表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/134

第8話 「……これは流石に見えちゃいます、ハイ」

2016/4/10 大幅修正

2016/11/21 服選びの変更、修正、魔族を魔人に変更

「あの、ローズさん……これは流石に見えちゃいます、ハイ」


「あれー? それもダメかしら。じゃあこっちはどう?」


「ソッチもその……てか何で下着まで女物なんですかっ!?」


「えー? 女の子のしかないわよー。だって全部レオナが使ってた物だし」


お昼過ぎ、テント内にて自分はローズさんと服選びをする事となった。

テントの床の上には所狭しとドレスやら下着やら寝間着やら並べられている。


女装する事になったボクの為にローズさんが用意してくれた衣服類の数々。

とは言っても全てがレオナのお下がりだ。

背丈の小さい自分はドレスや寝間着だけでなく下着までレオナが昔使ってた物を使う事に……。



「それに村まで下りて調達しても遠い上にまともな物売ってないのよ。

かと言って駐屯地には当然男物しか無いし、そうなるとレオナのつけるしかないじゃない♪」


彼女はにっこり微笑んでもっともらしい事を口にしているが、声のトーンとか笑顔からして楽しんでいる。

と言うのもさっきから明らかに趣味全開なドレス、果てにはネグリジェまで渡してきて当たり前のように下着まで出してくる始末だ。

最初は疑問も持たずに試着をしていた。

しかし渡される物が段々と過激になってきた辺りで流石にボクも思い留まり、このように押し問答混じりの状況になっていた。

ネグリジェを渡された辺りでボクも気が付くべきだったなんて思うけど後の祭り。

しかし自分の知っている身近な女性はどうしてこうも女の子の服を着せてこんなにニコニコ笑うんだろうか……?

姉さんもそうだったけど、顔の緩み方が凄いんだけどローズさん。

てかまぁ、姉さんの場合は腐女子だったから仕方ないとして。


「そんな険しい顔しないでユウ君。もうこれで終わりだからー」


ボクを見てクスクスと笑いながらローズさんは服を畳む。

その言葉を前にボクは安堵の息を一つ吐く。


「じゃあこっちは不評だったから戻しねー」


「……はい」


彼女は洗濯物を畳むかのように手際良く衣服を整え、選んだ服を並べて行く。

ドレス等は皺にならないようにハンガーに掛け直して整える。

その様子を見ながら何だか懐かしい気持ちになり、ボクは気付けば目で追っていた。


「そう言えばさー、ユウ君一つ聞いても良いかしら?」


「へ? あ……は、はい! 何ですか?」


呆けている所へ急に話しかけられ、自分は慌てる。

そんなボクを見てローズさんはまたクスクス笑うと口元を押さえ、軽く咳払いする。


「えーっとね、大した事では無いけどちょっと気になってね」


「は、はい」


「ユウ君はどうして女装なんて無茶を飲んでまでここに残ろうと思ったのかなーって」


それは興味本位と言った様子で、彼女は小さく首を傾けては軽い調子で尋ねて来る。


ボクは元の世界の生活や環境に耐えられなくなって自殺をした。

しかしだからと言って野垂れ死ぬのは嫌だと言う理由と、魔法が使えるファンタジーな世界に興味が沸いてここに残りたいと必死にお願いした。


「それはその、自分の力が役に立つのならーって思って……」


大分本心濁してるなーと思いつつもボクは恐る恐るそう答えた。

かと言って素直に本心を伝えてもあまり良く思われないだろうし……うん、嘘は言ってないし、良いよね?

しかしその返答に彼女は口元へ指を宛がいながら、「んー」と唸って見せる。

あれ、ボク何かマズイ事言ったかな……?



「お姉さんはてーっきり、レオナの為に残ったと思ってたんだけど違ったのねー」


「……え?」


「襲撃の時にもあんなに命懸けで助けたりー、ガーディアンナイツのメンバーになってからも一生懸命レオナのお世話してるし、てっきりあの子の為だと思ったんだけど違ったのねー」


彼女は手で顔を覆い、さめざめと泣くような素振りでそんな事を言い出す。

そんな事を言われ、自分はレオナへ対する淡い物を思い出してしまい一気に顔が熱くなる。


「いや……それはその、仕事……そう! 仕事ですから! はい!」


気付かれる訳にはいかないと自分は慌て、沸騰した頭で思い浮かんだ事を口走ってしまう。

いやでもここに残りたいと思った時はレオナの事を考えてなかったし、それとこれは別の話だ。

けれど改めて考えると自分は無意識の内にあの子と一緒に居られる選択をしたとも言えなくない訳で……。

いや、そもそも踊狂ようきょうの人が提案した話なんだから、ボクの気持ちはある意味関係無かった訳で。

と、言い訳の羅列が脳内に敷き詰められる。

そしてはたと我に帰ればニヤニヤと笑顔を見せるローズさんの顔が。


―――やばい、何か勘付かれた……。

どうしよう、違うって事を証明しなきゃと脳内は沸点を超えて蒸気を上げるが何を言えば良いのかわからない。





「ユウ、また今日も良いか?」


「は、はいいいごめんなさい!?」


突然、テントの中に割って入った声に対して脊髄反射でボクは意味不明な言葉を叫ぶ。

我に返って視線を向ければテントのカーテンをめくれ、その影から首を傾げているルシードさんの姿が。


「あら、もうそんな時間かしら。丁度終わったから大丈夫よ」


ローズさんは何事も無かったかのようにそう答えると、「今日の服選びは終わりね」と向けてきた。


「よし、ならば行こうか」


「ユウ君いってらっしゃい。お仕事、がんばってねー」


「は、はい……。いってき、マス」


ルシードさんの言葉にボクは立ち上がるとローズさんから逃げるようにテントを後にした。








あの襲撃から2日が経った。

ボクは駐屯地の人たちとはほとんど関わりが無いのでどんな状況かはよくわかっていないけど、現状警戒態勢に入って警備を強化しているとの話だ。


その一環で駐屯地周辺の警備も強化される事となり、そのパトロールにボクは同伴している。

とは言っても自分が付いて行く理由は警備じゃなくて、ボクが扱えるスキルの確認だ。

どのような種類の魔法魔術が使えて、どれくらいの火力かとか、範囲なのかとか……そう言った確認をしている。

一応、ルシードさんにネトゲと言う物を説明したんだけど理解してもらえなかった。

結局ボクはそう言う特殊な力を持ってる人間、って事で変に勘違いで落ち着く形に。

……ボク、ただの中学生だったんだけどどうしてこうなったんだろうか。

とか言いつつ、魔法が扱えるこの世界は結構気に入ってる。

そして試し打ちのこの時間も待ち遠しかったりして、不謹慎だとは思うけど楽しい。





「じゃあ今日はお前の持っている上級魔法と魔術を……そうだな、あの丘辺りを狙って出してみてくれ」


「は、はい! じゃぁ火属性から行きます。灰燼へ誘いし焔レーヴァテイン!」


今日も行われるスキルの試し打ち。


ボクはルシードさんが指差す岩肌が剥きだした丘を目掛け、自分のやっていたネトゲのソードソウルの火属性魔術スキルを使う。

スキル名を叫んだと同時に空中に赤い紋章が浮かび上がり、オレンジ色に発光すると白と赤の火柱が立ち上る。


閃光のあとに遅れて爆風と砂埃がここまで押し寄せ、無防備に突っ立っていたボクは砂にまみれて頭から足先まで真っ白に。

お陰でレオナのお古の赤いドレスは白いドレスに化けていた。

ボクの撃ったスキルは問題なく成功していた。

視界の先にあった丘は見事に砕け散り、ミサイルでも落ちたかみたいに土が抉れている。

その穴からは黒煙が立ち上り、それが風に流されて焦げた匂いがここまで漂う。



「……ユウ、ちなみに今のは」

「うぇっと、火属性上級魔術スキルです。一応範囲ですけど凄く範囲の狭い火力特化のスキルですね」


口の中の砂を一生懸命ペッペしながら自分は答える。

隣のルシードさんはそのまま呆然として黙る。


どうもボクの使っている魔法魔術もといスキルは、この世界での魔法魔術に関する根底を無視している物が多いらしい。

そのせいで何をやってもこんな反応をされてしまう。

普通なら長い詠唱を唱えたり、魔法陣が無いと使えない威力の物をボクはスキル名を言うだけで発動しているらしい。

早い話がチート状態。


他にもネトゲ以外で何か使えるかなとアニメとか漫画の技とか試したけれどそっちは全然ダメだった。

理由は不明だけれど現状はネトゲのスキルしか使えないっぽい。

好きだったリタカノマジックとか使えたら楽しかったのになぁとか思っちゃうけど仕方ないか。


ルシードさんの反応見る限りじゃそれで充分すぎる感じだし、贅沢は言わない事にした。



「それじゃ次は光系行ってみま―――」


調子に乗ったボクは次のスキルを使おうと構え、動きが止まる。


先程、スキルを使った場所の方から黒い影がいくつも蠢きながらこちらへ向かってきているのだ。

最初は人かと思ったけれど、鼓動が掻き鳴らす警鐘を前に違うと気付く。


それは2日前、自分の身に起こった恐怖と痛みと映像を高速再生させて喧しく報せる。




「……やはり来たか」


ルシードさんはわかっていたのか青ざめるボクを余所に、その影を見て薄く笑う。


「さぁユウよ、次はあれを狙って行ってみようか」


にっこりと笑い彼は指を向ける。

その先にはボクのお腹を貫いたヤツと同じ姿の影が自分たちを目指してゆっくりとを歩く。

火のように赤い目をギラ付かせながら……。


灰燼へ誘いし焔レーヴァテイン


 北欧神話においてロキにより鍛えられたとされるもの。

 槍、矢、細枝、杖などと言われるが詳細は不明。一説には炎の剣ともされる。

 

 属性  :火

 タイプ :魔術

 詠唱時間:基本詠唱180秒 スキルLv1毎に詠唱時間12%カット 

      スキルLv5の場合無詠唱

 効果範囲:指定セルを中心とした3*3範囲攻撃

  消費MP:100 レベル1毎に消費MP10増加 最大消費MP145

 攻撃倍率:MAXレベル5 魔法攻撃力3600% スキルレベル1毎に+180%

 攻撃方法:魔法攻撃

 効果時間:

 攻撃対象:モンスター、他プレイヤー(ギルド、パーティーメンバー含む)

      基本クールタイム30秒 ジョブレベルにより減少

      習得可能職業・トリックスター

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ