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物書きな僕と編集さん  作者: 冬乃 之
7/10

ロケハン。

 テキサスクローバーホールドで味わった栞さんの胸の感触を足で楽しんだ僕は今自室のど真ん中、そして目の前にコンビニで買って来た紅茶のパックに向かって正座している。

そろそろくるぶし辺りが痺れてきた......。

「いい加減反省した?」

「いや、そこまで反省することをした覚えが僕には無いのだけれど」

あ、まずいぞ、今なんか栞さんの額に怒りのマークが浮き出た気がする。

「自分の罪がわかっていないみたいね」

「栞さんこわいなー、ちょっとした冗談じゃないですかー、やだなー」

不気味な笑みを浮かべながら僕に近づいてくる。

「ふふっ、達也、死すべし」

「アッー!!」

朝から僕の骨が元気よく挨拶をする声が聞こえた。パキッとね。



 それからしばらくしてどうにか栞さんの機嫌を直して今に至る。

「それで、真面目な話に戻るけど、達也が新人賞に出した作品の校正は誰がやったの?」

「え、なんで?」

「だって今朝読んだ物からしてあの完成度を出すのは難しいと思って」

「そりゃそうさ、あの作品は5年くらい寝かせておいた物だもん」

実際のところまだ校正とかは良く理解していないけど、イメージとしては編集の人が誤字脱字や不要な部分を削ったりする作業の事を校正だと思っている。

気になって栞さんに確認したけどだいたいそんな感じって言ってたし。

「なるほどね、あの作品はそれなりの月日をかけて書いたのね」

「そうそう」

「でもね、作家となった今は最低限守らなければいけないものがあるわ」

「それは締切?」

「正解、締切だけは最低限守ってもらわないとその後の私たち編集の仕事が圧迫されて悲惨な事になるの」

そんな白目向きながら言わないで下さいよ栞さん。

「あのときはもう悲惨だったわ、へへっ、へへへっ、達也にわかる? 久しぶりに入ったお風呂のありがたみって......」

目がうつろになりながらも過去の凄惨な状況を思い出して、壊れる栞さん。

もうなんだよその表情、怖い通り越して危ない人の表情だよそれ。

「あっはい、締切だけは厳守させていただきます」

僕が締切だけは絶対に守ろうと決意した瞬間であった。

 またもぐずり始めた栞さんを紅茶でなだめて本題に入る。

「それで、今の達也に必要なのは高いクオリティを保ったまま早く書き上げる事よ」

世界観とそれに関する設定なんかを考えるのは結構好きだけど、場面や情景を想像しながらいつも書くから結構時間がかかってしまう。

「でも僕は結構設定に関して想像しながら考えちゃうからかなりの時間が必要になっちゃうんだよね」

「そう、それが今あなたの改善点よ」

さすがは僕の編集さん、この短期間で僕の問題点と得意な部分を把握してくれている。

栞さん半端ないです、すごい。

「達也、ロケハンとかしたことある?」

ロケハンとはロケーションハンティングの事で、実際に存在する場所に行き作品と類似している箇所など参考にする事だ。

まぁ、ドラマや映画だとそっくりそのままの場所を出したりするけど。

「いいや、行ったことないよ?」

「そこよ、達也は作品の情景を自分で想像しながら書き上げるから時間がかかるの」

「うんそれはさっき言ったよね」

「だから達也自身がロケハンに行って参考にできるところはパクって、どんどん作品に反映させていけば今までよりも早いペースで設定なんかのベースになる部分が出来上がると思うのよ」

パクるってなんだよおい。

まぁなるほど、今間では完璧自分の偏見による想像だからハッキリとしたイメージつかなくて悩む事があった。

でも、実際にそれに似通った場所に行けば得られるものが何かしらあるかもしれない。

「うん! いいね! 行ってみようかなロケハン」

「いい食いつきね、じゃあ今週の日曜日に早速いくわよ」

「んー、でも行くってどこに?」

「それは任せて! 私が担当編集として責任もって最善の場所に連れていってあげるわ」

テンションの上がってる栞さんはとにかく手がバタバタ動く。

そのあたりはちょっと可愛いと思う、いや……可愛いなぁ。

手をバタつかせて興奮する栞さんを見る僕のまなざしは、完璧に我が子の成長を見守る母親の物だった。

大きくなったね、栞ちゃん、わたしゃ嬉しいよ。

 そうと決まれば行動力のある我が編集さん。

そそくさと自分の荷物をまとめて出版社に戻るみたいだ。

「それじゃあ今週末の日曜日、デートなんだから少しはマシな服装で来てよね! それじゃ!」

「お疲れさ……えっデー……」

気が付けばもう栞さんの姿は玄関から消え、錆びた鉄のドアが軋みながら閉まる音が反響していた。



「それよりロケハンじゃなくてデートって……なにさ!?」


今回もご覧いただきありがとうございます。

最近天気が安定しなくて私の体調も安定していませんが毎日早き頑張ってます。


そしてこの話では編集さんである栞の可愛い動作やリアクションを自分なりに想像しながら書いたのでまたしても勢いです。

改善点や問題点などがありましたらご指摘お願いします。

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