い。

ルシードさんって整理整頓に五月蠅そうなイメージだったんだけど……

抱いてた印象と真逆で少々びっくりだ。


「ねぇルシード。霧観測の書類どれー?」


「テーブルの上へ他の物と纏めて置いてある。

 ああそうだ、他の物にも目を通しておいてくれ」


「ん、了解~」


そして部屋の中の惨状に対し、ローズさんは何も言わない。

きっと昔からこんな調子なんだろうな……。

2人のやり取りを横目にそんな言葉が浮かぶ。


「あら、ユウ君の魔法についても纏めたのね」


「まだ私見な物が多いがとりあえずな」


おっとそんな話初耳なんですけど!

とは言ってもスキル試し撃ちに付いて来てもらってるし、

ルシードさんの細かい性格を考えればそれも当たり前か。

部屋の中は性格に反してる気もするけど……まぁそれは置いといて。

しかしボクのスキルについてのまとめか。

どんな事が書かれてるんだろう?


「ユウ君、何て書いてあるか気になる~! って顔してるわよ?」


「……へ? そ、そんなに顔へ出てますか?」


「レオナ見つめてる時より熱視線出してるわよ」


「なっ!? そ、そんな訳無いでしょ! 変な事言わないで下さいっ」


ローズさんと目が合うとそんなからかいを受けて自分は取り乱す。

彼女はそんなボクを見て悪戯にくすくすと笑う。

何かあるとローズさんはすぐボクで遊ぶんだよなぁ……。

ほんと困る。


そんな事を思い返すと気付けば口が尖ってしまう。


「んもう、ユウ君拗ねないでって」


……拗ねてないですし。


「さて、と。気になるルシードから見たユウ君の魔法はっとぉ」


彼女はワザとらしくボクが気になる内容へ矛先を変える。

こう言うとこが上手いんだよなローズさん。

そんでもってズルい。うん。

雪ねぇもそうだったけど、年上の女性ってこんな風に上手くやる人多いよね。

そしてボクもその内容が気になって先程の熱はどこへやら。

何ともわかりやすい物だ。


「ええっと、……殲滅特化型簡略魔法及び魔術?

 何となく言いたい事は判るけど、どう言う意味かしら」


「そのままの意味だ」


「色々要約し過ぎよぉ。もう少し噛み砕いて」


苦笑するローズさんの言葉にルシードさんは顎に手を宛てて考え込む。

殲滅特化型ってのはまぁ、敵を倒すだけを目的としたって意味だろう。

しかし簡略ってどう言う事なんだ?

簡単に略されたって意味だとして……ダメだ。わかんない。


「簡略と言う言葉も迷ったのだがな。

 ユウの使う力は我々が使う魔法や魔術、そして召喚と形式が違う」


「確かにそうねー。

 魔方陣を多く必要とする魔術規模の物ですら一瞬で詩も無く発動しちゃうし。

 大昔ならいくらか当たり前だったけれど、それで考えても特殊よね」


「昔は使える人が居たんですか?」


「いくらかねー。

 それでも修練を積んだ者や絶大な魔力を持った者に限られたわ」


なるほど。と頷きながらボクはサッパリ話を理解出来ない。

形式が違うってどう言う事?

魔法とかって魔力があれば名前を唱えたりして出るものじゃないのか。

それに昔の人はって今の時代の人はどうしてそれが出来ないんだろ?


「今は霧のせいで魔物がほとんど絶滅してしまったからな。

 その為に力を持つ者が少なくなってしまっているのさ」


「魔物が居ないせいで……? どう言う事なんですか」


「その昔、魔物は食材の一つだったのだよ。

 早い話が食用肉として扱われ、世界に流通していた。

 そして人間達はそれを食し、生活の中で今より多くの魔力を得ていたのだよ」


魔物が食材の一つ……?

待って。

魔物ってRPGで言うモンスターの事だよね。

早い話、スライムとかゴブリンとか。

それを昔の人は食べてたって事?


「だが魔物は魔王が撒いた魔障の霧によってほぼ絶滅。

 そして代わりに魔獣が蔓延る様になる。

 しかしあれらは霧と同じ毒を持つ為、食する事が出来なくてな……」


「魔物と魔獣って違うんですね」


「見た目は似ているが似て非なる物だな。

 襲撃してきた魔人も然り。

 魔王が造り出した霧より生まれ出た存在、それが魔人と魔獣だ」


「大きな違いって何があるんですか?」


「ハッキリとした違いは人のみを執拗に襲う点か。

 あとは魔力を含んだ攻撃しか受け付けんところだな。

 そしてさっきの話だが食えん理由は霧から生まれた為に霧を持つせいだ。

 その為に魔獣は食えん。

 食せば最悪死に至る。まぁ早い話、毒の塊みたいな物だ」 

 

なるほど。


そう聞くと魔人や魔獣ってのは魔王にとっての兵みたいな物なのかな?

てか今の話を聞く限りだと魔獣を食べた人が少なからずいるって事だよね。

人間の食欲恐るべし。




「で、ここから先程の話に戻るが、

 その関係で人々は魔力の少ない動物しか食す事が出来なくなってな。

 故に現代の人間の持つ魔力は昔に比べ遥かに弱くなってしまったのだよ」


「そう言う事だったんですね」


「まぁそのお陰で少ない力で魔法魔術を扱える様に技術が発展した。

 そう考えると一概に全てが悪いとも言えなかったりもする」


一通り話を聞いて自分が扱う力に驚かれる事に納得が行く。

なるほどなぁ―――って待てよ。

そうなると何で自分はこの世界に来たばかりなのにスキルを扱えるんだ?

今の話だと魔力を得る為の過程が抜けてる気がするんだけど……。


そんな事を考えてると眠たげに話を聞いていたローズさんと目が合う。


「ねぇルシード。

 それは良いけど悪い癖で話が逸れちゃってるわよ」


「「あ……」」


彼女の溜息と共に述べられた言葉にボクは一緒に声を上げる。

殲滅特化型簡略魔法及び魔術に付いての話から逸れちゃっている。


「あぁすまない。

 その事だが詩や言合げんあわせがユウの扱う物には殆どない。

 故に簡略と称した。

 本来ならば魔法等は様々な言葉や単語と合わせ扱うもの。

 そしてそこへイメージを付与し、力を発動するのだが……

 ユウの力は名を唱えるだけで容易く扱っている」


「そう言う事ね。

 それで考えるとユウ君の力はどちらかと言うと術符に近いかもしれないわ。

 過程を省略し、結果のみを発動させるような」


「確かにそうだな。

 ……その為に威力が固定化されていると言う話か。

 しかしその様な簡略系になると元来の魔法より消費が上がる。

 その為、普通なら下級魔法に用いられる物だが……

 ユウの場合は上級―――いや、その上を行く場合も」


「あのー……すみませーん」


「その辺の魔法情報は?」


「統計がまだ揃っていないが……とりあえず纏めたのはこれだな」


「ありがとう。

 ……うん、やっぱり発動時間も固定化されてるわ。

 使う物によって差異はあるけど、殆どが破棄詠唱と似た状態で発動してる。

 あと威力の高い物になると魔法陣が発動してそのまま術に変換されてるわね」


「なるほど……

 式として発動すると同時にそれその物を力に置き換えているのだな」



「あ、あの!」


「ん?」


盛り上がる2人の会話を思わず遮ってしまう。

ヒートアップしてるところ申し訳ないとは思ったけれど―――



「その、2人が何を言っているのか、わかりません」


置いてけぼりを食らった自分は愚痴る様にそう口にする。

その言葉に2人は言わんとした事に気付いた様子で苦笑しながら謝ってきた。


ボクも知りたい内容なんで、仲間外れにしないで下さい……。

魔物と魔獣、魔族と魔人を差別化した理由はこの為です。

あと、前の状態だとわかりにくかった部分もあったので名称を変えました。


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