天 然
家に戻る矢先、祐樹は客間に寝転がった。
1時間灼熱の中でずっと草取りをしてたものだから家が天国のように思えた。
手を洗い終わった莉奈が客間に入った。
だらけている佑樹を見て、腰に手をつけた。
「もー根性がないわね」
祐樹は寝たまま言った。
「莉奈さんがありすぎるんですよ」
莉奈は誇らしげに言う。
「私自分で小さな庭管理してるし、実家が農家だから子供の頃から鍛えられたわよ」
祐樹は上半身を起こして莉奈に目を向けた。
「実家って・・・下宿してるの?」
「うん、実家は山梨にあるんだけどね」
「へぇー将来の夢は?」
「私は看護師なりたいと思ってるの」
「看護師・・・か。じゃあ俺のことも看病してくれよ」
冗談交じりに言うと莉奈はクスと笑った。
「祐樹君おもしろい。でも看病する前にまずしっかり学校行きなよ」
突然詰められ、言葉が出てこなかった。
「祐樹君は私にこんなに優しくしてくれるから皆にも好かれるよ」
「そう・・・なのかな」
「そうだよ。そうだ、じゃあまず髪を切ろうよ」
「髪!?」
「うん。さすがに長いよそれ。そういう髪型ならいいけど」
なんとなく悔しくなった祐樹は勢いで言った。
「切ってやるよ!」
莉奈は微笑んだ。
「そうしよ。じゃあお昼ご飯食べたら行こっか」
「ええ!?今日行くの?」
「その方がいいでしょ?」
「いや・・・どうかな・・・」
「早くかっこいい祐樹君見たいよ」
祐樹の心にその言葉はしっかり響いた。
「それは・・・その・・・どういう意味――」
「とにかく切るわよ。私も付き合ってあげるから」
―この子は俺をどう見てんだ?遊んでるだけなのか?というか・・・・・・
天然すぎじゃないか・・・・。
そこへ祖母が入ってきた。
「ご飯できたよ。莉奈さんも食べていって」
莉奈は深々と礼をする。
「どうもありがとうございます」
しっかり挨拶する面ではしっかりしてる子だな、と微笑みながら見ていた。
祐樹の視線に気づいた莉奈が怪しそうにじーっと見てきた。
「べ、別に何もないよ。ささ、飯だ飯」
「変なの」
2人して微笑んだ。




