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執事
リサはヒューイに、一人の男を紹介された。
「彼はバートだよ。この家のことを取り仕切っている、僕の執事だ」
「バートと申します、リサ様。何なりとお申し付け下さいませ」
そう言って、バートは恭しく頭を下げた。
壮年の彼の目には、リサを気遣う色が浮かんでいた。
リサは、この男もよく知っていると感じていた。そして、とても信頼できる人物であることも。
「バート、これからもよろしくね」
「はい。リサ様」
夫と執事。信頼できる二人を得て、リサは心が軽くなるのを感じた。
――こうして、記憶を失ったリサの新しい生活が始まったのだった。