優しい目
洋風の家ながら茶の間があり、テーブルを囲んで祖父母と妹の3人が座っていた。
既にテーブルには家で獲れた野菜を使ったカレーライスが5つ置かれていた。
普段は正方形のテーブルなのだが、客がいる事を知って長方形のテーブルに替えていた。
祐樹と莉奈が隣同士座り、正面に祖母と妹、上座に祖父だ。
そして部屋の端に置かれたテレビは現在機能していない。
各々がいただきます、と言ってカレーライスを口にした。
両親と弟が死んでからこうやって家族で食事するのは久々だった。
どこか緊張してしまう。
さっそく祖母が口を開いた。
「莉奈さんカレー、お口に合うかしら?」
莉奈は笑顔で答える。
「ええ、お母さんが愛情込めて作った、って感じます」
じき70後半に入る祖母も照れ笑いした。
「祐樹、突然部屋から出てきたと思ったらこんな綺麗な人を連れてきて一体どうしたんだ」
祖父、武信がカレーライスを口に入れながら言った。
「まぁ、いろいろあったんだ。莉奈さんはとても優しくて俺も元気もらったって感じかな」
「祐樹君・・・・・」
隣にいる莉奈の方をちらと見ると、莉奈は祐樹を直視していたので、思わず目を背けた。
すると莉奈がカレーライスを口に入れようとした時に、何かを思い出したようにあ!と言った。
「この後祐樹君ちょっと借りていいですか?変な事はしないので」
―変な事ってなんだよ・・・・。
祖母は即答と言っていいほどすぐに答えた。
「是非お願いしたいわ。祐樹、しっかりその子のいう事聞くのよ」
「わかってるよ」
「お兄ちゃん」
愛美が祐樹を見つめて言った。
「お兄ちゃん、今日すごく目が優しい。いままでのお兄ちゃんみたいになってる。私嬉しいよ。それと莉奈さん、お兄ちゃんを何かとよろしくお願いします」
愛美が真剣な眼差しで礼をした。
「任せてください。祐樹君を男前にしてみせますので」
「ちょっと、何勝手な事を・・・」
莉奈と愛美が笑いあった。佑樹には意味が理解できなく、怪訝な表情でそのやりとりを見ていた。
しかし愛美の言った言葉はしっかり心に留めていた。
―優しい・・・か。




