Endless recover
僕らは少女を病にかけた能力者と対峙することになった。
彼女を倒さない限り、少女は救うことはできない。
少女の為にも彼女の為にも勝ちたい。
僕らは今、闘技場にいる。
ここは自由に試合ができる。
異世界では話し合いを武力で収めることが多々ある。
常に利用者で溢れている。
「結愛、戦闘は僕に任せてくれ。大丈夫だから。」
「能力を使いすぎちゃだめだよ。優矢の能力は・・・。」
結愛はじっと僕の目を見つめてくる。
僕はそっと肩を降ろした。
「大丈夫だって。ぱぱっと終わらせてくるからさ。」
僕は精一杯の笑顔でステージに向かった。
結愛は心配症だから安心してくれるといいな。
「そういえばあたしの名前教えてなかったね。あたしは零火。」
なんだろう・・・どこかで逢ったことある気がする。
結愛と出会った時も不思議な気分だった。
でも何も覚えていない。
「僕は優矢。悪いけど、本気で戦うよ。」
「ふふ。本気出さないと気絶じゃ済まないわよ。」
彼女は胸に手を当てる。
ゆっくりと髪が赤く染っていく。
能力発動時に属性によって髪の色が変化するのも能力種の特徴だ。
彼女の能力は恐らく、炎属性。
「さぁ、燃えて。」
ステージ一面が一気に炎の海になった。
僕は高く飛び上がり回避に成功したが、このままじゃ落ちて燃えてしまう。
能力を使うしかないか・・・。
あんまり使いたくないけど仕方ない。
「Endless recover」
僕は炎の海に降り立った。
・・・熱い。
「ふふ、終わりね。殺しちゃってごめんね。」
炎の影から彼女の微笑みが見えた。
悪いけど、終わりじゃないよ。
僕は炎の中を全力で走った。
「え!?どうして、無事なのよ!?」
無言で彼女の喉元を側面から優しく殴った。
彼女はあっさり気絶して倒れ込んだ。
「僕の能力は一瞬で破壊された細胞を再生できる能力だよ。もちろん代償もあるけどね・・・。」
僕は倒れ込んだ彼女を抱えて、ステージを降りた。