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法と政治の無知な批判者に告ぐ  作者: i/o


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二言目 犯罪の成立要件

k 前回は少年法のざっとした解説をしたね。今回は犯罪は何があったら成立するのかを解説しよう。そもそも民主主義国家では罪刑法定主義が採用されている。これは犯罪になる要件を法に(日本では刑法)記載しなければ罰することは禁じられている。そしてその次にあるのは違法性。やってはいけないことをやったらアウト。例えば人を殺してはならないという命令に反していればアウト(例外は後程)。そして最後に責任を問えるかどうか。前回も話した通り刑の意味を根本から理解できない人に刑を科しても何の意味もなさないからだ。この3つの要件に合ってようやく有罪となるわけでこれが裁判で確定するまでは無罪という推定無罪の原則(疑わしきは被告人の利益に)が絶対的な憲法に定められた規則になる。


s 一番は分かるけど2番目の例外は?


k 例外はこの3つだ。正当行為、正当防衛、緊急避難になる。


s 何をやってもこの3つは無罪になるの?


k 正当行為は基本的に業務的にそれをするのは致し方ないことを罰しない規定だ。例えばプロレスで戦うのは本来、果たし状なんか送れば決闘罪で逮捕される。でも実際はそんなことはなくて挑発してもプロレスというスポーツの特性上実際の試合で挑発を受けたうえで怪我をしながら戦うのは当然。そういうエンタメも含めて逮捕をすれば大半のスポーツが行えなくなってしまう。但し、ルールを破るなど違法行為があれば過失致傷などで検挙される可能性はある。


s 正当防衛は?


k 基本的に「突然」、「不正(犯罪的)な」、「権利の侵害」に対して「自己または他人の権利の防衛」の為に「仕方がなく」、してしまった行為は罰することはできない。自分の判断にやるかやらないの選択を行う暇がないほどの状況でやってしまったことを罰するのはあってはならない。「」の中にある要件に全て合っていて初めて正当防衛は成立する。合っていなければ通常の犯罪として対処される。正当防衛にする状況をわざと作ったりしていれば「仕方がなく」の要件に合わないから正当防衛にはならないよ


s 緊急避難は?


k 基本的に「自己または他人の生命、身体、自由、財産」に対し「現在の」、「危機」を「避けるため」に「仕方がなく」した行為はこれによって生じた害が避けようとした害の程度を越えなければ罰せられない。超えても刑の免除や減刑の適用対象になる。例えば廃工場の中に大怪我をしている人がいて、無断で他人の廃工場に入り救助したとしても緊急避難で犯罪は成立しない。廃工場に入られて被った害より、救命の方をしなければそれ以上の害が生じる状態だから緊急避難の適用対象だよ。但し例外として業務上特別の義務があるものは緊急避難は適用されない。守るのが義務だから責任転嫁は許されないといった考えがあるためだ。まあ流石に切迫しすぎていて第三者が消防士の逃げ道を阻んでいるとき逃げなければ全員死ぬみたいな状況は緊急避難が考慮されるけどね。


s やっぱり厳しいね。


k これらが犯罪として成立しないのは犯罪をするかしないかの判断が全くできない状況でやってしまった行為は罰しないというものでその部分では、責任を問えるか(有責性)に対しても同じ考えがある。精神疾患を持つものが選択できない状況でしてしまったことは罰したら正当防衛や緊急避難などに対して矛盾する。


s そういえば条文に書かれていないことをしても罰せられないのは分かるけど当たり前じゃない?


k ここで出てくるのが「故意」だ。犯罪を犯す意思のない者は罰しない。本人は条文に書かれたやってはいけないことをしていないからだ。例えば殺人と傷害致死は同じく人は死んでいるけど怪我をさせるつもりで結果的に死んだら傷害致死になり、殺人という人を殺す目的をもって殺してはならないという条文には違反していないため殺人罪は適用できない。又は、刑法が改正されたことを知らず、当時は軽い罪だと思っていたら今はもっと重い罪だったみたいなパターンではその重い罪では裁けないよ。同じく故意はないとみなされる。危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪で、改正されていることを山奥で暮らしていて、一切知らずに前までは過失運転致死傷罪が適用されると思っていたならば危険運転致死傷罪は適用できない。

 しかし、そんな犯罪はないというように法律を知らなかったからと故意はないと否定することは許されないよ。


s 有責性が問えないっていったい何があるの?


k 主に2つ。1つ目は心神喪失。2つ目は責任年齢だ。2つ目については前回の少年法の回で説明したね。心神喪失も同じく刑を科しても反省を促す効果が本人の意思ではないもののせいで、それが見受けられないのが最初から分かっているなら罰する意味はないし、罰すると損得勘定だけで見ると危ない。


s 損得勘定ってどういう意味?


k 刑法はそもそも社会的な治安を維持するために作られていて、刑を科すと長い目で見ると社会にとって不利益になることはしないのが原則。心神喪失者を罰することができれば極論、国が勝手に敵対者を心神喪失者として罰せられてしまうからね。


s 刑法は被害者を守るためのものではないんだ……


k 被害者支援に関する法律は別に制定されていて、刑法自体は被害者の復讐としての機能はないんだよ。でも結果的にみると被害者が前に進むっきっかけにもなるからそういう風に見えるんだ。被害者支援は多くの犯罪被害者や遺族たちが頑張って国に訴えてできたもので、これは現代の福祉国家におけるとても良い点だ。国民が訴えれば法律論的にできないこともできてしまう。良くも悪くもだ。今回はとてもいい事例だけど、これは国民が法に対する知識がないまま選挙で動けば今は良くとも数年後に悲惨な現状が待っている恐れがある。


s 僕らにできることは?


k まずは無知の知を自覚すること。そして選挙の際はこの公約が本当に実現したときに国にとっていいことが大きいのか、それとも悪い方向に傾きかねないのかをしっかりと考えて一票を投じること。請願書を書く際には変えたら危険な法や規則を無謀に変えることを訴えるのではなく、変えなければ不利益になることなどをしっかりと理由や署名とともに明記して提出すると効果があると思う。


s 法律は難しいし理不尽だね。


k 必要悪もある。それを踏まえたうえで本当に必要な悪なのかを検証しながら議論するのが国会の意義だ。今度の選挙、しっかり公約を見てみよう。一票が歴史を動かすから。

選挙に行こう。必ずあなたの一票で日本がいい方にも悪い方にも動く。それを決めるのはあなた次第。

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