縦横無尽
散髪が終わり、店を出た。交通量の多い通りで、車があちこちと行き交っている。
わざわざワックスまで付けてもらい、2ブロセイムといわれる髪型に仕上がったそうだ。
終わったーと解放感を露骨にしていると、莉奈が祐樹の髪を見て言った。
「やっぱり祐樹君こっちのほうがいいよ。うん、格好良い」
「あ、ありがとう」
「じゃあどうせ来たんだから何か見てくか」
「俺はいいけど・・・」
「う~ん、ちょっと洋服みていいかな?」
「ああ、別に構わないよ」
「やったー!ありがとー」
―やっぱり女の子だな・・・。
こうしてたっぷり1時間ほど莉奈の洋服物色に時間を費やし、ずっとベンチに座っていた佑樹も足腰が痛くなってきた。
立ち上がって伸びていると、莉奈が袋を手にして駆け寄ってきた。
「ごめんごめん、かなりまたせちゃったね」
「気にしないで。結構買ったんだね」
「うん。ちょっと迷っちゃって、結局買うことにしちゃった」
「アハハ。じゃあ・・・帰るか」
「うん、帰ろ!」
帰りも行きと同じくバスで帰っていった。
途中で分かれると思ったのだが、佑樹と同じバス停で降りたので祐樹は莉奈を心配した。
「わざわざここまでこなくてよかったのに」
莉奈は首を振った。
「ううん、私は大丈夫。高校生としてしっかり見送らなくっちゃね。あ、ちょっと家までは行けないけど家族のみんなにお邪魔しました、って伝えておいてくれる?」
「うん、分かった。」
「じゃあ行くね。今日は本当にありがとう」
「こっちこそわざわざ付き合ってくれたりしてありがとう。また来てくれるよね?」
「当たり前よ。あとFCも私結構インしてるからそこでまた会おうね」
「ああ、そうだな。負けないように頑張るよ」
「フフ、それじゃあね。元気でね」
「じゃあ・・・な」
莉奈はバスと共に、夕日の道の奥へと消えていった。
1つ息を吐いた祐樹は、家までゆっくり歩いていった。




