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罪
雪の中を逃げていた。
脳裏に映るのは先程見たばかりの光景。
兄が父に剣を向け、そして――
「リィ!」
リサは目を覚ました。身体中が汗でびっしょりと濡れているのを感じた。
「怖い夢を見たのかい?」
ヒューイが優しく問い掛ける。
けれど、リサは彼に答えることはできなかった。
「リィ?」
「父様は……」
リサは小さな声で言った。
ヒューイがその言葉にハッとしてリサを見る。
リサはすべてを思い出していた。
彼が隠したがっていたことも、すべて思い出してしまった。
「ごめんなさい……」
リサは彼に謝った。
「なぜ、謝るんだい?」
「全部私のせい……」
「そうじゃないよ」
ヒューイは悲しげに微笑んだ。
「リィは何も悪くない。すべての罪は僕のものだ」