普通のプロポーズ
初投稿です
なにぶん初めてで
読みやすく面白い作品をこれから沢山創作していきたいです。
基本ショートショート的なものが好きです
「おい、まてよ!!」
あいつはスタスタと去って行ってしまった
「なんだってんだよ、なんで怒ってんだよ・・・」
あわてておいかけた。外は雨が降っていた。
あいつは怒って店を出て行ってしまった。もうすでに見えなくなっていた。
本当はあいつが怒った理由、わかってる
高校時代から付き合って3年
大学4年付き合いその間2回くらい別れて、お互い就職して
俺のほうが先に就職したっけ
お前は後から就職先見つけて、喜んで、2人で一緒にお祝いしたっけ・・・
仕事が忙しくてお互い会えない2人
久しぶりに会って顔見て、話して
「ねえ、将来の事考えてくれてる?」
将来の事・・・・おれは学生時代はあんなに自信があったのに
今じゃ仕事で怒られてばかり・・
最近は自信を無くす事ばっかりで
2人の将来の事をあいつに言われて嬉しかった
でも、自信が無かった、おれはこいつを幸せにできるのか
こんな俺が幸せになっていいのか
「ちゃんと考えてるよ」
この言葉を言った瞬間だ。あいつは怒って店を出てしまった
外は雨が降っていて
そりゃもうザーザー降っていて、あいつはすぐ帰るし、おれはずぶ濡れでベタベタで気持ち悪いし、あいつはだんだん小さくなって、そのうちすでに見えなくなった。
のどが熱い、体がやけに冷たい、俺は緊張している。自分でわかる。雨でベタベタなのに自分でかいた冷や汗のひんやりとした冷たい感触が全身でわかる
ごくっとつばを飲み込む
今しかない
今を逃せば俺は一生後悔する
そんな気がする・・・とかではなく
今言わなければ一生後悔することがもう、すぐ自分の現実の目の前に迫ってる。
おれは何のために生まれてきたんだ。何年生きてきたんだ
あいつと一緒に生きるためだろ?
幸せにしなきゃいけない、いや違う幸せにしたいんだ、おれがあいつを、さ。
もういいわけはやめよう
「まって」
走って追いかける
思えばいつもおれはあいつを追っかけてる気がする
付き合ったり別れたり、いろいろあったにせよ
高校の時も大学の時も・・・
そして今も
息を切らしながら
やっとあいつに追いついた
階段の途中で
このどしゃぶりの中で
おれは息を切らしながら
ぜーぜーはーはー言いながら
あいつの顔をのぞきこむ
あいつは傘をさしながらうつむいている
雨で水滴がたれてるのと同じになって
目から涙がこぼれてる
ごめん
おれが泣かしたんだな
その涙はおれが出させているんだな
「ごめん、表面だけの言葉だった。お前が怒るのも無理なかった
ほんとにごめん」
あいつはフルフル、首を振る
そのしぐさはいつ見たって俺から見たら可愛かった
「今からお前に聞いてほしいことがあるんだ。うまく言えないかもしれないけど
ちゃんと聞いてくれるか?」
コクっととうなずいてくれた。
緊張してる
心臓がバクバク、いってる。
「あー、えっと、おれはおまえとずっと一緒にいたい
今までいろんな事を2人で乗り越えてきたけど、
これからもずっと2人で乗り越えていきたいって思ってる」
「もう彼氏と彼女じゃなくて、夫婦になって一生一緒にいたい。
お父さんとお母さんになって、おじいさんとおばあさんになって。」
「一生守ります。おれと結婚してください。」
しばらくの沈黙
雨がやけに冷たい
もう5、6時間たったんじゃないだろうか
いや、でも実際には2,3分しかたってない
こんなに緊張したのは久しぶりだ
いつ以来だろう
あいつは口を手で覆っている
そしてゆっくり・・・・
泣きながらだったけど
今まで見た最高に嬉しそうな表情でこう言った
「はい」
おれは人生で最高に嬉しい瞬間だった
あいつはいつも可愛いけど
この日この瞬間のあいつは最高に可愛いかった
おれは一生忘れない
「こんな男だけど、よろしくお願いします
ウエディングドレス着てくれるんだね。」
ああ、そうだよ
おれは結婚式でウエディングドレスを着るよ
お前のお嫁さんとしてさ
まさかこんなおれが着るとは思わなかったけど
一生着ないと思ってたけど
こんな性格でこんな2人だけど
一生あいつを守るんだ
男のあいつを女のおれが
会話や思考だけ聞いたら
普通の人は絶対逆だって勘違いしちゃうな
おれが男であいつが女でって・・・
でも現実は違うんだ
おれが女で、あいつが男。
子供もおれが生まなきゃな
おまえに似て可愛い子だといいな
それでもおれはあいつを守る
彼氏と彼女から
夫婦になって
お父さんとお母さんになって
そしておじいさんとおばあさんになって
可愛い男のあいつを
一生、守っていくんだ、おれは
こんな性格な女だけどよろしくな
おれ精一杯頑張るからな
幸せになろうな
男のあいつを女の俺がぎゅっと抱きしめた。
雨に濡れて冷たかったが
心はとても、暖かかった。
いかがでしたでしょうか
自分的には初投稿でまだまだですが
少しでも読んでくださった方が楽しんでくれたら幸いです