零火を助けたい
零火を牢獄から救い出す為にアクス帝国へと足を運んだ。
どうか無事でいて欲しい・・・。
アクス帝国は3ヵ国ある世界最高戦力国家の1つに選らばれている。
着実に領地を独占していき、もうじき僕がお世話になっている国へも侵略を始めるだろう。
そうなればまた、沢山の人が殺されてしまう。
「できることならアクス帝国を征服して、争いのない世界にする為の第一歩にしたいな・・・。」
あれ?
今、無意識にとんでもないことを呟いてしまった。
僕がこの国を征服することなんてできる訳ない。
僕は無意識の内にそんな妄想もできるんだと驚いた。
「兵士が・・・沢山いる。」
アクス帝国の中央には大きなお城がある。
お城を取り巻くように兵士がずらっと並んでいる。
爺さんの地図によるとあのお城の最下層に零火は監禁されているみたいだ。
「おい。少年。」
「ひゃい。」
僕の背後から誰かが声をかけてきた。
警戒していたこともあって変な声が出てしまった。
「変な声を出すな。安心しろ、俺はあんたの味方だ。」
白いフードを被った青年が立っている。
どこか不思議な力を感じる。
恐らく能力者だろう。
「あんたはあの城の最下層まで行きたいのだろ?一人で行けば確実に捕まる。たとえ不死身でもな。」
不死身?
・・・何のことだろう。
この人の言う通り、恐らく1人で行っても成功確率は極めて低いと思う。
協力してくれることは嬉しい越したことはないけど、どうして僕のことを知っているの?
「君は僕の知り合い?僕、物忘れが激しくて忘れていたらごめん。」
「知り合いじゃないさ。でも、君のことはずっと気になっていた。医者として、人間としての優しい行動を見ていたら惹かれてしまってね。零火を助けたら君に大事な話がある。」
「わかった。零火をどうしても助けたい。協力頼むよ。僕は優矢、よろしくね。」
「俺の名前は、咲都だ。よろしくな。」
僕は城に向かって歩いた。
でも、咲都は全く歩こうとしない。
「咲都、大丈夫?」
「俺は歩けないんだ。能力の花を開花される代償に歩けない足になってしまった。でも安心しろ。歩くことより、もっと強いな能力を手にいれた。」
咲都は僕に手を差し伸べる。
「俺の手を握ってくれ、一瞬で零火に会えるぜ。」
「わ・・・わかった。」
僕は駆け寄り、咲都の手を握った。