表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

思い出

「リサ様。そろそろ部屋に戻られたほうが」


 バートに言われて、そういえばだいぶ身体が冷えてきたと感じていた。


「そうね。戻るわ」


 もう少し、雪の上を歩いていたかったけれど仕方がない。


(もう少しで、何か思い出せそうな気がしたのだけれど)


 焦っては駄目だと思いながら、やはり早く思い出したいという気持ちが湧いてくる。


「リィ」


 ヒューイの声が聞こえて、そちらを見た。

 心配そうな顔をした彼が近付いてきて、そっと手を伸ばしてくる。


「風邪を引いてしまうよ。早く部屋に戻ろう」


 そう言って、彼はリサの身体を温めるように抱き締めた。

 そして促されるまま、リサは彼にもたれて歩き出した。


 その時ふと、前にもこんなことがあったな、と思った。

 その時、自分は泣いていて……


「リィ? どうしたんだい」


 ヒューイの問い掛けに、思い出そうとした何かが霧散した。

 それを残念に思いながらも、リサは「何でもないわ」と首を振って彼に答えた。



「無理に思い出さなくていいから」


 優しい声で彼が言う。その言葉に安堵しながら、同時に不安も感じていた。


(思い出さなきゃ駄目なのよ)


 何か、とても大事なことを忘れている。そんな気持ちが常に付きまとっていた。


「リィ。……僕が君を愛してることを忘れないで」


 ヒューイの言葉に、リサは顔を上げた。

 彼は真っ直ぐに彼女を見ていた。


「ヒューイ……?」


 彼の様子に疑問を感じながらも、リサはそれ以上問うことはできなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ